100分de名著「野生の思考」テキストからのメモ2

 カミさんがまたまた友人と昼食会とのことで北坂戸まで送っていく。多分そのまま飲み会になる予定なので、午後は時間が空いたので前週に引き続き鶴ヶ島図書館に引き込んで100分de名著「野生の思考」のテキストからのメモ取りをする。

● プリコラージュ
ブリコラージュ(Bricolage)は、「寄せ集めて自分で作る」「ものを自分で修繕する」こと。「器用仕事」とも訳される。元来はフランス語で、「繕う」「ごまかす」を意味するフランス語の動詞 "bricoler" に由来する。
ブリコラージュは、理論や設計図に基づいて物を作る「エンジニアリング」とは対照的なもので、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ることである。
● 未開人の世界認識
・人類ははるか以前から、自然界から送られてくる豊かなメッセージを、コードを使って解読し、世界を理解してきた。
 そこで得られる知性は具体物を用いて表現される。レヴィ・ストロースはこうした知性を「具体の論理」と呼んだ。それは、感覚に与えられる感性的な素材を用いて論理を働かせようとする。感覚的なものと知的なものの二つが結合した論理である。
● 縮減
・縮減とは情報のある部分を消していって、大切な部分だけを取り出して、縮小した模型をつくることである。
レヴィ・ストロースは絵画の分析を通して、「美術作品の大多数が縮減模型である」と述べる。人間の認識は、たえまなく縮減をおこなっており、情報の縮減をおこないながら、実物の像を正確に再生することで、世界をとらえている。
● 呪術的思考
レヴィ・ストロースは、先住民の野生の思考と現代の科学的思考を対比させて、前者を「呪術的思考」と呼んだ。それにより呪術と科学を対立させるのではなく、呪術と科学が用いている知的操作はほんらい同一のもので、新石器時代の呪術によって蓄積された知識が近代科学を生み出すおおもととなったことを証明しようとする。
● 隠喩と換喩
・言語という記号では、隠喩(メタファー)と換喩(メトニミー)が基礎になっている。
・あるものを似ているもので表現するのが隠喩。
・あるものを似ていなくよいから近くにある別のものを使ったり、部分で全体を表現するのが換喩。
● 記号の「ゆらぎ」と「ずれ」
ソシュール言語学で言えば「シニフィアン」(意味するもの)と「シニフィエ」(意味されるものは絶え間なくずれていく。
・「あり合わせの道具材料」を「記号」として用いるプリコラージュでは、「出来上がったとき、計画は当初の意図とは不可避にずれる」ことになる。
● プリコラージュによって構成された世界は神話的になる
・哲学や科学のように、考えている問題にぴったりの「概念」を発明して、その「概念」を使って整合性のある世界をつくるのではなく、別のところに使われていた出来事の破片を拾ってきて、「記号」的な素材にして組み合わせるため、神話と同様に、あるいは芸術と同様に、自己変形を行うという本性をもつことになる。
● 構造は循環的な活動をする
・構造は循環的な活動をし、そこに異質な要素が入ってきても、プリコラージュ的方法によりその要素を自身の中に取り込んでしまう。構造は新しく生まれてくる出来事を自分の中に回収して、同じサイクルを反復させていくことができる。しかし、構造に収まりきらない条件や要素が発生して、構造が機能しなくなる事態がおこる。そのとき構造は無力化し、歴史の思考が代わって現れてくる。
● 歴史が人間の思考を支配する
・現代に向かう人間は、構造を否定して、歴史に向かい、それを表現する進歩や発展という考えを広めてきた。発展、進歩、GDP増大などは歴史主義の別表現である。
● マルクスによる人口過剰の説明
・人口過剰の原因は、穀物の栽培による余剰生産物の発生にあった。余剰生産物が発生し、その分配システムに矛盾が発生することによって歴史と国家が生まれた。
● 構造の定義
レヴィ・ストロースは「構造とは、変換を行っても不変の属性を示す諸要素と、その諸要素間の関係の総体である」と定義する。