「スターウォーズ/最後のジェダイ」

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 上野から若葉に戻ってワカバウォークシネコンで「スターウォーズ/最後のジェダイ」を観た。レイトショー4DX3D版で観た。カミの障害者割引とかを使っても家族三人で7500円。そこそこの料金ではある。これは映画に合わせて椅子は動くわ、風は吹くわ、水はかかるわ。体感型視覚効果で、以前「シンゴジラ」を観た時以来である。まあどうでもいいが、レイトショーでやっていたのはこれだけだったのでまあ仕方なく。
 ただし3Dについていえばこれは大正解。少なくとも3Dはほぼこのスターウォーズ・シリーズのためにあるといっても過言ではないくらい。最初の文字が手前から奥に流れて行くシーンも奥行きがあり、ワクワク度が増す。今回でシリーズは7作目になるのだが、これまでの作品を総て3Dで見直したいと思ったくらいだ。
 さてと今作の出来はというと、まあ可もなく不可もなくといったところ。前作「フォースの覚醒」が老人同窓会と揶揄されたとかいうが、1作目から観ている我々も同様に老人になっているので、これはもう同窓会で何が悪いという気もしないでもない。逆にニューエイジ的な新しい主人公群の方が例えば新しい悪役カイロ・レンのように凡庸で、絵に描いたような大根をみると、どうにも納得がいかないというか。この人は若い時のニコラス・ケイジというイメージを具象化したような感じ。アメコミ的な快活感もないし、悪というイメージが諸々ももっているだろうものを一切感じさせない。はっきりいってミスキャストである。
 主人公のレイ役はけっこういい雰囲気。女性を主人公に持ってきたのは中々に今日的だし、新しいスターウォーズという部分では成功ではないかとさえ思った。という訳で前作に対しては概ね好印象である。
 そのうえで今回の作品についていえば、メインがカイロ・レンなんで、そこがもうちょっと感情移入しにくい。苦悩するダーク・サイドの若きスターというところで、大変青臭く、それを大味で若きニコラス・ケイジの具現的表象アダム・ドライバーが演じているので、もうこれがちょっと暑苦しくて青臭くて。
 それはそれとして、その他の部分ではただのアイドル的ナイスガイであったマーク・ハミルが年とったせいか、けっこうな重厚感を帯びていて少し笑えた。とはいえ彼にはアレック・ギネスのような威厳も特になく、伝説のジェダイ・マスターというのはちょっとという感じがしないでもない。
 さらにいえば、ルークの双子の妹であるレイア姫もそこそこに年とりつつも、レジスタンスの総大将でありつつ、さらにダークサイドに落ちたカイロ・レンの母親という複雑な役柄をきちんと演じていた。この人は昨年のちょうど今頃に急死していて、それを知っているだけに本作で彼女が出てくるだけで、観ている我々もなんともモノ悲しい気分になってしまう。最後のエンドロールのこの言葉がなんとも泣かせるものだった。

In loving memory of our princess Carrie Fisher

 キャリー・フィッシャーは昨年暮れに急死したのだが、なんと年齢は自分と同じ60才、本当に同世代だったんだと思ったものだった。さらにいえばその翌日に娘の急死がこたえたのか、母親の
デビー・レイノルズも亡くなるという悲劇もあり、なんとも映画ファンとしては悲しい年の瀬を味わったものだった。
 なのでこの映画はもう全編キャリー・フィッシャー追悼モードが溢れかえっており、オールドファンにとってはもうそれだけで客観評価など出来得ない映画でもあったりする訳だ。
 その他では、この映画ではアジア系の女性が重要な役を演じている。元ストームトルーパーでレジスタンスに宗旨替えするフィンは黒人だし、戦闘機乗りとして活躍するポーダメロンはヒスパニック系と、多様化するアメリカをそのまま写し出したような感じでもある。まあこのへんはスターウォーズを買ったディズニーの意向も反映しているのだとは思う。
 映画自体は複数のシークエンスを同時進行させてカットバックさせる演出を多用している。もともとこれはこのシリーズの代名詞ともいえるのだが、今回はこの複数同時進行が多いこと多いこと。このへんについて来れるかどうかが、この映画にのれるかどうかの鍵となりそう。まあ最近はアップテンポな演出のドラマ、映画が多いので、若い人たちには苦もなくついていけるのではないかという気もする。
 映画としては割と凡庸、アナキン三部作のような予告編のような一気呵成のテンポアップではないが、そこそこに早いテンポではあるけど、まあこのシリーズの長いファンである身としては、とりあえず慣れ親しんでいるのでつい惰性的につきあい、それなりに楽しめてしまう。まあそういうものだと思う。なんといっても第一作から40年という長いシリーズなのだから。
 この先の展開はどうかわからないし、レイの父親が誰なのかは依然クエスチョンのまま。おまけにフィンもポーもなんとなくフォースを持っていそうだし、そのへんが次回あたりから徐々に展開されていくのかどうかも気になる。本作が続くより先に観ている我々が朽ちていくかもしれないし、まあ今を楽しむしかないのだと思ったりもする。とにかく自分は多分のこのシリーズが好きなんだと思うよ。