ポーラ美術館再訪

twitterより
ポーラ美術館なう。企画展「自然と都市」の初日。二週間前にセザンヌ展に来て、間をおかずの来館。 自然と都市 印象派からエコール・ド・パリまで

自然と都市 印象派からエコール・ド・パリまで | ポーラ美術館
 前回のセザンヌ展の時に次回のチラシとかを見ていてこれは行かねばと思った。たまたま同じ頃に健保の宿が空いていたので予約してやってきた。今回も妻と二人である。もう高校生の子どもはついてこないから、妻の車イスを押してこうやってあちこち回るというのが増えるのだろうなと最近は思っている。まあ子どもももっと大きくなると、また一緒に来るかもしれないが。
 そしてポーラ美術館である。今回は到着したのがちょうど昼頃だったので、初めてここのレストランで食事をとった。正直、やや高めだったがそこそこに美味しかった。まあいい環境で箱根の自然を目にしながらの食事だから、少々お高いのはいたしかたない。
 レストランの雰囲気。

 自分が食べたのはシーフードカレー。何気に美味い。

 自然と都市の風景画を中心とした企画展、印象派の収蔵が多いポーラ美術館ならではの企画である。なのでいつもと同じような絵が中心になるのだろうが、名画は何度観ても楽しいし、また展示の仕方によっては新しい発見もあったりもする。前回のセザンヌ展のときも実はモネの「つみわら」を感動的に長時間観ていて、とてもいい鑑賞時間を過ごせたと思ったくらいだったから。
 最初に新しい収蔵作品としてブーダンの海景画があった。帆船の絵である。ブーダンといえば海景画というくらいだが、どちらかというと浜辺や港の絵が多いが、今回は外海を航行する帆船の絵である。

 ブーダンは海というイメージだが、空の表現、青空や雲の描写に秀でていたという。コローはブーダンを「空の王者」と呼んだとされている。あるいはそれはボードレールが言ったのかもしれない。解説文の中にもあったと思うし、何かで読んだ記憶がある。この絵も全体の四分の三を占める空、雲の表現と上部に少しだけ映る青空の色遣いが見事だ。ブーダンの青みがかかった灰色は独特なものだと感じる。

twitterより
当たり前のことだけど、モネは離れて観るべし。10から15メートルがほど良き視覚混合の距離か。

そうなのである。モネは近くで観ても筆触の強さを確認できるだけだと思う。5メートル以上離れて観るとその絵は別の様相となる。画家の目が捉えた光と風景が一体となった画家の心象が具現化された景色だ。これはピサロシスレーにもいえることだが、モネはそれが圧巻である。モネの部屋で絵から遠ざかった何度もそれを確認しながら長い時間を過ごした。


そして今回の企画展のある意味目玉でもあるデュフィの4連の屏風絵によるパリ。美しくて、フォーブで、幻想的でさえある。

 屏風絵は船に例えて一枚の絵を一隻とよび、右側の屏風を右隻、左側の屏風を左隻という。これも川村美術館で解説員の人から聞いたことの受け売りだが、この絵もそんな風に右隻の朝の凱旋門はとか、左隻の夕刻のそれはとか、そういう表現をしていいのだろうか。
 閑話休題

twitterより
再び食い気タイム。このコーヒーカップマグリットみたい。

 妻はこの美術館の喫茶室のケーキセットが大好きであり、絵と同じくらい楽しみにしている。なので絵に満腹したら、途中で必ず寄るようにしている。確かにマグカップの絵がマグリット的である。
 そして最後に収蔵されているとは聞いていたのだが、これまで一度も観る機会にめぐまれなかった「エデンの園エヴァ」。

思ったよりも小ぶり、小品ともいえそうだが観る者を魅了する作品である。
 ポーラ美術館のサイトより解説を引用する。
エデンの園のエヴァ: アンリ・ルソー|コレクション|ポーラ美術館

 ジャングルに裸体の人物が出現するルソーの絵画は、本作品を含めて6点ほど現存する。それぞれが固有の場(トポス)に置かれた女性像であり、一つとして同じ雰囲気を纏う裸体はない。これはルソーが女性像を描き慣れていなかったという理由ではなく、おそらく絵画史上、もっとも強烈な女性像の一つに数えられる《蛇使いの女》(1907年、オルセー美術館蔵)に描かれた漆黒の肌の女に代表されるように、作品ごとにルソーが空想を膨らませ構想したコンセプトに沿い、唯一無二の女性像が創造されたからである。そしてそのうちの2点がエデンの園に住まう原初の女「エヴァ」と名付けられている。
 本作品のエヴァ像は、それまでの宗教画に見られる「エデンの園」(paradis)の住人としてよりも、むしろ原生林、あるいは処女林(for?t vierge)を擬人化した処女エヴァとして表わされている。巨大な満月が絵画全体を透徹した光で浸し、ゆうに十種を越える奇妙な植物が複雑に絡み合う密林で、腰まで髪を垂らした野趣あふれる姿の女が大きな花を手折っている。この無垢なるエヴァは、野性というファンタジーの迷宮へと文明人の好奇のまなざしを誘う役割を果たしている。
(『アンリ・ルソー:パリの空の下で』図録、2010年)