改正高年齢者雇用安定法

若年層、働き盛りの雇用がどんどん狭まっていく一方でこんな動きもある。
高年齢者雇用安定法の改正〜「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止〜|厚生労働省
ニュース「「65歳定年延長」問題、高齢者雇用で企業に重荷」 : 企業法務ナビ「65歳定年延長」問題、高齢者雇用で企業に重荷」
ようや年金支給年齢の引き上げに合わせて、企業に定年の延長、あるいは定年の廃止を求めるというものである。うちみたいな零細にも10月だったか11月だったかに案内が来ていたし、暮れには社労からも法改正に併せて就業規則を変える必要があるということで幾つか提案をもらっていた。
自分自身、還暦間近かだし、そういう年代の者からすると65までほぼ無条件で仕事を続けられそうだということになると、これは大変有難いことではあるのだが。しかし単に年金支給時期を引き上げるからその間、高齢者を雇用しろといういのは、あまりにも無茶な話である。
まあ普通に考えると、企業はこの施策をとっていくと確実に若年層の雇用を制限せざるを得ない。特に中小企業はしんどいな。若返りを図りたくても、高年齢者をそのまま雇用し続けなければならなくなるのだから。
こういうのも朝日の大晦日の記事にあったように、

「雇用は労使の問題」と企業まかせにしてきた日本の限界が見えてきた。

ということなんだろうか。
年金支給も原資の問題があり逼迫している。だから支給年齢を引き上げざるを得ない。そうなると高年齢者が無収入の状態になる。だからその無収入の期間を企業に雇用させるという形でケツ持ちを企業にもってくる。国の無策が生み出した結果の場当たり政策の典型だろう。
日本が高齢化社会になることはたぶん30年も40年も前からわかっていたはずだ。なのにその時のための施策をきちんととってこなかった。あらゆる問題を先送り先送りしてきたツケが今生じているということだ。
そしてその先送りをやってきたのが歴代の官僚たちと自民党政権だったということなんだろう。たかだか3年ちょっとの民主党政権にすべておっ被せようとしてもどだい無理だとは思う。もっとも民主党もなんの対応もできなかったけどな。
年金支給についてはもう引き上げては駄目だ。もしも原資がないならきちんと国民に説明したうえで消費税を早急に10%以上にしてでも財源にあてるべきだと思う。まあ、たとえばの話ではあるが。そうやってもう一度年金制度立て直すべきなんだろう。
さらにいえば現在年金支給されている層に対しても、例えば土地、預貯金などの資産が多い富裕層には支給をカット、ストップするなども必要かもしれないだろう。長年支払ってきたのに支給カットはという感情論もあるかもしれないが、掛け金は一種の税金であり、年金収入だけが頼りという人々にきちんと支給させるためにはある部分いたしかたないということだ。
そうでないと結局のところ自助努力ということにいきついてしまう。市場原理一辺倒でいけば富裕層、勝ち組はどこまでも富裕層、勝ち組でい続ける。そして弱者、貧困層、負け組みもまたいつまでたってもそのままだ。前者は高齢になっても蓄え、掛け金により過剰に様々な支給を得られると。
資本主義は市場原理だけに依拠していけば果てしなく格差が広がっていく。だからこそそれに何らかの制限を設け、富の偏りを調整することが政府の役目だったはずなのに。
今からでも遅くはない。年金制度の立て直し、政府による社会政策としての雇用創出とかそのへんに手をうたないと、本当にこの国はどうにかなってしまうのではとも思う。