「ワン・ディ」

ワン・デイ  23年のラブストーリー [DVD]

ワン・デイ 23年のラブストーリー [DVD]

  • 発売日: 2012/11/16
  • メディア: DVD
「ロンドンとパリを舞台に、男女の23年にわたる恋と友情を毎年7月15日にスポットを当てながら描く」「しっかり者のエマと自由奔放で恋多きデクスターは、互いにひかれ合いながらも友人でいることを選び」などというキャッチに、ちょっと小粋なラブコメ的な予断を抱きましてDVDを借りてみました。なんとなくノラ・エフロン、ロブ・ライナーメグ・ライアン路線みたいなそういうイメージだったんですが。
結果として大きく裏切られましたぜ、へへへ。7/15日だけのコラージュはややもすると冗長ではあるが、それはそれチープなメロドラマのオムニバスとしてなんとか破綻せずに観ることはできた。しかしあのラストはないだろ、あれは。なんつうか安易とかそういうことを通り越して、観る者には意外性もカタルシスもなにもない。ドスンとくればみんな涙そそられると思ったら大間違いだ。とにかく一時停止しろ。
このお話の流れでいえば、スクリーンプロセスというか、まあ普通にお約束としては、ハートウォミングなハッピーエンドか、やっぱりちょっと悲しいお別れ、でもめげないわ私みたいな類しかないはず。それをいかにきっちり作りこむか、それがすべてのタイプのお話なのに。そういう意味じゃある種の革新的というか、スクリーンプロセスをきっちりぶっ潰してくれてもいる。これって実験性?失敗なんですけど、みたいな感じだろうか。
アン・ハサウェイ、大好きな女優さんなんだが、意外とはずれ作品、はずれ役が多いような印象がある。やっぱり「プリティ・プリンセス」のイメージが強かったせいもあるのだろうか。「プラダを着た悪魔はえらく良かったけど、あとはあんまり印象に残るものが少ない。お姫様イメージの脱却といっても「ブロークバック・マウンテン」の南部のねえちゃんもなぜここまでみたいな感じもしたし、「アリス・イン・ワンダーランド」なんかはそのお姫様イメージのセルフ・パロディみたいな感じもした。個人的には「ゲット・スマート」の99号はTVドラマの同役バーバラ・フェルドンのイメージ髣髴させていてけっこう好きではあったのだが。この人、意外とコメディエンヌの才はあるとは感じた。
さらにいえば「パッセンジャー」もたいへん残念系の映画だった。以前にもちょこっとだけ書いたが、あれは出来の悪い「シックス・センス」のパロディだ。その流れでいえば今回の「ワン・ディ」はまさしく不出来なノラ・エフロンの亜流。「恋人たちの予感2012 ”23年目の衝撃”」てな感じだろうかね。