社会保険調査

来いというので行ってきました、社労と二人で。ようは加入資格があって社会保険未加入の労働者がいないかの調査及び加入促進ということ。うちの会社はというともちろん社員、嘱託は全員加入させているし、パートについても加入を希望する方には入社すぐで加入させる。でも主婦パートであれば、収入130万以下で3号被保険者でいたほうが楽。だいいち年金払わなくてもいいのだから。おまけに社会保険はというと、これもダンナさんお扶養になっていれば、ダンナさんの会社の社会保険でまかなってくれる。だからもし加入促したりしたって、「ウチはいいわよ〜」なんて、まあそういう感じなわけ。
会社としても、本人がそのつもりならそれでいいじゃんということもあるし、ましてや加入するとなると保険料は本人と折半となる。うちのような小企業だとこれがまたバカにならんわけだったりもすると。
そういうことで、案内にあった書類を用意しました。賃金台帳、タイムカード、社員台帳、源泉徴収簿、就業規則などなど。これだけ用意して時間どれだけとるのと事前に電話で問い合わせてみたら、30分程度とか。おもわず「こんだけの書類用意させてそんだけ」と電話で叫んだりしてみました。先方慌てて、「いえ30分から1時間くらいは予定しております」。
最初は、こちらとしては税金だってしっかり払っているし、社会保険もパートだって加入希望があれば加入させている。最近採用した子なんかは、親の面倒みるのにどうしても健康保険に入りたいということで熱心に応募してきたなんていうのもあった。だからなんの後ろめたいところはなしと強気の部分もあったりしたのだが、社労と事前に話をしていくうちにどうも旗色が悪いということがわかってくる。ようは1日6時間、週5日働いているパートさんのほとんどが加入対象者になることわかる。
そこで社労がたてたシナリオというのが、まずパートには全員加入を促進している。しかしダンナさんの扶養に入っている主婦パートは加入となれば負担が増えるので嫌がっている。強制すれば全員辞めてしまう。小さな会社でパート労働に頼っているので辞められた場合は業務に大きく支障がでる。今後も加入促進に努め、未加入者を説得していきます。後は平身低頭と、こういう感じでしたか。
で、結論的にいうとですね、こっちの平身低頭作戦まったく通用せずでした。対応していただいた調査官というか担当は中年の女性。小柄で丸顔、笑顔がけっこう愛嬌があって、若い時分にはそこそこ可愛い子ちゃんで通ったであろうかと・・・・・。何処見てるんだ。
この方、その愛らしい顔そのままのソフトかつニコニコしながら、我々の平身低頭(俯き舌だし)作戦を軽くいなして、「今回は特に指導はしないですが、次回までに全員加入するか、あるいは加入しなくても良い労働条件に変わっていただくか」とのたまう。さてそのための期間はというと、通常再調査は4年後くらいなんですが、とりあえず1年後くらいでどうでしょ」と。
加入条件はやはり労働時間で、一般社員の3/4に達した問答無用なのだとか。そこで上げられた例は、社員の勤務時間がうちの場合1日7.25時間でこれを月平均23日として166.75時間。166.75×3/4=125時間。ハイ、125時間越えたらアウトということなのである。
しかも未加入を悪質に放置した場合は、会計検査院の行政指導に発展する場合もあり、そうなると過去2年に遡って未加入分を請求されることもあるのだという。
こういう話を笑顔ふりまきながら調査官、おっしゃられるわけ。事務所出てから、社労に感想を聞いてみると、大変厳しい対応だという。普通だと社労のたてったシナリオで、「それじゃ頑張って加入を促進してください」みたいな感じで終了。後は10年くらいなんも言ってこないのが通例だという。それからすれば、通常4年後、おたくの会社は1年後にというのは、実質的には行政指導に等しいということらしい。全然そんな風にとることできない私は鈍感なのか、あるいは中年おばさんの笑顔に意外と弱かったりするのものか。
その後いろいろ調べるにつけ、これは年金事務所というか年金機構の方針なのです。ようはお国は社員であれ、パートであれ、誰からも年金の原資をとろうとそういうことなんでしょう。さらにいえば、厚労省はやたらと定年延長、雇用延長を促進していますから、年金支給時期は遅らせる、誰からもムシル、これを徹底していくおつもりのようだ。
まあ国のお決めになったことなので原則従いますよ。しかし担当した方もおっしゃられていたが、「加入対象者を全員加入させるか、あるいは加入しなくてもいい労働条件に変わっていただくか」ということです。これって企業からすれば、ようは時短を勧めているとしか聞こえない。例えば、1日6時間、週5日勤務だとアウトですが、1日5時間、週5日勤務なら社員の3/4を超えないということになる。時短は時給労働者には給与カットですから。かといってこれまで通りの条件で社会保険に加入するとだいたい一ヶ月13000円前後天引きされちゃう。一年にならせばほぼ一ヶ月分のパート代に匹敵しますがな。なんかもういろんなことにえろ〜矛盾を感じる今日この頃ですわ。と、なんとなく言い回しがナニワ的な雰囲気に。
もちろん会社としてもけっこうしんどいでっせ〜。パートさん全員加入させるとして、その会社負担分をパチパチ電卓叩いてみると・・・・・・、わずかばかりに出ていた利益がみんななくなりそうです。ホンマ、もうかってないんだから。
厚生年金への加入は3号被保険者の主婦からすると今まで一銭も払ってなかったものを支払うみたいな意味になるんだろうけど、一応メリットもあるにはある。国民年金の基礎年金だけだったのが厚生年金部分の二階建てなるとか。でも、差し引きするとたぶん年収150万以上もらわないと社会保険料の支出をペイできないという話もある。
パートへの社会保険加入を促進すれば、収入減や、あるいはパートの雇用機会自体が減る可能性だってある。雇用延長制を今の状況で進めると若い世代の雇用に影響が出る。なんとも難しい問題でもある。
なお、「健康保険及び厚生年金保険被保険者の資格及び報酬等の調査」とかでググると社労の事務所とかのサイトでいろいろ参考になるものがあるようでがす。
http://www.shikoren.jp/pdf/morita2311.pdf