メイリー・トッド・ライブ(Maylee Todd)


 ビルボード・ライブ・東京でのライブに行ってきた。彼女のライブは2013年にも同じ場所で見ている。
 今回の予約はなんと2番目でステージ正面、それこそ手を伸ばせば機材に触れることもできる。前回は友人と行ったのだが、今回は二十歳になったばかりの子どもを連れて行った。ビルボードでのライブなんてのは大学生には中々敷居も高いだろうし、何事も経験というところか。子どもも興味しんしんのようだ。ちなみに彼女が前席に座ったので、本当にステージに一番近い場所で、ライブの途中、跪いて歌うメイリーと見つめ合うという楽しい経験をしたみたい。その距離、1メートルというところか。
 今回のライブではドラムとキーボードとメイリーの三人。メイリーはハーブとシンセサイザーを使う。前回のライブでは新作アルバムに合わせてファンキーなディスコ・ナンバーが多かったのだが、今回はなんというのか、全編にわたりスタティックな印象。客の方もどう反応していいのかと思っているうちに終わってしまったような感じ。まあ前回のノリノリのイメージからすると真逆な感じ。
 曲調はシンセサイザーを全面に出したオルタナティブ・ロック、アシッドジャズ風とでもいうのだろうか。とはいえ彼女のセンスの良さ、曲の美しさが全体的に醸し出されていて、とてもいい雰囲気。1時間ちょっとのライブはあっという間に過ぎた感じだった。
 2015年にフィーチャーされ日本、多分京都でプロモーションビデオをとった「ロンリー」では、彼女お得意の客席に降りてきて、観客とハグしながら歌った。その日は六本木に行くまでの間にiPodで彼女の曲をおさらいしてたのだが、途中からこの「ロンリー」が頭から離れなくなってしまっていたので、それはそれでとても楽しい経験だったかな。
 まあ還暦過ぎても、メイリーのような若くて才能溢れる人にはまるというのも、まだまだ自分もどうしてどうしてみたいな感じかなと思わないでもない。彼女を評して、ノラ・ジョーンズ・ミーツ・ガガみたいなことが言われている。ようはノラ・ジョーンズ的なジャズ・フレーバーがガガのようなポップ・アイコン的要素をもちつつみたいなことなんだろう。でもね、そういうのはどうでもいいかなと思う部分もある。まあ自分的にも、彼女はもっとコマーシャルな部分に振ってもいいのではと思う部分もある。歌、曲、パフォーマンス、総てにおいて才能溢れている。有能なプロデューサーがついたら、間違いなくもっと売れるのではと思ったりもする。
 でも、今回彼女のライブを見ていて、彼女がもっと芸術性の部分で純化しているのを感じ、それはそれでいいのかなと思ったりもした。願わくば、より多くの人に彼女の素晴らしさを知ってもらいたいとも思う。さてと二十歳の子どもをそのへんどう思ったのだろうね。