READER(リーダー)を購入

だいぶあいてしまったな。仕事もけっこう忙しなく、家事との折り合いつけるだけであくせくしている。自宅で時間作ってパソコンの前にすわってものを考えるとかが、みょうにおっくうになっている。とはいえまったくパソコン触っていないかというと、そういうこともなく、けっこう睡眠時間を削ってでも机に座って、Youtubeだのオークションだのに無駄な時間を浪費していたりもする。ようは現実逃避の一種なんだろうか。
そうこうするうちに、つい碌でもないものを買ってしまったりもする。無駄なガジェット買いも現実逃避の一つなんだろう。今回の購入物品はこれである。

いちおう出版業界の末端で禄を食んでいる身である。電子出版そのものにも興味をもっている。この雑記でも何度か触れたことがあるし、iPad発売の時だったかにはこんなことも書いている。
http://d.hatena.ne.jp/tomzt/20100528/p1:TITLE
しかし自分で電子書籍用のデバイスを購入するのはたぶんもう少し先になるだろうとはずっと思っていた。その契機になるのは、アマゾンキンドルの日本版が発売された時、amazon.co.jpキンドル出現した時になるだろうと、ある意味決めていたところもある。日本でも大日本印刷が主体となった電子書籍購入サイト(パピレスだっけ)とかも出来つつある。でも電子書籍のトリビューターの本命は間違いなくアマゾンだろうし、デバイスもまたキンドルになるだろうという直感めいたものもあった。
今の電子書籍の主流である携帯やスマートフォン向けのコンテンツはおそらく駆逐されるだろう。あの小さな液晶画面は本を読む環境、デバイスとしてはあまりにもお粗末だし、適していない。かといってパソコンでは携帯性に問題がありすぎる。アマゾンの出した答えであるキンドルはまさしく、本を読むうえでのジャストサイズなんだろうと、それこそ触ってさえいないのにそう思った。
しかしamazon.co.jpはなかなか日本語キンドルを出さない。そしてキンドルサイトも実現しない。年内にも日本語版キンドルストアの開設、キンドルの発売とは、確か10月の半ばに日経に出ていた。ただしほぼ同時期に朝日だったか、出版社との交渉が難航しているという記事も出ていた。既得権益に汲々とている日本の出版社にとっては、電子書籍を通じてアマゾンに価格設定権、利益、それら総てを牛耳られるのが許しがたいことなんだろう。
しかし、基本的にはコンテンツを持っているのは出版社側なんだから、交渉次第ではうまいこと条件を引き出せる可能性だってあるかもしれない。すでにアマゾンとの交渉を終え、総ての出版物の電子書籍化してアマゾンから販売することを決定したPHPなぞは、たぶんいい条件を引き出せたのかもしれない。たぶんこういうのは、模様眺めで後から参入してもあまりいいことはないかもしれない。
アマゾンにしても、とにかくコンテンツが揃わなければ見切り発車はしないだろう。サイトを開いても中身がなければ、どうしようもない。新規開店した本屋さんの棚がガラガラだったら、誰が足を運ぶだろう。だからやるやるといいながら、なかなか開店しないというわけだ。これはこれで賢明なことだ。現実開設している国産ディストリビューターのサイトのお寒いことといったら。
まあいい、そういう背景のなか、たぶんいつもの物欲と、そろそろ電子書籍のデバイスにあたりをつけておいたほうがいいかなという思いもあって、ついヤフオクに手を出してしまった。新品未使用のもので6800円でゲット。アマゾンでは1万を切るあたりだから、まあまあ買い得感がある。とはいえ、新製品でWi-fiで通信可能なものが出ているから、型落ち的でもある。
まだ使用して間もないのだが、ストレートな感想をいえば、これはけっこうつかえる。読書をするということに特化しているんのだが、その意味ではほぼ申し分のない。文庫本と新書本を併せたような大きさは思いのほかコンパクトである。そしてなによりも薄い。この中に理論上は1000冊以上の電子書籍が保存できる。これはけっこう本好きにとっては至福なことかもしれない。
例のイーインクなるものも、iPadなどの液晶に比べて華やかさはないが、たしかに文字を読むということに限っていえば読みやすそうだ。試みにiPodtouchの電子書籍と比べてみると、確かにiPodのほうが視認性は良さそうだが、長時間の読書だとなんとなく目がチカチカするのだが、readerではそういうことがほとんどない。両方に例の青空文庫で落とした古典モノを何冊もダウンロードしての印象である。
なかなかの好評価をといいたいところだが、悲しいかなコンテンツがつらい。前述したようにアマゾンにはまだ日本語の電子書籍サイトがない。readerのサイトあまりにも貧弱であるし、タピレス等もコミック、それもエロコミックに特化しているような感じだ。しかたなく、というか、とにかく利用するには青空文庫からせっせとPDFを落として、それをEPUBファイルに変換してreaderに保存するという手間暇を夜なべ仕事さながら、せっせと行う。気がつけば漱石や藤村、堀辰雄などの主要作品をみなダウンロードしている。なんか高校生に戻った気分で、近代文学に目覚めてしまいそうである。
漱石は三十代の頃に再読したことがあるが、果たして堀辰雄とかを五十路のすれっからしの感性で受けいれることができようかと、ややもすれば疑問である。ついでに多分きっと読まないだろうとも思うのだが、あの『大菩薩峠』もぜんぶいれてみたりもす。
青空文庫からのダウンロードはまあまあ簡単といえば簡単ではある。ただしやり方によっては以外と大きなファイルになっていることもあり、当初千冊以上保存できるはずなのに、100冊程度でいっぱいいっぱいになってしまった。確認するとPDFファイルで長編小説が50メガ以上になっていたりした。それで何度か試行錯誤するうちにうまいこといったというのが実情である。まだまだファイル変換とかのユーティリティはあまりうまく使えていないのが実情である。
http://e-words.jp/w/E382A4E383BCE382A4E383B3E382AF.html
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青空文庫 Aozora Bunko
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