レオナール・フジタ

今回、ポーラ美術館ではレオナール・フジタの特別展示をやっていた。レオナール??、私なんかからするとちょっと違和感あり、ようは藤田嗣治のことでしょうということになる。いちおう知識としてはあるにはけど、私の藤田嗣治のイメージっていうと、パリでいちおう成功した日本画家、ややイラストめいた、ちょっと綺麗なこ洒落た絵を描くおかっぱ頭のへんなおっさん。絵画としてはマリー・ローランサンなんかと同じくくりにみたいな感じでした。
今回、まとめてこの方の絵画を見て、やはりなかなか凄いものがあるんだろうなとは思った。とはいえ正直、好き嫌いでいえば、どちらかというとあんまり好きなほうじゃないかもしれないな。例の「素晴らしき乳白色」とかいう色使いもそれほどぐっとこないし。まあこのへんは感性の問題だから。しかし、掲示された経歴を読むと改めておえらい画家さんなんだと思いました。日本で普通に考える以上にパリでえらく成功した画家さんでもあるのだということも知りました。
フジタとモジリアニは友人関係にあったということなんだけど、おそらくモジリアニは存命中にフジタほど成功していない。いや成功以前にたぶん画壇からはほとんど認知されていなかったのではないかと思ったりもする。
若き日のモジリアニを描いた映画は確か「モンパルナスの灯」があったっけ。ジェラール・フィリップアヌーク・エメという美男美女が演じた映画だけど、今でもけっこう覚えていたりもする。アヌーク・エメはその後も「男と女」とかで大人の色気むんむんの大好きな女優さんではあるが、この映画の美人ぷりといったらないな〜とおもえるくらい綺麗だった。これはちょっとやりすぎかとも思っていたのだが、実際のモジリアニの奥さん、ジャンヌ・エビュテルヌがこれまた凄い美人だったりもして。これは確か大原かなんかで絵の解説にあった彼女がモジリアニの死んだ二日後に自殺したとかいう記述に興味があって調べてわかったことなんだけども。
ジャンヌ・エビュテルヌ

アヌーク・エメ

なんか話脱線したような。そうだ、藤田嗣治の話だ。この「モンパルナスの灯」にも藤田らしき人物は出ていないと乏しい記憶で思う。東洋人物らしき人間は出てなかったと思う。脱線ついでにいえばモジリアニの伝記映画は比較的最近、アンディ・ガルシア主演で「モディリアーニ真実の愛」とかっていうのがあるらしい。この映画はピカソだのユトリロだのも登場して、さながら当時の若き画家群像みたいになっているのだが、ここでも藤田はどうも登場していない模様。
いっそ、日本企画でそういう映画作っちゃえばいいのに。「FOUJITA」とかさ、主演は浅野忠信あたりでいいんじゃないか。欧米のそこそこ中堅俳優集めて20世紀初頭のパリ、サロンでの若き画家たちの群像劇みたいなのどうだろう。
と、これで脱線終了。藤田の特別展で面白かったのは、晩年の藤田が日本での戦争協力を問われ、それこそ戦犯扱いされて、失意のうちに日本を捨て(フランス国籍を得る)、パリに移住してからのこと。もうたぶんフランスでも過去の人だったんだろう。それでもやはり文化の国、多様の国だからそれなりに居場所があったんだろうね。で、晩年の藤田の作品というと、小さな子どもが様々な職業についている戯画、それもタイル画という小品なんだが、これがけっこうに面白い。一様に可愛げのない、小生意気なちびちゃんたちが様々な職業についている。その可愛げのなさが異様過ぎて思った。奈良美智は絶対このへんパクってないかと。例えばこれなんかどうだろう。

わかる人にはわかる、わからないか・・・・・。