サトエ記念21世紀美術館へ行く

 カミさんの免許の更新が割と早く終わったので、近場の美術館にでも行くかみたいなことになる。鴻巣からどこへ行けるか、さすがに都内まで繰り出すのもシンドイと思い、ちょこちょこっとスマホで検索したところ、加須のサトエ記念21世紀美術館と浦和の埼玉県近代美術館の2つをチョイス。より近そうなサトエに行くことする。

 と、その前に腹ごしらえをということで、加須近辺を少しだけうろうろ。加須といえばやっぱりうどんかと思い、ロードサイドにあるこういううどん屋さんで昼食を。

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 駐車場はかなり広く、しかも右側部分はほとんど満車状態。50メートルくらい先に一番遠いところに止めてカミさんを車椅子に乗せて店まで。店前のベンチには待つ客が多数いる状態。なんだかディープサイタマの深淵に迫るようなお店。

 うどんはというと割と普通の田舎風のうどん。よく武蔵野うどんとかで食べるやつとだいたい同じパターン。まあまあ美味しいけど、行列作って食すほどかなとも思ったけど、正直うどんのことあまり知らんし、そのへんはもう好き好きっていうところか。まあちょっとワイルドな丸亀製麺みたいな感じ。

 さてとサトエ記念21世紀美術館である。

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 ここに来るのは調べると3年ぶりということになる。

サトエ記念21世紀美術館 - Wikipedia

 前回も確かそうだったのだが、今回も埼玉ゆかりの画家の企画展を行っていた。収蔵品が多いからなんだろうか、割と定期的にそういう企画展を行っているようで、それはある意味地域の美術館の役割といってしまえば、まあそういうことになるか。自分は割と栃木や茨城の公立美術館へ行くことが多いので、当然そのご当地の画家の絵に親しむことになる。まあ地域の美術館、そういうものかもしれない。

サトエ記念21世紀美術館 埼玉ゆかりの芸術家展 熱き心と魂の行方 2019

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 それにしてもこの美術館は環境といい、館内の雰囲気といい、とにかくリラックスできる。客はというと我々だけ、2時間ちょっと滞在したはずなのだが、その間完全に貸し切り状態だった。お盆休みの最終日とはいえ、こんなに閑散としていていいのだろうかと、ちょっと心配になってしまうが、まあ学校経営で儲かっていそうだし、美術館の運営危機みたいなことはないのではないかと思ったりする。でも、埼玉県民はこういう施設、美術品に触れることが出来る施設をもっと利用した方がいいと思う。

 入ってすぐのオープンスペースにある居心地の良いソファに座って、ボーっとしてるだけで30分くらい時間が経過。そのスペースにはロダンルノワール萩原守衛等のブロンズ作品が陳列してある。涼しい空間に身を置いていると、本当に至極の時間みたいな感じになる。

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 常設展示では、まあここの目玉とでもいえるだろうか、フォーヴィズムの画家ヴラマンクの作品が数点展示してある。同時にヴラマンクに師事した里見勝蔵の習作なんかも展示してある。ヴラマンクというと、深緑で建物が妙に斜めに傾ぐ絵がある時期の特徴。その辺の作品を何枚も観たのは確か宇都宮美術館だっただろうか。

 しかし、こうやって並べてみると里見勝蔵のヴラマンクへの傾倒ぶりがよくわかる。

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 さてと、どっちがどっちやねんっていう感じである。

 里見は日本にフォーヴィズムを紹介した人物ともいわれている他、渡仏中に直接ヴラマンクの薫陶を受けている。

里見勝蔵 :: 東文研アーカイブデータベース

 たしか佐伯祐三ヴラマンクに紹介したのも里見だと何かで読んだ記憶がある。ウィキペディアの記述によれば、佐伯が自分の作品をヴラマンクに見せたところ、「このアカデミックめ」と一括されたというエピソードが書かれている。まあ才気ある気鋭の画家とはいえ、少ない情報、モノクロの図版とかを頼りに模写を繰り返している画学生の作品など、巨匠からすれば頭でっかちな習作にしか見えなかったということだろうか。

 その後も佐伯祐三ヴラマンクを何度か訪れていると記述にある。彼の作品からはユトリロとともにヴラマンクからの影響がうかがえる。色の使い方とかそのへんだと思うけど。

 サトエ記念21世紀美術館の埼玉ゆかりの画家というと、どうしても田中保の作品がメインとなる。実際、この美術館でも田中保の作品はかなり収蔵しているという。多分、この美術館や埼玉県近代美術館では何度か田中保の回顧展を行っているのだろうが、一度きちんと系統だてて観てみたいと思う。20世紀初頭、単身アメリカに渡り画業のキャリアを出発させ、その後パリに移り、いわゆるエコール・ド・パリ派の一員として活躍した人である。

 日本で同時期に海外で活躍した画家というと、どうしても藤田嗣治ということになるが、田中保はほぼ藤田と同時期にフランスやアメリカで活躍した人でもある。

田中保 - Wikipedia

 今回の企画展でも4点くらいの作品が展示してあったが、どれも画力、雰囲気ともに、他の作品を圧倒する力があると感じた。

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 そのほか、気になった作品を何枚か。

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