児玉龍彦氏ユーストリームで対談する

7月27日に国会で怒りの意見表明を行った東大アイソトープ総合センター長児玉龍彦氏が、8月5日ユーストリーム津田大介氏との対談形式でインタビューを受けた。児玉氏、もとい児玉先生の真意がよく伝わる内容だったと思う。正直児玉先生の思い、プロの専門医としての考え方、実際に南相馬での活動の話しを含めて感動ととも聴いた。
根がひねくれているので、普通学者さんを先生の呼称で呼ぶことなどほとんどない。まあ仕事柄、著者筋の方と話しをしたり、その方々の話をする場合には、職業上のテクニカルタームとして先生という呼び方を普通にする。それ以外ではどちらかといえば多少皮肉な意味合いで「センセイ」と呼ぶことはある。しかし児玉氏に関しては、素直に、そして敬意を込めて先生と呼びたいと思う。
相変わらず児玉先生の国会での意見陳述に関しては、マスコミは黙殺、無視を決め込んでいるようだ。何社かにはなぜあの国会での参考人の意見陳述をとりあげないのか問い合わせもしているのだが、今のところ回答は一切ない。そんななか、ようやっと毎日新聞が児玉先生へのインタビューを行い記事を掲載したようだ。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110808ddm012040044000c.html
さすが毎日である。報道機関としては、朝日、読売、日経を一歩も二歩もリードしたなと思う。それと、じょじょに、じょじょに、児玉先生の活動、意見を、マスコミが、日本社会が黙殺できない状況が広がりつつあるのではないかと、そんな思いもしている。もはや正しい報道はマスコミにはなく、ネット上にしか存在しなくなってきている。今回の件についていえば、そういう事象が成立しているのかもしれない。
児玉先生と津田大介氏のユーストリームでの対談のことである。
児玉龍彦(東大先端研教授)×津田大介(ジャーナリスト)
いろいろと感想を述べたいところだが、それはいつか。ただ思う。政府にしろ、経産省にしろ、民主党にしろ、自民党にしろ、財界にしろ、東電にしろ、みんな今回の震災と原発被害での対応を最初の一歩から間違えてしまった。ボタンの掛け違いだ。地震津波被害、それに続く原発事故において、まず第一に優先すべきことは、被災地の救援であり、原発事故で汚染された地区での避難、正しい情報の提供、そして除染だったはずだ。
なのにこの国のエスタブリッシュメントの考えは違った。原発事故対応、情報提供はすべからく原発へのマイナスイメージにつながる。国益として最優先されるのは、原発を守ること、それはイコールとしてこれまで進めてきた日本のエネルギー政策の護持であると。
そこから様々な情報隠蔽が図られた。本来第一義にすべき情報開示、提供はことごとく隠蔽され、風評被害といったネガティブ・キャンペーンのもと、原発事故は、放射能汚染は小出しに小出しにということになった。
情報隠蔽と情報操作により、汚染の影響は過小評価されたため、その対応は徹底的に遅れた、サボタージュされた。
さらには震災対策、被災地救援、復興支援、原発事故対策、放射能問題、それらすべての対応の問題点、遅れは、現在の民主党政府、あるいは総理大臣の個人の資質に起因するという一大キャンペーンがうたれた。国会は総理大臣の首の挿げ替えがなければ、なにも議論もされない、一本の法律も通らないという状況のままここ数ヶ月推移している。
確かに政府の対応、総理大臣の資質に問題が多々あったかもしれない。しかし官僚、財界、政治家、それらの関心事は被災地に寄り添うことではなく、まず原発、国の推進してきたエネルギー政策の護持にあったのだから。それに対するネガティブな認識、行動、それらはすべてサボタージュの対象になったのではないか。
ひるがえって行動する研究者となった児玉先生たちの活動はどうか。日々の仕事のかたわらで、毎週南相馬に赴き除染活動に従事されている。その現場から怒りの意見表明が7月27日の国会での陳述だったのである。
今回のユーストで対談でも、一転した穏やかな口調でのものいい、その中でおっしゃられるお話には、拝聴している私などはときに、目をうるうるさせるほどの感動的な内容だった。

それでだからそのー、猿橋さんみたいなこう、ことをみんなでやって総量を減らす知恵を。散っちゃってるけどなんかその日本の政府も経団連もあのー、我々もマスコミのかたも、お父さんもお母さんも、やっぱりそのこの散っちゃった、なんかこう先祖から受け継いで子どもに渡す日本の国土……、これを守って欲しいっていうのが私の気持ちです。 

僕はいつもみんなに言うのは、本田宗一郎さんはいつも言ってた。「得手に帆を揚げて」って。自分の得意なことで貢献しろと。

そう、だから法律の人は法律のことをやって欲しいし。イメージングの人はイメージングのことをやって欲しい。それからなんかこう子どもと遊ぶことが好きな人は子どもと遊ぶことを考えて欲しいとか。なんかだから詩の作れる人は詩でやってほしいし、歌のうまい人は歌でやって欲しいし、なんか自分の得意なこと。そうするとね、何が大事かっていうと自分が世の中に何の役に立つのかってのを考えて欲しい。自分が最も役に立つことをやってくれれば直接原発じゃなくてもきっと、原発事故の人の助けにもなるし。震災でもっと、いま津波で悩んでる宮城とか岩手の人たちの助けにもなるんじゃないかと。

そうなのである。もう原発に対する判断は一度保留してもいいのではないかと思う。原発推進派も反原発派も、そのことでの議論をとりあえず棚にあげてもいい。議論の前にやるべきことが数多あるのである。児玉先生のおっしゃるように7万人、いや10万人の方が、住む家、環境を奪われて彷徨っているのである。
政治家も官僚も経済人も、もちろん一般市民も、それぞれが自分の得意分野でやるべきことをやる。そのことを通じて被災地支援、放射能汚染に苦しむ人々、地域への支援をするべきなんだろう。
自分の住む国を愛し、それを次代の子どもたちに引き継ぐために何をすべきかを真剣に考えなくてはいけないのだと思う。やれ菅がやめればとか、反原発原発推進とか、そんな末枝にこだわっている場合ではないのかもしれない。
久しく口にしなかった言葉だが、愛国、自分の住む町、地域、家族、友人、隣人たちが住むこの国を愛するために、なにかをしなければいけないのかもしれない。まして放射能によって愛すべきこの国が汚されてしまったのだから。
例によって、このロングインタビューを文字起こししているサイトがある。大変有難いことだと思う。
児玉龍彦×津田大介のUst対談・書き起こし(1)、8/5 : 座間宮ガレイの世界
今回も長文になるが、多少文章を整形して自分の記録のためにアップしておく。

スタッフ:聞こえてますか皆さん聞こえてますか。さきほど津田さんもお見えになっていよいよUstの放送が開始できるようになりました。えーとみなさん聞こえていますでしょうか。…。いいですか。 
児玉龍彦:クーラーちょっと温度をゆるく、少し寒くなりすぎてる 
スタッフ:画像入ってますね。音声も入ってますね。えーと、聞こえてますか。ツイッターは少し調子悪いですよね。
津田:少し切り替えのタイミングかなんかなんですよね。
スタッフ:そうなんですか。
津田大介:旧ツイッターから新ツイッターへ。
児玉龍彦:杉山さんちょっとクーラー、あ、こっちか。
スタッフ:えーとじゃあ大変お待たせしました。えーとですね本日は、津田大介さんをおむかえしてですね、児玉龍彦先生とえー対談をお願いしたいということで急遽セットさせていただきました。児玉先生は皆さんご存知と思うんですが、前回国会に参考人として、出席されましてそちらでですね、非常に冷静かついろいろなデータをもってですね、いろいろ問題点を指摘されました。そして、その熱い情熱がですね、YouTubeやなんやですごい反響になっていて。皆さんもっと話を聞きたいという声がすごく多かったと思います。それで国会後すごい限られた時間しかなかったので、まだまだ話せないこと、そしてまた国会であのー実際には資料を配ってそれを元にお話ししてたんですが、YouTubeで見た方はあのその資料がわからなかったので、お はなしが分かりにくかったところもあると思います。そういうところも含めてえー本日ですね、津田大介さんが。
津田大介:はい。
スタッフ:児玉さんに色々お話を聞いてくれる事になってます。 
津田大介:そうですね。だから対談という形ではなくて、どちらかというと一般市民代表という、代表するわけじゃないですけど、まあなんか聞き手としていろいろお話をもっと国会で言い足りなかったことなどですね、お伺いできればなあと思ってるんですが。まずそういった細かいお話になる前に、ちょっと、あの国会に出演されてまあそれがYouTubeとかで相当広まって話題になって、反響とかっていかがでした?相当あったと思うんですが。
児玉龍彦:やっぱりびっくりしました。えーとそのー、国会でわいわい言うっていうのは、あの、まあいろんな食の安全懇談会とかそれから子どもの遊び場の会とか、 毎回言っているのですけど、国会もあの、実際のでいくと、ちょうどあの日子ども手当ってのがあったりして、委員も出入りも多いし、まあなんていうのか、あんまり集中して聞いているわけでもないから。まあこうこっちで内部で言いたいこといっぱいあって、こう自分で勝手に盛り上がっていくのを押さえながら話してやるっていうんで大変だったんですけど。終わってみても結局そのとおりで。これで帰る。で普通の仕事のもどっていまして、そしたらそのうちになんか息子のほうから大変なことになってるよとか。
津田大介:(爆笑)
児玉龍彦:それでもまあ翌日、農林省の会議とか行ってたんですけど。そのころから急にうわーっと1時間に100通ぐらいfacebookで友達になろうとか。でなんとかっていうんで、沢山の方から励ましとか、それからえっと、心配とか批判とかいただいて。やっぱりあのすごくありがたい。なんていうかな学問て一つの事でこういくっていうよりも、僕らグラウンドっていうんですけれども、こういくといろんなものがでてきてこう、発展していくっていうのか。急にこう乱気流に入っちゃったりしてね。でもまあいい人と勘違いされてる人もいるかも知れないけど、大したことないあれですから。だいたい友人から言わせると賞味期限2週間くらいだから1週間くらいのうちに機会があったらいろいろ言っといたほうがいいよとか。
津田大介:なるほどね。なんか僕も児玉先生の質問とかを答弁とか参考人のあれを拝見してて思ったのが。あ、なるほどと。結構やっぱりどうしても科学に対して深い理解がない我々はどうするのかっていうと。まあ放射線がもれてきて、放射能が来ると放射能をたくさん大量に浴びると癌になるみたいなそういうものすごくざっくりとした理解をしてしまうわけですけど。あの児玉先生の説明だと今回放射能っていうものは、あの分裂期のDNAに影響を与えて、まあそれがそのがん抑制遺伝子に障害を起こしてそれがまあ細胞増殖に変化をもたらして、それが癌になるんだっていうことを多分すごい丁寧な言葉で、議員の先生たちにわかるように説明されてたと思うんで。多分なんかあの、今回の児玉先生がずっとやられてることって、多分震災以降すごく問題になってることって、いわゆる科学コミュニケーションというか。その科学者の人がデータをもとにいろいろな見解を述べてるっていうことに対しての。それとやっぱり一般の人の理解ってのがすごく差があってそこを埋めるとこの重要性がすごく増していると思っていて。まあそれを浮き彫 りにしたのかなあと。
児玉龍彦:一番大きいと思ってるのはですね、科学者が議論するときに前提があるんです。そしてその上で議論してるんです。ところがね、前提が間違ってると、みんな間違っちゃう。だからまず最初はあの、ここにでてるやつとかでやりたかったんですが。
津田:ちょっと資料を見ながらまた、国会の時では足りなかったところを説明して。
児玉:前提を切り替えるってのは大変なんですよ。それであのこれまでの議論って、みんな放射線の安全というのをマイクロシーベルトでやるとか、なんていうんですか、そういうどこにいくつでてるから安全だとか、不安だとか言って、その数量をめぐってえんえんともう何年もやってますよね。だけど、今回の事態の一番すごいのは要するに僕は最初に思ったのは、5マイクロシーベルトっていう値じゃなくて、出発点から100キロメーターで5マイクロシーベルトっていう。このスゴイ量が出ている。だからすごい量が出ちゃうと、もうその平均は5マイクロかも知れないけれども、あるところでは10倍100倍ってすぐいくと、あるところは500マイクロシーベルトかも知れないし、またすぐそばでも0.5かも知れないっていう。そういうような問題だと思ったんです。そうすると例えばあの、その文部省がね、子どもの被曝ってのを計算するときに学校にいる時間の被爆を計算してるんですよ。だけど(笑)、家に帰っても被曝するし、だから意味が無 いじゃないですか。それから食品1個食べる時にこれはこの食品を何100キロ食べたら害が出ますとかいう言い方しますけど。全部の食品に入る可能性があるわけですよね。それが現実に起こってきてるそうです。それからあの、思いもかけないところで濃縮されるってことも起こりますよね。だからその、問題の質がガラっと変わっちゃって、今までの我々がやってる、まあここにもいっぱいあの、アイソトープの管理の記録ってのがありますが、これはもうある点に、アイソトープがあって、だからそこから距離を離せばいいとか、ここの濃度をまあ体についちゃったらその点の濃度を見ればいいっていう話なんだけども。今度は面とか空間で、もう全部そこにでちゃってるわけです。だから法律もダメだしあれもダメだしもう全部変わっちゃってる。それでところが変わっちゃってるのに、学会の主流の専門家もそれから文部省だとかその他のお役人も政府の人も、問題が変わってることを気づいてない。だから従来のこの障害防止法みたいのでそのまんま考えちゃうわけですよ。 
津田:それくらいの規模の、まあかなりイレギュラーな事態、大きな事態が起こってるにもかかわらず、まあ平常時のもので対処しようとしたので、ああいう直ちに影響はないみたいな言い方でいろいろな処理が起こっているという。
児玉龍彦:それで今でてる食の安全という議論、全部それじゃないですか。 
津田:それ以上にまずね収束のことばかりになってますね。
児玉龍彦:だから今放射線被害とかなんかいうときに、それであのー。あともうちょっと違うと思うのは、実際に我々がアイソトープの受け入れとか廃棄とかやるときにですね、僕らは例えばP32というリン酸とI132っていうヨウ素は別々に扱います。ところがマイクロシーベルトとかいう議論だと、みんな1つにしちゃうじゃないですか。それであのアルファー線を出す、国会でも言ったんだけど、プロトラストってのは肝臓に集まるということを言いましてね。それからヨウ素甲状腺にあつまります。それでセシウムは、まあ膀胱がんになってしまう。そうすると膀胱におけるセシウムとか、肝臓におけるものとか1つずつ違いますよね。だから普通、病気とか汚染っていうときに、カドミウムでも水銀でも、例えばおんなじ水銀でも有機水銀と無機水銀は全然違って、水俣病になったのは有機水銀ですよね。そうすると今度たとえば出てるのに、あの、福島の場合一番最初はやっぱりあの、ヨウ素なんですよ。だけどヨウ素のときはSPEEDIとか伝えなかった。半減期8日ですよね。そうするともう、一月で、だいたい2分の1、4分の1、まあ8分の1。二月で、16分の1、32分の1、64分の1。三月で、128、256、512、というふうに、もう全然検出限界以下になっちゃってるから。ヨウ素の問題は本当は一番最初にここが避難しろっていうのを言うべきだったんだけど。そのタイミングはもう終わっちゃってる。それで今は、セシウムですよね。セシウムの問題をやんなくちゃなんないんじゃないかっていうふうに。
津田:SPEEDIに関して言うとね、そうとう、当初公開が遅れてしまったって言うところで、まあいろいろ問題も指摘されてるんですが。また一方で、その科学者の方の中でもああいったまあ、SPEEDIみたいなものを公開してもそれを一般市民が見ても正しく読み取れる人 のほうが少ないんだから、むしろそれで混乱を招いてしまうんだから公開しなければいいんじゃないかっていう意見をお持ちのかたも多いと思うんですが。児玉先生はそのへんはどう考えて…。
児玉龍彦:ええとですね。その前にですね。あの科学者の人も勘違いしてるんですよ。 
津田:ほうほう。といいますと。
児玉龍彦:あの昔の人はね、疫学とか統計学が好きなんです。今、コンピュータ世代の研究者って、予測とシュミレーションが好きなんです。それでね、疫学と統計学と予測とシミュレーションというのは、我々がやってると全然違います。 
津田:はあ、どう違うんですか 
児玉龍彦:あのね、疫学とか統計学をやるのにはパラメーターが多いほど正確になるっていう考え方がある。だからあの、僕の専門、生活習慣病とかなんですが、よくメタボリックシンドロームとか言うじゃないですか。そうすると、お腹の周囲が何センチとか中性脂肪がどれくらいだとかコレステロールいくつの人が心筋梗塞になったという統計処理をやって、これで病気のシンドロームを言うじゃないですか。こういうのは、レトロスペクティブにやるときにはパラメーターは増やせば 増やすほど、ある因果関係がきれいに見えたように思うじゃないですか。ところが予測、プロスペクティブにやってると、パラメーターが多いと外れます。パラメーター少なくしないとだめ。少ないパラメーターで、メカニズムで予測しないとダメなわけですよ。それでね、SPEEDI問題もだから結局、僕が見てると、 文科省とか原子力安全委員会が、シミュレーションというのを全く理解していなかった。経済産業省とか原子力保安院の報告書を見ると、SPEEDIはデー タが足りなかったから発表しなかったって。 
津田:足りないんだったらむしろそういうのが正しい訳なんですね 
児玉:だって予測って、データが全部あったら実測であって(笑)。そんなものシミュレーションじゃないじゃないですか。 
津田:なるほどね。たしかにね。
児玉龍彦:だから、あの今発表したらパニックになるとか何とか言ってる人は、予測というのを全く理解していない。だから予測っていうのは少ないデータでやってやるわけだから、少ないデータの中で一番正確な予測がSPEEDIなんですよ。それで僕はコンピュータのいろいろやってますから知ってますけど、 SPEEDIはですね、そのまあ民間企業が動かしてるんですよ、はっきり言うと。国なんて全然出来ないの。それで、SPEEDIを動かしてるところはフルに動かしてました。だってそれであとでデータが足りないって、シミュレーションだから、当たり前なんですよね。だから多分コンピュータとかネットの人はすぐわかるとおもうんですが。統計とか疫学ってのはある意味で古いんですよ。なにかっていうと我々が今やろうとしてるのは、未来の予測をやろうとしてるわけでね。そうするとね、予測やろうとすると計算量もすごくなるしコンピュータもフルに使えないとダメだから、そういう予測をどんどん出さないとダメっていうのがまずイロハのイだと思うんです。だから今おっしゃっていた議論も、予測がなんとかだったら不安になるんじゃないかっていう議論は、要するに過去の疫学とか統計とかを知らない人で、予測の仕方でより正確なものを出したら不安になるっていう議論がへんだとおもいません? だから予測って難しいんですよ。
津田:まあ天気予報だってね、100%当たるわけでもないですし。
児玉龍彦:でも、やっぱり天気予報けっこう当たってきて。地球シミュレーターとかできて、すごく良くなってきてるじゃないですか。
津田:そうですね。
児玉龍彦:ええ。だからその、国会で言いたかったのは、なぜ21世紀の日本なのに19世紀みたいな議論やってんのって。
津田:ああ、なるほどね。
児玉龍彦:だから1つの数値にして、マイクロシーベルトがどうこうとか、測りもしないで議論してるわけですよ。それで安全だとかいうたびに、どんどんみんな不安に思っちゃうわけですよ。
津田:ほかに、じゃああのこれもそうなんですけども、国会でまだまだ時間足りなくて言い足りなかったことがあれば伺っていきたいなあと。
児玉龍彦:はい。あのー、今のところで、一番やっぱり大きいと思うのは、今こういうマップが出てますよね。あのいろいろと、線量の。それであの、やっ ぱりだから、データを沢山取るって場合に、どう取るかっていうと。例えば原子力学会なんかはもうすごく古くて、1キロメッシュで取るとか言ってるじゃないですか。今は僕が思うには、あのアメリカ軍なんかが空からばあーっと、スキャンしちゃいますよね。あのほうが全然早いですよね。僕もあの現地で測定とか除染とかやってるからものすごく知りたいのは。今、例えば300メーターとか500メーターとか、もっと上から撮った航空のあれしかないわけですよ。それでイメージングベースって繰り返し言っているのは、あの要するに空から撮るみたいな、100メーターぐらいの高さでなめるように撮ってくれたら、どっかの小学校は危がないかも知れない、どっかの幼稚園は危ないかも知れないとか。ここの幼稚園はそんなに心配ないとか。だからさっき、まだ同心円でどうこうとか、議論やってるじゃないですか。それをデータをなんでばあーっと、だから僕らの科学ってデータドリブンていう、データで駆動されるっていうんですか、ドライブされる。データドリブンのサイエンスっていうのが、コンピューターを使っていると当たり前なわけですよ、サイエンスでは。ところがそういうのが全然入ってないから、昔流に1キロメッシュとか2キロメッシュとか、のん気なことで話がいっちゃって。まず住民が求めているのはグーグルアースみたいなもんでしょ。だから政府が……。
津田:Googleアースでね、拡大していったら、ここが線量高いみたいなのがね、うちはここですよというのがわかるみたいな。
児玉龍彦:だからGoogleレイディオアクティビティーを早く作ってクリックしたら、うちはここですよっていうのがわかるのがあたりまえだと思うのに。
津田:まそのためにはその、本当に政府がお金をかけて、本当に細かく細かくモニタリングするっていうことですよね。
児玉龍彦:いやあれ、空間で空から撮るイメージングだなんて、NHKスペシャルでのフランスのを借りてやってるとかなんとか、いってるくらい出回ってる機械なわけですよね。
津田:技術としては十分にある……。
児玉龍彦:もう十分にそこはあるんだと思うんですよね。だからそういうものを徹底して使って、まずこう被災地域の、これはどっかあのネットに出てたあの、どちらかのえらい方がこういうマップを作ってくださってて我々も使えてるんですが。やっぱりこういうものをもっとなめるように政府が作って。それも、今でてるやつって高いところから出てるだけで、もっと低いところから細かく撮ってそのGoogleアースのあのだから、Googleラディエーションの解像度のいい奴を早くつくっちゃいなさいってのが考えです。 
津田:なんでそれがじゃあ出来ないんですか。それを邪魔しているものは何なんですか?
児玉龍彦:一番大きいのはですね。うーんと。(※コンピューターを操作)一番…(※図が出る)。あのときにいろいろ提案したかったんですけども。やっぱりなんかあの、ある問題が起こって非常時の時に、こういろんな情報を区分けするのは無理ですよね。例えばあの、食品のスクリーニングのことでもわたくし随分申しましたが。農産物を作ってるっていうのは農林省の会議でやるわけです。それだけど、食品の検査って厚生省と保健所でやってる。それで機器の開発は、経産省がやってる。だからあのー、国会の翌日も農林省に行って農林省の審議官のかたと話してたんですけども。やっぱりあの、自分たちがいくら作っても厚生省がうんと言わないと使えない。なんとかって。だからあの今回の非常事態の場合は、やっぱりなんか、ここで、まあ従来の障害防止法より上位の法律が要るんじゃないかと。それで……。
津田:完全に縦割り行政の弊害が今…。
児玉龍彦:だからあのなかでも自分は法律違反やってますよって散々言ったのは、もうね、アイソトープ運ぼうとすると、ここにこれだけ法律がある。航空法、船舶法、車両法、なんとか法。だからアイソトープのこれ、こっちに出てんの全部アイソトープを運ぶのに関わる法律。カメラで拡大できますか? 
津田:この左ページのほう。
児玉龍彦:反対の方ですね。(※画面に映る)
そこに出てるけど、まあ細かいことはいいですが。アイソトープでもこれだけの法律があるわけです。そうするとですね、なんかねあいまいな新しい法律作っても、きっと今までの法律とどっちが上位かっていう議論が延々と出てくる。それで、それを一番感じたのは5月の全国のアイソトープ総合センター長会議というのに行ったときに、わたくしも東大のセンター長だから行きました。九州でやったんですよ。福島原発の後だから、みんなアイソトープ総合センターだから、これはすごい熱い議論をやろうっていって行ったわけですよ。それで、文部省のまあ規制室の方も来てたわけですね。それでいろいろ講演されてたんだけど、その福島原発の問題、議論したときに、その、僕らがだからこういうのをやろうやろうということを言ったときに、規制室のかたが非常に困っていたんですよ。それで、だから僕も割とおっちょこちょいだから、あの調子で、規制室は国民の健康に責任を持とうというんじゃないんですかって言ったら、いや、私たちは国民の健康に責任をもつわけじゃなくて、あの、なんて言うんですか、ええと、今の法律に従って取扱者を規制しなくちゃいけないと言って。最初は違和感を覚えたんだけど。考えてみたらあの、僕は国会出て法律違反やってますって言ったら、すぐいろんなかたからわっときて、実際に放射線の取り扱いはどうなってんのかとか言われるわけですよ。だからこっちみたいにある程度なんていうか、あの、あの人だったらいろいろ変なことがあってもやりそうだなあ(笑)、打たれ強 そうだな、キャラが。普通の技官だとか職員の人は絶対にできないです。
津田:これもある意味で言うと、役人はそう答えるしかないってことでしょう。 
児玉龍彦:だってお役人に法律違反しろって言ってる自分が、これは申し訳ないって思ったんですよ。
津田:うーん、でもただ、やはり今そういうことを言ってられないほどの非常事態なんだから迅速にいろんなものを変えていかなくちゃいけないのに……。
児玉龍彦:それで、誰が悪いのかと思ったら。
津田:それはまあ国会っていうふうに行き着きますよね。
児玉龍彦:それでなんか聞きましたら、僕がそのことをちょろっと他のところに書いてたら、すぐ知ってる人がいて。阪神淡路の時は3ヶ月で23本、特別立法が出来ましたっていうツイッターを何処かで読みまして。だからやっぱり、法律の方ももっと、自分たちが何が出来るか考えていただきたい。それであのとにかく今、さっき言ってた早くやるためにはですね、今までの法律より上位の法律がないとダメです。だからなんかみんなが集まる委員会をつけて。それからもうひとつは予算っていうのがですね、省庁に落とすんじゃダメです。省庁とか個別の目的だと、例えばお米の予算って年にこれくらいってあるじゃないですか。そのなかから放射能にかかるお米の予算を出そうとしてもまず無理なんです。先に放射線被害に国としてこれくらい使いますっていうのを決めて、そのなかでやるっていう。だから上位の委員会、上位の法律の決定っていうのがないと。さっきなんでできないのかって言われましたよね。それともう一つ大きいと思うのは、ノウハウがみんな民間にある。
津田:あー、なるほど。官民のうちに、官の方にノウハウが溜まってないってことですか。
児玉龍彦:大学にも余り無いんじゃないか(笑)。 
津田:それ問題発言じゃないですか(笑)。 
児玉龍彦:例えばここに、空間線量で、いや、あの大学ってのは基礎的なものをやるんであって、例えばこれ空間線量っていうのがでてますけど。これもちょっとカメラで。
津田:でもたしかにあれですよね。国会でもこういう民間企業にあるからそれを活かしてやっていけばってこと……。
児玉龍彦:これ例えば我々のところでの空間線量のこの組織の場合は、まあアイソトープ総合センターで自分でできますけど。ここではもう千代田テクノルっていう会社に頼んで月に一度、だって月1回やるのに人雇う必要ないじゃないですか。そうするとそればっかりやってる業者っているわけですよ。そしたら世界にも詳しいし、どの機械がいいかとかみんな持ってるから。そういうところをフルに生かさないと、例えば国の研究所とか大学だとかもちろんお手伝いしますしいろいろ言うけど、実践的にすぐ役に立つって言うのはこういう業者の人をボーンとやとってその人達のノウハウを全部引き出さないとだめ。だから政府の委員会で全部やろうなんて 全然……。
津田:ほんとうの意味での産・官・学がちゃんとした連携を……。
児玉龍彦:だから国民の中で我々こういうの持ってますっていうのを、だから経団連経済同友会とかもっと頑張って欲しいと思う。
津田:で、そういうところで逆に言うと民間の経済の側がそういう国と官とかに対してももっとプレッシャーを掛けて進めようというのを……。
児玉龍彦:うん、それで、一般にこういうの言うとね、やっぱり僕の方にもいっぱいメールが来て。お前は東大のアイソトープセンターに金がほしいんだろうとか(笑)。
津田:ああそういう批判が結構ありますよね。
児玉龍彦:いっぱい出てますから。あの、もちろん僕らも研究費欲しくていろいろやってるけれども、それと今回のはちょっと違う意味で申し上げてるんで、それはご理解いただきたい。本当に技術を持ってる人は、技術出して欲しいってところを、勘ぐっていろいろやるのもいいけれども。もっとなんか前向きにやってくれるところがないと。見方がこう…。
津田:そういうある意味で言うと、まあ政府とね民間の交流がスムーズに行くためにもいろいろな上位の法律を作る必要もあるし、そのためにバンバン特別立法なんかをやっていかなければいけないけれども。今回はもうくだらないことでがちゃがちゃやってて。それがもう最後のほうのほんとに、7万人がね、こうやって家にも帰れない状況にあるのに国会何やってるんですかっていう先生の怒りにも繋がって……。
児玉龍彦:それでですね。ええ、もう一つ大事なのはですね。国がやらなくちゃいけないところが一箇所だけあるんですよ。 
津田:それはなんですか? 
児玉龍彦:プラットホーム作り。というのは例えばクリタとか水の会社じゃないですか。それから千代田テクノルっていう例えば、あの、放射能の会社じゃないですか。それから竹中工務店だったら土木事業やってるじゃないですか。だけど、例えばクリタに放射線やってる人がそんなにいるかなと。じゃあ今度は千代田で水の洗浄が得意かなとか土木が得意かなとか。だから、こういう個別、なんて言うんですか、企業は自分の強いところはあるけど今回の福島原発の問題解決にプラットホームがあるかといえば、ないって僕は思ってるんですよ。だからその公で、いろんな企業が参加してうまくみんながいけば、みんなうまくいきますよみたいなプラットホームを作らないと。企業ってのは自分のノウハウをあげちゃったら終わりじゃないですか。だから個別企業に出来ないところがあるんです。そういうプラットホームを作るところを一生懸命にやりなさい。だから……。
津田:あの企業のほんとにいいところがどんどん……。
児玉龍彦:集まってある程度それで、それはちゃんと使われるっていう信頼感みたいなものを、公共性を持ってるところが。それでだから研究センターというのを言ってるのは、もう早く作って。だって本当に除染始めるっていったらすごいお金がかかるのに、その住民に判断しなさいっていわれたって、えっ、ていう問題。その客土っていう埋めちゃうのがいいのか、それともその、なんていうんですか、化学的にセシウムを除去するのがいいのか。それともフィトレメディエーションといって植物でやるのがいいのか(※おそらくファイトレメディエーションphytoremediation)のこと[title:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3])。福島で実際に早くやってパイロットデータを出して。だから二つやらないと住民は判断できないと思ってる。1つはGoogleラディエーションじゃないけど、このマップを詳細に作って自分の地域はどれくらいかとかそれから、市役所ごとにすぐやる課があって、こう放射線測定110番があって、うちはどの程度の線量で大丈夫なんでしょうかっというのを。だから地域がどれくらいで自分のうちがどうかってのを一つは知りたいじゃないですか。それからもう一つはこの方法はこれくらいお金がかかってこの程度取れますっていうデータが出ないと、今のままでいったらみんな利権付き公共事業にしかならないんじゃないかっていう心配を持ってんです。
津田:ある意味で言うとその公共事業にしないために、センターを作れって児玉先生の提案……。
児玉龍彦:センターでやるのは実証実験。
津田:プラットホームっていうのとセンターって言うのはほぼ同じってことですよね。
児玉龍彦:一緒。ええ。だからそういうところに、ベスト&ブライテストを集めて夢を持って、夢っていうか大変なんだけど。
津田:そこに事業とかではなくて。本当に企業の得意なノウハウがセンターにどんどん出向して集まっていく……。
児玉龍彦:集まって、それでいろんな方法を競争させるんですよ。こっちだったらこれくらい、こっちだったらこれくらいきれいになる。お金はこっち掛り過ぎるけどそれをもっと圧縮できるとか。じゃあ場合によっては混ぜたらいい。田んぼはこっちで畑はこっちで、住宅はこれがいいとか。そういうことをどんどんやんなさいと。 
津田:そこにはもう科学者とか技術者の良心でこの目的に集まってくれという形ですよね。
児玉龍彦:はい。かもしくはもう、儲けようとする企業でもいいんですよ。
津田:なるほどね。結果的にねそれがね。
児玉龍彦:そう。それをきちんとやるのに、もしくはもう実際の事業は地元の土建業者がやってもいいわけです。そこに設計と施工ってよく建築だったら分かれるように。だからそういうなんか設計のできるところを早く。 
津田:そうですよね。そこでだからセンターで画期的な除染方法ってのが生まれたら、それをじゃあ地元の土建業者とかにじゃあこれでやってねみたいになって。また雇用が生まれてみたいな。 
児玉龍彦:そうそう。そういうなんか、仕組みを早くつくってほしいと。それで先ほど、おっしゃてたように、なんでうまくいかないんですかっていうと、そういう問題をやっぱりなんか解決していくようなビジョンありっていうのかな、ビジョンを持ってどんどんやる人がでてこないと。やっぱりこういうのって多分ソリューションの技術だと思うんですよ。だからあの、要素技術の会社っていっぱいあるけど、あの、なんかこうビルゲイツが、DOSを作ったり、こう、まああれですよね、ジョブスがiPhone作ったりみたいな、これってフロンティアに入る技術、フロンティアなんだけど全くすごいフロンティアかっていうとそうじゃなくて、今までのものをいろいろ組み立ててビジョンを持って住民にはなんかのために働いていくような、そういう夢と力を持った若い人がみんな来て欲しい。だから人のことを悪く言うのはもういいけれども、自分ができるっていう本当のこう熱意ある人に働いて欲しいっていう。それが一番の夢ですね。 
津田:あの国会で参考人で出られて終了したあととかって、議員の先生とかは来ていろいろ話とかはされたんですか。
児玉龍彦:あ、あの、やっぱり反応早いところはね、その政策にしたいから来てくれってところもあるけれども。それみんなちっちゃい新しいところ。 
津田:あー、そうなんですね 
児玉龍彦:でもね、僕が思うのには、別にわたくしなんかじゃなくてこれはいいと思っていて。むしろあの、こっちはこっちで今の自分の癌の薬を作るとかアイソトープセンター長とか南相馬の除染とか、もうめいっぱいだから、むしろ政策どんどん使って、みんなで競争やって欲しい。 
津田:これ、先ほど児玉先生がそいういうセンターみたいなプラットホーム作る、まあ大きなものを作る、ビジョナリーみたいな人が必要だっていうお話しあったんですけど。こういう人、それは政治家がなるべきなんですかね。それともあの、役所の中になる人がいるのか、それとも全く違う人がなるべきなのか。どういう人が適任とか。あとこの人がなるといいんじゃないかというのがアイディアとかってのがあったりします? 
児玉龍彦:なんでもいいんじゃないですか。というのはですね。あの僕ら、あの複雑系やってると、あの、倉本さんっていう昔、京都の教授で、この人が日本の複雑系の一番大事な人なんだけど。倉本さんがよく言うのには、あのーいろんな世の中って複雑でよくわかんないけど、極端な状態になると本当のものがわかるっていう。だからあの、エントロピーっていうのも水をいくら見てもわからないんで、まあ4度から99度まで見ててもわかんないけど、99度から100度になると水が水蒸気になるときにエントロピーって初めてわかる。
津田:あーなるほどなるほど。
児玉龍彦:だからこういう福島原発事故みたいな問題があったときに。
津田:まさに今極端な状況なんですね。 
児玉龍彦:極端な状態だからビジョナリーがきっと若い人の中で出てくるんじゃないかなーという夢を。津田さんがビジョナリーになってもらう。 
津田:まあ難しいかも知れないですけど。 
児玉龍彦:まあ是非なってくださいよ、うん。 
津田:なるほどねー。そのたとえはすごくわかりやすいですね。そのなかで、まあそういう動きみたいなのが出てくるんでしょうね。 
児玉龍彦:はい。 
津田:なるほどねー。そうかー。 
津田:さっきの、あのちょっと、あのちょっと細かい話に戻っちゃうんですけど。いわゆるじゃあその、まだまだそのいろんな南相馬からなにから、まあ実際に住んでいるところで自分の今線量がわからなくて困っている、今日高いのかな低いのかなとかって気になってても、ガイガーカウンターすらね手に入れられなくて困っているって人たちもすごく多いと思うんですけど。そういったそのガイガーカウンター、一般の市販のガイガーカウンターみたいなものと、あの児玉先生がさっきおっしゃってたイメージングベースの測定器って正確性とか価格とか用途とかってどう違うのかって。
児玉龍彦:あの全然だから目的が違いまして、今いってた、今だって人間が住んでるわけじゃないですか。だから自分のうちがどうかとかいうのは、もうそりゃあ線量計普通のガイガーカウンターでも何でもいいから、これはすぐやる課みたいな話で。暮らし安全じゃないけど(笑)、企業名言うと怒られちゃうけど。電話かけたらすぐ来てくれるみたいな人がいないと心配じゃないですか。そういうところは自治体やなんかに、もうだからいろんな自治体の市長さんに相談されて今進めてんですけど。とにかく5人ぐらいでいいから、すぐ計る課作って、電話かかってきたら飛び出していって30分で見て、そして1台貸してあげるみたいなことをやったらいいじゃないですかね。それでね、だいたい僕のところにも、いっぱいメール来てんですけど、私は東京の大学生だけど、白河へ戻って実家に姪御さんがいるとかいって。だから法律勉強しているんだけどなんとか戻って測りたいんだけど、機械はどれがいいですかってみたいなことを聞いてくるメールがいっぱいあるんですよ。そうすると、じゃあ 自治体に相談したらって返信打つと、いや自治体は全然相談乗ってくれませんってところがやっぱり多いんですよ。だけど白河のホームページ見てみると各小学校なんか非常に綺麗に計ってるからきっとパワー持ってて一生懸命走りまわってるんですよ。だから自分はそういうところ走りまわっているんで、大変だからここのおうちは自分でやってくれって、つい答えたくなっちゃうんでしょうけど。その代わりにコールセンター作って、一生懸命教育した人を置いて5人でも10人でもまずパッと走って行くのは。
津田:でもそれは別にあれですよね。各自治体に任せるんじゃなくて政府がね、それこそ消費者庁でもいいでしょうけど、なんかね全国のコールセンター作って適切なガイガーカウンターでもね。
児玉龍彦:やってもいいけど、僕は自治体だと思いますね。それであの、もう一つはほら、相談の、この測定っていうのは今度除染とつながっちゃうじゃないですか。だから繰り返して相談できないと、駄目ですよね。そしてすぐいけないとダメ。 
津田:そこの相談窓口、プラス除染ってのを一体化しておく必要がある。
児玉龍彦:だから個々の測定の窓口が緊急の除染にもつながっていくし。それで細かいマップを作る作業を下から担っていく。だからあのあそこのおうちの周りは、ここが怪しいってのがわかると、実はその下に側溝があるとかよくあんですよ。あの例えばね高速走って行って二本松インターを降りると料金所あたりが「 ビーーー」っと高いんですよ。
津田:あ、二本松高いですよね。
児玉龍彦:それで料金所あたりがなんで高いのかと思うと、その料金所出て脇へ出るとそこに側溝があってそこが「ビーー」っと高かったりとか。
津田:あーなるほどねー。
児玉龍彦:だからその思いがけずここが大変ですよってところがわかったりする。だからそういう意味でのなんてのかな、危ないところ? 子どもが近寄っちゃい けないよとかなんかってところが結構情報が集まって、さっき言ってたコールセンターでいろんなとこ行ってそれがどんどんどんどん地図にでもはめ込んでいけば、さっきの今度は地で這うようなグーグルストリートみたいな、ものが出来るんじゃないかって。グーグルストリートって街をねあれでカメラ持って走り、車で。 
津田:それはちゃんと一定の教育なり知識を得た人が定期的に計ってそれでちゃんと除染なんかもしていって。
児玉龍彦:はいそれで、そういうふうな教育をどんどんやって。だけどそういうのって僕はさっきグラウンドって言ったけど。やりながら覚えてくと、どんどんもう深まっちゃう。だから南相馬教育委員会の人なんか、今じゃ僕らよりよっぽど厳密で(笑)。あの一生懸命、やっぱり自分たちの生活だから。毎日見てるし、立派な方がいっぱいいらっしゃいますから、もうどんどん人間って一ヶ月でも見違えるように変わります。 
津田:南相馬はね僕もなんども行ってますので。やっぱりものすごくね、他から隔離されちゃって見捨てられちゃったっていうところ、だからこそ、本当に自分たちでね、なんとかしようっていうすごくなんか意志の力を感じるとも思うんですが。南相馬であの児玉先生どんどん除染活動されてて。除染のその、除染についてちょっとお伺いしたいんですけど。除染のその適切な方法とか、まあ各地だと高圧洗浄機とかでバーってやってたりするんですけど。あれでいいのかなっていうのがありまして。どうすれば除染…。
児玉龍彦:だから除染って、二つに分けていただいて。まずその前に南相馬の一般的な状況ってのをご理解いただきたいと思って。 
児玉龍彦:あのー、南相馬ってその結局海の方はですね、津波ですごいんですよ。500人亡くなって。まだそれで、20キロ圏のとこは立ち入りも禁止だから行方不明の方も、結構居らっしゃるんですよね。だからそのご遺体探したりってのが大変なような地域が。それから今度はこっち側は飯舘村と。 
津田:違うんですね。山のほうが線量高いですよね。
児玉龍彦:ええ。だから山の方はすごく線量が高い。だから地震津波とそれから放射線。それでこっちは原発に近いしってことで。
津田:だからもともときれいにあれなんですよね。一番南がこれが小高で、真ん中が原町で、そこのところの鹿島って3つが一緒になったんですよね。
児玉龍彦:ところがですね、このへん見るとですね。線量低いんですよ。
津田:ああ、そうそう、浜のへんは低いんですよね。
児玉龍彦:だからあの、例えば東大の柏キャンパスってあるんですけど、そこより低いところも。 
津田:そうそう南相馬は確かに低いですよね 
児玉龍彦:ああ、あの海側のほう。だから全然なんていうんですか、さっきのやっぱりグーグルラディエーションマップじゃないけど。 
津田:同心円はほんとうに意味が無いですよね。
児玉龍彦:うん。それで一番困っちゃうのは、ここらへんから毎日小学生だとバスで、こっちへ100万円掛けて1700人が移動されてんだけど、それはそっちのほうが線量が高い。
津田:意味ない。意味ないっていうか無駄ですよね。
児玉龍彦:何のためにやってんのかっていうと唯一残ってんのはこの、同心円状のあれっていうのを結局、まあ、東電と政府の話で参議院の委員会やなんかで強制避難のものは今すぐ払いますよと、それ以外のものはちょっと後回しってしちゃってるから。補償問題と絡めちゃった。
津田:そうですよね。
児玉龍彦:だからそれはもうやめて。補償問題の中でその強制区域の解除ってのを補償問題のあれとは、切り離すってのをいっちゃえばいいと思うんですが。それはすぐやってけばいい。それで次に除染の問題に入りますが。除染の問題っていうので、ちょっとこう一番心配なのは、結局口に入っちゃう奴なんですよ。
津田:あー内部被曝児玉龍彦:ちっちゃい子、例えば幼稚園児だとか、そういうやつは、例えばこういうところって(遊具)、ヒューーっと降りてくると、こっちかこっちか、どっちかすごく高くなる。ところが滑り台って降りてくると子どもが手を付く。 
津田:あーついちゃいますね。
児玉龍彦:ところなんですよね。それで僕も孫がいるんだけど。庭にまあちょっと魔法瓶の代わりにペットボトルがあるとそれくらいの子どもだとすぐ飲んじゃおうとする(笑)。ペットボトルがあったらそんなもんじゃないですか。だからあの、高圧洗浄機がなんだとかいろんな議論ももちろんあるんだけど、緊急避難は、やっぱりその緊急避難でやんないとダメだと思いますよ。例えばだからその、なんていうの。これ、あのいろいろ線量高いところがこうあると。これ雨樋なんですけど。高圧洗浄機も悪くはないなと思うのは。 
ここまで0.6マイクロシーベルト。ここバーっと洗うと0.2マイクロシーベルト。コケが取れてるわけですよね。それから、ここだと中学校で2.7マイクロシーベルトが洗うと0.6マイクロだから。しかもこれ全然人が通るところ普通に。人のいるところだから。だからそういうところを洗っちゃうのはいいんだけども。やっぱり高圧洗浄機っとブワーッと散るから飛沫が散りますよね。それからおんなじようにアスファルトの研磨、これも、口へ入っちゃうじゃないですか。 
津田:そうですよね。そのやるときに自分が。 
児玉龍彦:それでね、南相馬でやってるやつは、ちょっと裏がありまして。例えばこういうのでやったときにここに33マイクロシーベルトってのがあると、これはあの我々東大のセンターの人が先に私どもが通っちゃってドラム缶にぽっと入れちゃってるわけ。だから違法行為をやっちゃってるわけ。それをあのいま持ってきちゃってるわけなんですね。だからあの、都民の方からそんな物、東京に持ってくるなって怒られてんだけど(笑)。ちゃんとあの、申し上げますがきちんとアイソトープ協会の作った密閉式のドラム缶に入れてわたくしの車で、まあいいかどうか分かんないけど(笑)。事故のないようにして第一種取扱主任が脇について運んで施設にちゃんと入れとりますので、ゆめゆめ住民のかたには御迷惑かけないようにやっておりますので。 
津田:わはは(爆笑)。 
児玉龍彦:あのやっぱりちょっとは電力を使ったんだから、協力しないと東京都民もあんまり文句ばっかり言ってると嫌われちゃうよっていう。それでだから最初に本当に高いところは除いて、それからいろんなかたの除染ってのにするってのが僕は大事だと思ってる。えっとだからですね、えっと。
これは、「まてないみせ」内部被爆さけるために 
・土ホコリはマスクで
・手につかないように手袋で
・側溝など汚泥につくときは洗える長靴で
・作業中は飲食禁止
・かわりに途中で手を洗って水分補給
・線量計が必須 高い汚染物は専門家呼ぶ
児玉龍彦:これは、「まてないみせ」ってのは、例えば土埃にはマスクでとか。手に付かないように手袋。手袋の手とか。汚泥がつくときには洗える長靴とか。作業中には飲み食いやりなさんなよ。それから代わりになんか熱中症とか嫌だから、手を洗って水補給とか。それで最後にやっぱり線量計が必須。高い汚染物は専門家を呼ぶと。だからなんて言うんですかね、除染、緊急除染とは言っても、昔僕らも、僕も内科の医者なんで診てんですけど。例えば東大の施設部ってところがありますけど、そこの人に結構昔にアスベストとかやってた人で、今アスベスト処理をやってたかたで、悪性中皮腫っていう患者さん、亡くなったかたも僕の患者でもいるんですよ。だから施設部の建築の専門のかたでアスベスト処理をやってた人にアスベスト障害が一番多いのね。だから除染も気をつけてくださいって、ここには「まてないみせ」って書いてるけど。マスク手袋それから長靴、飲食禁止とか水分補給とか線量計とか。そういうのはいろんな格好で今出てくると思いますが、とにかくやっぱりルールはあって内部被曝を受けないようにしてやる。だけどこれは緊急避難ですから緊急避難の問題は、やっぱり緊急避難でやっていくというのが必要だと思ってるんです。緊急避難でいろいろ自分のうちの周りがどうなってるかということを知っていただくこともある意味で大事。そうするとやっぱりコールセンターみたいなのがあって、線量計とか専門家がいないと、これ結構危ないんですよ。だから地域でやっぱり助けあいとかグループがいて、やっぱりあの、さっき全国コールセンターやる、いや自治体でってお願いしたのは。
津田:こういう地域だとかね、消防団の活動とかありますよね。 
児玉龍彦:それであそこはちょっと危ないよとか、ここはちょっと難しいよってことがお互いに、あの嫌味でなしにやっぱり言えるようなところがないとダメなんじゃないかと思うんですよね。
津田:なんかねそういう消防団みたいな活動の人たちがあのこういう活動をするだけで全然また変わってくるのかな。あのー、知識をうけてねこの今…。 
児玉龍彦:ちょっとシグナルをもういっぺん…。 
津田:いまのなんか、「まてないみせ」っていうのはね結構メモりたいひとは多かったと思うんで。 
児玉龍彦:あ、すいません。 
津田:現代BIZのアカウントで。 
スタッフ:そうですね後で現代ビジネスのホームページで載せますんで。 
児玉龍彦:完全にちょっとフリーズしちゃったかなすいません。 
※PC立ち上げの間
児玉龍彦:すいません、ちょっとこっちのが今ちょっとフリーズしちゃった。僕のコンピューターの方はだいたいこのへんで。 
津田:はい、あのなるほどね。あのー、除染の話で言うとこれ南相馬なんかでもやられてますって、ちょっと最近注目されてるので、ひまわりで除染するってのがありますよね。児玉龍彦:はい。
津田:あのひまわりによる除染活動ってのは確かに一定の効果はあるかもしれないけど、それでなんかこうやってひまわりを植えるために土壌をかき回しちゃうんで、それでなんか逆にあのやり方が上手くなくて、却って放射性物質とかがーってやってしまう…。 
児玉龍彦:ああ、あの植物による。植物による除染ってのは結構カドミウムですでに経験もありまして日本でも。それであのこれはですね、ひとつはですね。田圃と畑と違いがあって。畑の場合はね、土壌改良やるときに例えばさっき言ったセシウムを分離しようとして水で洗っちゃうと、耕土として使えなくなっちゃうから、畑って割と大変なんですよ。田んぼはね土を持ってって、次にやっちゃって水で洗っても結構いいんですが。畑の場合は、だから線量が低い場合は水で洗うより植物で吸い上げるっていうほうがいいっていう考え方もあるだけど。ただ1年でとれるのが比較的少ないから。そうすると5年ぐらいその、あれをかわなくちゃ。それで5年ぐらいやったものをじゃあ、その出てきたものを例えばバイオ燃料にするとか。なんか考えないとリサイクルの流れに入らないゴミがいっぱいできちゃうとまずいから。
津田:コストパフォーマンスというか。 
児玉龍彦:それだからさっき言った研究センターの中で、植物除染はちょっと時間を掛けて、いい方法だと思うんで。どうやったら一番いいかってことを検討するってのが、必要だと思いますね。 
津田:なるほどね。でもやっぱりある程度その植物除染するにしても、もうちょっとその正しいやり方が周知されたほうがいいという部分もある。 
児玉龍彦:はい。それと植物除染は植物除染で良さがあると思うんで、それでやる地域ってのもデータもある意味でいったらちゃんととっていくと3年とかかかりますから。1年おきに見ていくみたいな。
津田:それもじゃあこれからのもう課題。 
児玉龍彦:課題で。それで植物除染が適してる地域はかなりあるんじゃないかとわたくし思ってます。
津田:それはどういう? 
児玉龍彦:あの1つはねコストの問題と、それから畑の低線量のところをいじるっていうのと、その耕作できない畑をじゃあ全部客土とあれでやるのがいいのかっていう中のコスト量やなんかから見てる。だからもし、本当になんて言うんですか、例えば基準値の1.5倍で使えませんよってところだったら、植物を植えて2.3年待っててその間は政府が保証して、2,3年経ったらなんか出来ることがあればすごくいい可能性があるんで。それも 含めてよく検討していくと。 
津田:それはまあ5年10年ていうスパンで見たときに。
児玉龍彦:そうです。
津田:かなりあのつなぎとしていいかも知れない。 
児玉龍彦:ぜんぜん、土をひっくり返してやるっていうやり方とは違うので。だからそれぞれの特徴をようく知って組み合わせていくと、あの使い道があるんじゃないか。 
津田:なるほどね。まああの南相馬では、行かれていろいろ除染作業とか線量とか計られていて。今、南相馬市全体ではぜんぜん違うんですけど。あのー、子どもが過ごすには今問題ないレベルって考えていいんですか。 
児玉龍彦:いや、僕はですね、それはあのー、住民決定権っての、主体者決定権ってのはすごく大事だと思ってる。僕内科の医者だから、例えば乳がんの人見たときに、放射線でやりたい人、外科手術でやりたい人、制ガン剤でやりたい人、いっぱいあるじゃないですか今の治療法。抗体医薬品でやりたい人。それでそれはですね、医者が決めるじゃないんですよ。患者さんが決めるの。 
津田:自分で。 
児玉龍彦:うん。そしたらねこんな大事な避難するかどうかっていう問題を、誰が決めるのかって。やっぱり僕は、この今回の問題で一番大事なのは、被災者に寄り添うということが随分言われてたけど。だって放射線かけられた上にどうこうするまで、人に言われたくないっていうところ。だからさっき言った除染センターとか健康管理のセンターとか、測定も協力するし、除染も協力するし、いろんなデータも揃えて、それでだから当事者が判断するっていう場合にサポートとか情報とかやるほうが僕の仕事だと思ってて。あんまりここだったら逃げろとか、これだったら行くなとかいうことは。
津田:まあデジタルにね決められるものではないという。 
児玉龍彦:はい。それで しかも一箇所ずつ違うし。あのちょっと気になっているのは、チェルノブイリの経験の時に、まだ25年なんですけど、25年経って一番辛かったことって皆さんがおっしゃるのは、あの、やっぱり家族の分断、別離っていうのかな、これがものすごく大きい。それが最初ちょっとのつもりがね、人生行路が変わってくる。年とともに家族がバラバラになるのが加速化しちゃうってのがチェルノブイリの経験だったっていうのを聞いています。ですからやっぱりその家族が判断したいってために、その家族をサポートするってのが我々の仕事じゃないかと、すごく思います。 
津田:確かに原発には近いけれどもまあ線量が低い地域だったら、家族全員でここで住んで除染活動の知識を得られて。 
児玉龍彦:だけどカウンターもってけいけば、ピーッとなるとこも結構多いじゃないですか。するとそういうとこへ住むってだけでもう嫌だって。だって例えば津田さんとか僕が、じゃあ今、僕だったら孫だけど、孫連れてそこへ移住しますかって言われたら。お前、行けって言われたら簡単に行くかとかって言えないですよ。そうするとそれは、もしどうしてもそこでなんかやる必要があって、とか思ったらば行く場合もあるかも知れないとか。そのなんていうのかわからないけど、いや自分が行くって話とはちょっと違うのは、多分自分が住んで、「どけっ」て言われたらどくかどうかって時に、あの、というのは放射線の場合はですね、みんなが思われてるよりカウンター、 感度いいから。ちょっと上がればすぐ測れちゃう。そのおんなじことは食べ物、今多分測ったらですね、その500ベクレルプロキロで切るっていってるけど、あのお肉の例を見てもわかるとおり500を超えるのがあれだけあるってことは450、200、今例えば下限が50ベクレルプロキロだとすると、計って品物に全部なんキロカロリーと同じように付けんのかなーとか。499ベクレルとか。どういうのがいいのかなってわかんないとこありますよね 
津田:まあ確かに売られてる時にそういうね、食物とかにあったほうが、あのー消費者としてはいいですよね。 
児玉龍彦:しかし最初に申し上げた考え方を全然変えなくちゃいけないって言ったのは、今のそこの問題ですよね。もしあるものが1つの食品だけだったらここで切って、これすればいいけど。だってねえ一番困っちゃうのは、我々放射線取扱者ですよ。今まで作業の上限ってあるじゃないですか。もし例えば汚染地区で、東京でもいいけど増えてきたら、超えちゃうかも知れないじゃない、ですよね。だからそういうふうな問題がもうみんなに起こっちゃってるわけですよね。だからその今おっしゃったような問題は、やっぱりかなりこう法律体系を変えて。これをだからもう1つは僕の考えてるのはやっぱり総量を減らさなくちゃいけない。 
津田:総量を減らすことが結果的には内部被曝なんかも減らしていく。 
児玉龍彦:うん。だからそこで話ししたかったのは、日本人でまあ猿橋勝子さんっていう、ご存知ですか。 
津田:あの名前しか僕は。 
児玉龍彦:はい。あのー女性の研究者で1960年代に、あのー、ほら週刊ポストとか書いたじゃないですか。みんなが生まれた頃、放射線量高かったって。今は下がってるって。自然に下がってるってみんな書いてるの、腹が立ってしょうがない。あれは頑張った日本人がいるわけですよ。 
津田:それを下げようとしてね。 
児玉龍彦:それは猿橋先生がやったのは、その放射線の、微量の放射線を測る機械を改良していったわけですよ。それでビキニ環礁とかなんかの海はセシウムが100 倍になってますって言ったわけですよ。そしたらスクリプス研究所というアメリカの、そこのリーダーのフォルサムさんがいて、猿橋の方法は疑いがあるとかいうわけですよ。それでなんかところが、日本女性は偉いんだなあ、スクリプスに行っちゃって公開実験やりましょうってやっちゃうわけ。
津田:えー。 
児玉龍彦:それで測るってのは割と簡単で、だって元のカウントがはっきりわかってる高いものを10倍に薄めれば一応10分の1、100倍に薄めれば100分の1、1000分の1、10000分の1って、系列作れるじゃないですか。それをフォルサム博士の方法と猿橋博士の方法で測ってくわけですよ。それを公開実験っていうのをなんかやって。書いた、歴史、書いてあるのをみると、いろんな苦労されたことが書いてあるんですが。だんだんなんかフォルサム博士も、こりゃあ猿橋ドクター、猿橋の言うほうが正しい。 
津田:公開でやったことでもう。
児玉龍彦:そうそう。それでアメリカの研究者って偉いのはそういうのがあると、立場ころっと変える。 
津田:そこに対しては真摯なんですね。 
児玉龍彦:それでだからあのー、大気圏内の核実験禁止条約っていうのはこの日本女性の努力はめっちゃ大きい! だからなんかこの昔、セシウムが高かったからプルトニウムが高かったから、心配ないってのを聞くと、とんでもない! 
津田:そういう事をやった人があって大気圏の核実験が禁止になって。 
児玉龍彦:禁止になって下がってきた。だからあのセシウムが15年続いたら大変ていうのがいっているのは、核実験の奴はぴゅっと、まあセシウムは消えないけど、核実験のいっぺんの放射能って割と早く、消えちゃうんだけど。原発から散った奴はなかなか消えないですよってのは問題だって言ってるわけですよ。それでだからそのー、猿橋さんみたいなこう、ことをみんなでやって総量を減らす知恵を。散っちゃってるけどなんかその日本の政府も経団連もあのー、我々もマスコミのかたも、お父さんもお母さんも、やっぱりそのこの散っちゃった、なんかこう先祖から受け継いで子どもに渡す日本の国土……、これを守って欲しいっていうのが私の気持ちです。 
津田:なんか、そのなかでも特にね、あの怖いっていうところで。内部被曝っていうことがあると思うんですが。内部被曝でその、セシウムが膀胱とか尿管にたまりやすいってことを国会でもおっしゃられてたんですが。それ自身に対して結構また批判の声というか。
児玉龍彦:多分それも概念が変わっているのを理解されてないんです。 
津田:そうですか。それをちょっと、もうちょっと詳しく。 
児玉龍彦:えーとですね。セシウムとかなんかのあれが、要するに福島先生なんかがおっしゃってるのは、P38とかそういう、まあ僕らが言うと生体のシグナル分子ってのが活性化するってのを言ってるんですよ。それで僕の専門って動脈硬化なんですけど、コレステロールってのがずうっと血管壁にたまると、やっぱり動脈壁がだんだん活性化されてプラークってのが出来ちゃう。内皮細胞の活性化っていうんですけど、それが一番問題だっていうのがわたくしの専門だったんです、長期に続く。それでセシウムも増殖性の変化を起こすんです。それでよくね原発議論で一番変だと思うのは、閾値理論。あの悪い害はある閾値以下は大丈夫ですと。ところがおんなじ人がホルミシス効果っての、それより低いところはいいことだけ起こると。えっていう、だって低いところでは、もう放射線に対し て感知系がある、P38とかなんかは、それが動き出すと細胞が増えるとかそういう事が起こるから最初いいことだって、それがいいことだっていうんですよ。ところが全然いいことなくて。細胞が急に増えたりするってのは、僕ら慢性炎症っていうんだけど。慢性炎症が起こると遺伝子のいろんなですね、周りのヒストンとかいう、エピゲノムっていうんですが、遺伝子を制御する仕組みがずれていくんです。だから環境ホルモンはみんなそう。だから遺伝子を変化させる奴だけじゃなしに、エピゲノムっていうね、遺伝子のこの制御を変えるそういう機構が細胞分裂に、かまって。これはまた生物学の大問題になっちゃうんで、いつか津田さんと1時間くらい出来ればやりたいですが。だからゲノムが溶けて、我々がやってるのはエピゲノムっていうですね、一代の間の遺伝子修飾があって。これは細胞分裂、遺伝子の記憶で残るんですよ。それでエピゲノムが多分書き換えられてるんじゃないかということを我々思っています。それで慢性炎症から、だから癌、増殖性の刺激になって癌になる。だから遺伝子に今までははっきり、配列の方の変異ですよ。もう一個我々が考えているのはエピゲノムの変化なんですが、それはこれから証明したいと思ってるんです。 
津田:それで何らかの因果関係があるじゃないのかっていう。 
児玉龍彦:それで長期にそういうのが続いていったときに、今でてる因果関係ってのはようするに増殖、慢性の増殖性の炎症が起こってインサイツの癌っていう、まあその、こう組織の中の早期癌が、ばあーっと増えてるっていう現象がもうわかってきていると。だから慢性の放射性刺激っていうのも低いレベルでは結構心配だ。それでだからお母さんとか、子ども のオシッコに、いろいろ母乳とかに出てるって言うのは、今ここで早くここで減らしましょうってことを言いたいわけですよ。 
津田:そこはやっぱりその放射線でそのことが起こるのかって言うことの疑問をもってる方もいらっしゃると思うんですけど。
児玉龍彦:はい。それ放射線かどうかもわかんないし、例えばセシウム自体かどうかもわかんない。っていうのはうんと、セシウムに被曝されてるってことは、もっと測りにくい他の核種で被爆してる。今の場合はリンケージじゃないですか、オシッコと増殖性の膀胱炎は。だから本当にセシウムセシウム以外の、リンケージって言うのは、ねえ、関連があるってわけで因果関係じゃないですから。ただリンケージがあった場合にそのリンケージのあるものを減らしていったら、減ってくれれば、一番いいわけなんで。僕らが今考えたいのは多分、お母さんやちっちゃい子やいろんな人、健康を願ってる人は、学問論争の証明じゃなくて病気から防ぐ手っていうことだから。リンケージの指標をやっていって、もしそういう病気の発症が防げれば、15年経ったらそうなっちゃうっていう報告があるんだっ たらそういう状態を一刻も早く、無くしていくっていうことが大事っていうことはみんな。
津田:リスクの可能性があることであればちゃんと警告を早めに。 
児玉龍彦:早めに出すし、みんなでそこはコンセンサスが生まれるんじゃないか。学問的にそれはどんどんやっていって、学問でやろうと。国会でも申し上げましたけど学問論争を国会でやってもしょうがなくて。 
津田:学問論争はちゃんと学問で。 
児玉龍彦:学問論争でやる。詰めていく。それで多分それがケリがつくのはもういろんなことが終わった頃かも知れないっていうのが、歴史の教訓ですから。それとは違う見方、要するにさっき言った学問論争で今までのエビデンスってのは、疫学とか統計学で終わったあとにこう解析すればこうっていう話で。僕らに今必要なのは、予測とかシミュレーションの科学。だから予測とかシミュレーションに対しては、ひとつのこういうメカニズムで起こっているんじゃないかっていうことを、やっぱりメカニズムの証明っていうのを急いだほうがいい。疫学の証明は、僕はやってる人に申し訳ないけど、終わったあとでしか出ないんじゃないかと思ってるんです。 
津田:なるほどね。一方ね、そのすごい原発の推進する、推進派っていうかね、慎重派の人だったりとか、もしくは学者の中の人でもまあ放射線のリスクはたしかにあるけど、それより煙草の害に比べれば低いんだからいいんじゃないかみたいな言い方とか、そういう誤解されるような言い方される方もいるとおもうんですけれども。なになにとそういう比較していってという言い方っていうのどうなんでしょうね、この。 
児玉龍彦:たばこのリスクと何とかのリスクと…。
津田:放射線のこの高くなったリスクとか、結構いろんな、例えば昔だったらエコナの問題とかありましたけど。例えばエコナの発癌リスクが高くなるっていう部分でも、実はポテトチップを食ったほうが実は高くなるんじゃないかみたいな。いろいろ多分あったじゃないですか。そのへんの問題って確かに結構リスクの問題って難しいなあと思って。 
児玉龍彦:うん。なんかそのリスク論っていうの、議論もわたくしには、まだ僕わかんないです。機会があったら調べてあの、もうちょっとこう概念を整理して発言したいと思います、はい。 
津 田:時間ももうそろそろ来たんですがなんか最後に、折角まあこれだけのね、あの原子力発電、原発があって事故が起こしてほんとに広島の何百倍みたいなね、ものが飛散してる状況になっていって。児玉先生自身はもう日本で原発に対してどう思われていますか。今、脱原発の動きなんかも当然あるんですが。 
児玉龍彦:うん。 
津田:もう原子力発電自体にはどうお考えですか。
児玉龍彦:あのそれも僕自身がそれを専門でもないし情報そんなに持ってないから。あのもっと色んな沢山の方がいらっしゃるからそういう議論でやっていただい たほうがいいと思いますね。あのー、なんか一つの考え方として「調査なくして発言なし」っていう言い方あるけど、自分でやっていって一定のたまったものに対して議論すると、議論したときに、検証できますよね。だから議論の仕方っていうの結構大きい気がして。だから最後のメッセージとして申し上げておきたいのは、なんかこうこういう議論がダメだとかあれがダメだっていうよりも。今これだけ大変なことが起こっているんだから、もう7万人じゃない10万人の人が家を離れて彷徨ってるかもしれないときには、議論のための議論よりも、なんかあのみんなで自分のできることを是非その、なんていうのかな。実際には双葉町とか大熊町の人のことをもっとやらないといけないわけですよね。まず第一に大変な人の。だからもっと、だからみなさんの、もし聞いてる人がいたら、自分のできることをやって欲しいっていう。 
津田:例えばさっきツイッターとかを見ていても、すごいあの先生の話を伺ってなんか僕らで手伝えることがあったら手伝いたいんだみたいなメッセージとかありましたけれども。
児玉龍彦:うん、だからその時に考えて欲しいのは、僕はいつもみんなに言うのは、本田宗一郎さんはいつも言ってた。「得手に帆を揚げて」って。自分の得意なことで貢献しろと。
津田:ああなるほどね。得意なことでとにかくこの事故で困ってる人たちに対して。
児玉龍彦:そう、だから法律の人は法律のことをやって欲しいし。イメージングの人はイメージングのことをやって欲しい。それからなんかこう子どもと遊ぶことが好きな人は子どもと遊ぶことを考えて欲しいとか。なんかだから詩の作れる人は詩でやってほしいし、歌のうまい人は歌でやって欲しいし、なんか自分の得意なこと。そうするとね、何が大事かっていうと自分が世の中に何の役に立つのかってのを考えて欲しい。自分が最も役に立つことをやってくれれば直接原発じゃなくてもきっと、原発事故の人の助けにもなるし。震災でもっと、いま津波で悩んでる宮城とか岩手の人たちの助けにもなるんじゃないかと。
津田:そういうことが、根本的な発想がさっきのセンターとかプラットホーム論につながっていくわけですね。
児玉龍彦:そうです。だからこう僕らが考えるときいつも見回して一番得意な人はだれか。一番その得意な人に踊ってもらうのをみんなでお神輿担ぐってのも、場合によってはお神輿担ぎだけでも、いいんじゃないかと。だいたいそんなことです。 
津田:わかりました。なんかもう最後、すごい素晴らしいメッセージをみて、多分なんかツイッターなんかでもすごく感動してる人が多いんじゃないかと思いましたが。どうも今日は本当にお忙しい中お時間いただいてありがとうございました。 
児玉龍彦:かってなことばっかり賞味期限1週間ぐらいだから(笑)。そのうちにああ悪いとかこうひどいとかいっぱい出てきて。 
津田:見て感動したって方も多いですし。やっぱり国会のユーストリームを見て、あの児玉先生すごい怒ってたんだけど。 
児玉龍彦:あれは国会議員に怒ってるんであって。 
スタッフ:今日の対談見てすごい、こう笑顔が素敵な方で。 
児玉龍彦:僕がびっくりしたのはなんか、あの、国会議員の人に激しく言ってたんですよ。そしたらテレビカメラで見てた日本のかたのほうが反応しちゃったんで国民のかたにはお詫びしてます。 
津田:いやいや。でもなんかすごかったですよね。児玉先生のあの怒ってる感じと、その後に出てきた議員のなんかあの、のん気な感じの対比がすごいなあって思って。 
スタッフ:温度差みたいなのがすごかったですよね。 
津田:いやあすごいですよね。 
スタッフ:お忙しい中本当、津田さんもどうもありがとうございました。
津田:すごい勉強になりました 
スタッフ:あの最後のあの児玉先生、また少し津田さんといろんな話をしたいってことありましたんで。 
児玉龍彦:だいぶ宿題言われたけど、こっちになんか答えられないことも多い…、また少し考えさせて…。 
津田:僕が教えられるのはツイッターの使い方ぐらいなんで、ぜひぜひなんかやりたいことがあればいろいろお教えしますんでよろしくお願いします。 
スタッフ:ありがとうございました。よろしくお願いします。