国会前に行って来た


 ここ最近の安倍内閣の不祥事、森友問題での公文書改竄、防衛省の日報隠蔽、加計学園問題で愛媛県職員と首相補佐官接触していたことを記録した文書が明らかになったことなど、本当に日々不祥事がアップデートされている。その都度、官僚たちはみな記憶にない、訴追の恐れや捜査への影響がありコメントを差し控えるという形でまったく真実を語ろうとしない。
 今回、加計学園問題で愛媛県職員と会い、この件は首相案件であると言明したと文書に記されていたのは柳瀬唯夫である。経産省ホープであるが、この男の名を記憶しているのは、3.11の原発震災の後、対応にあたる菅政権の足を引っ張ることを目的に、原発への注水を止めたのは菅直人元首相であるというデマを自らのメールマガジンで行ったのが、現首相の安倍晋三である。このデマをすぐに産経新聞、読売新聞が後追い記事にし、一気に菅下ろしの政局化した。のちに原発への注水は止まっていず、安倍晋三によるデマ中傷であることが明らかになっている。
 このデマ情報を安倍晋三にもたらした人物として噂が流れたのが、柳瀬唯夫だった。原発震災への対応をルポした朝日新聞記者大鹿靖明による『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』そそうした記載があったと記憶している。この本では柳瀬がデマ情報をもたらした犯人と疑われたとして特定は避けられている。しかしその後、安倍が政権に復帰した後すぐに首相秘書官となり、現在は経産省のナンバー2ポジションの審議官についている。安倍晋三から登用されている点からしても、あのデマをもたらしたのはこの男ではないかと真面目に疑っている。
 ある意味経産省原子力ムラの総本山である。その中で中枢の官僚出世コースを登ってきたこの男にとって、民主党政権下での原発震災は、それにより原発から脱却を志向した民主党政権の足を引っ張り、政権をぐらつかせることは使命でもあったのかもしれない。実際、経産官僚のサボタージュと裏で自民党と繋がった足の引っ張りは陰に陽に露骨だったように記憶している。
 その経産官僚が今回の件について口にしているのは、「記憶の限りでは愛媛県職員と会った覚えがない」であり、なぜか首相案件と言ったかどうかについては鮮明に「言ったことはない」と言明しているのである。
 こうした日々更新される安倍政権の不祥事への抗議、意思表示として今回は居ても立ってもいられない思いで国会前抗議行動に一人の自発的頭数要員として参加した。
 これまでにも国会前や官邸前の抗議行動には何度か参加しているのだが、今回はかなりの人が出ていた。途中、主催者発表では3万人と発表もあった。それだけの参加者が歩道に閉じ込められるような状況にあった。歩道と車道は鉄柵で遮られ、警官隊が車道に人が出るのを制限していた。さらに国会正面の横断歩道も通行が禁止され、信号が青に変わっても通行ができない状態だった。
 第一部が終わり、第二部は「未来のための公共」など若い主催者にバトンが渡り、主催者側からの挨拶、そしてコールの前にマイクを持った者が、「もっと前に」と煽った。それに呼応して全体が前がかりになった。ちょうど国会前の信号が青となり、警官の制止を振り切って渡る者が多数出た。自分もその流れについて行った、みんな向こう側に着いても歩道に入らずそのまま車道に残り、歩道の人々を手招きした。自分も多分同じことをしていたと思う。途中から手を頭の上に掲げて拍手をした。歩道のあちこちで鉄柵を倒し人々が車道に入ってきた。一番後ろから同様に鉄柵を倒し、人々が車道を駆け出してきた。
 そのようにして決壊は始まったのだが、なんとなく予定調和的な部分もあった。警官の数も集まった人々の数からすれば、なんとなく少ない印象があった。今日は決壊しても致し方ないというような雰囲気がまあ感じられたといえば感じられたかもしれない。
 ひょっとして第二部のあたりで車道を解放するというような話が出来ていたか、あるいはそれを許すような警備方針だったのかもしれない。
 とはいえ車道に人が溢れるのは開放的な雰囲気があって、やはり良いと思う。そしてそれだけの人数が集まったことがニュースの絵柄としても効果的だろうし、政権へのアッピールにもなるだろうとも思う。
 とにかく今日、国会前で自分は自発的頭数要員として、安倍政権に対する異議申し立てをした。