借りぐらしのアリエッティ


映画『借りぐらしのアリエッティ』公式サイト
娘が部活から帰宅したのは、ほとんど7時を少し回った頃。予定していた風の里保育園の夏祭りは結局いけずじまい。家できちんと夕食作るかどうしようかとも思ったが、せっかくの休日である。映画でも観にいくかと提案すると、全員大賛成。わかばウォークのシネプレックスに車で出かける。
ジブリの最新作である。原作の『床下の小人たち』はよく知っている話である。毎日のように日テレから宣伝が洪水のように流されているので、けっこういろいろな情報が入っている。宮崎駿監督作品ではないこともあり、そのへんがどうかなとも思った。
観ての感想を率直にいえば、かなりの出来である。飽きさせない、ダレない。オーソドックスな演出、話の運びだけど、かえってそれが良かったのかもしれない。
CGを使わない、手のこんだセル画も美しい。なによりも主人公のアリエッティの雰囲気がいい。ジブリの伝統を継ぐ正統的な美少女。髪を洗濯バサミでとめたポニーテール、そうでないときの雰囲気の違いとかもなかなか良かった。
若干気になったのはアリエッティと男の子の出会い場面あたりか。小人と出会った男の子、中学生くらいの子か、もっと驚けどよみたいな部分がやや不自然。まあ、心臓病で、たぶん余命もあまりない感じで、ある種の諦観を抱いている子だからなのかもしれないけど。
この男の子がアリエッティに語る小人が滅び行く種族だという話は、少し唐突な感じもした。まあそこに自分自身を重ねているとかあるのだろうけど、ちょっとセリフが硬いかなとも思った。
お話の後半は、小人シリーズの2作目、3作目を強引に持ち込んだ印象が強いかな。『野にでた小人たち』や『川を下る小人たち』だったり。そのへんが少しやっつけ感がないでもないが、まあ読んでない人にはあまり関係ないだろう。
まあとにかく面白かったよ。へたなハリウッド映画とか観るよりはるかに楽しめる。とりあえず万人に勧められる映画だな。それがある意味ジブリの真骨頂というところだろうか。
個人的にはもう少し原作脚色してもいいかなという気もする。主人公を男の子をメインにして、彼がすっかり大人になって昔を回顧するみたいな設定にして、実はドールハウスにはアリエッティの子どもとかその手がまだ住んでいてみたいな。ようは男の子はずっと小人を保護し続けてきて、ある種の小人なり、アリエッティへの友情とか、恋とか、もろもろの思いとかもあったりしてみたいな、そういうお話にしてもよかったかなとも思う。
イメージとしては『ピーターパン2』の最後でピーターパンと大人になったウェンディの再会みたいな感じかな。ノスタルルジィを前面に押し出したものとかにしたらとか。まあ、映画の本質がまったく変わってしまうから、これはこれでなんともというところかな。