ハッピーフライトを観る


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『ハッピーフライト』とは | 映画『ハッピーフライト』ファンサイト
例によってワカバーウォークのシネプレックスわかばで。「ウォーター・ボーイズ」「スウィング・ガールズ」の矢口史靖監督の最新作である。予告編を何回か観ていてなんとなく楽しそうさな映画という印象を受けていた。そして矢口監督作品である。ここのところ日本映画ずいている身としてはこれは観ない訳にはいくまいということで、本日行ってきたわけです。劇場行って初めてわかったのだけど、昨日が初日だったらしいです。
感想は、面白かった。とにかく面白かった。映画にいろいろな意味をもたせたり、やれ芸術性だの、思想性だの、情念だのなんの、まあそういうもろもろを含意させることを求める層からすれば、なんていうのだろうお手軽系の映画ということになってしまうのだろう。でも純粋娯楽系映画としていえば、この映画には穴らしい穴がまったくない。とにかくダレ場がまったくない。テンポが非常に良いのである。もうポンポンとストーリーが進んでいく。そして役者さんもみんな良いです。
主演級はパイロットの田辺誠一、CAの綾瀬はるかの二人なんだろうけど、他にも沢山沢山味のある役者さんが味のある演技を見せている。この映画は国際線フライトに携わるパイロット、CA、空港管制官、整備士、地上勤務職員たちを描いた群像劇なんだけれど、それがきっちり描かれているのは監督の演出もさることながら、個々の役者さんたちの生き生きとした演技によるところも多いと思いました。
印象に残ったのはまずCA役の吹石一恵。この人は基本的には、ゆるキャラだと思うのだけど、いいんだよな雰囲気が。そして笑顔も大好き。ようはタイプなんだな。でも今回のCA役では堂々たるお芝居で、綾瀬はるかを食ってるんじゃないかとさえ思った。なんかCAで確かにこういうタイプいそうみたいな感じ。
地上勤務職員でカウンター業務担当の田畑智子。この娘も存在感抜群。よく見かける顔だなと思ってたんだが、元々はNHKの朝ドラ「私の青空」のヒロインでした。そういやいましたねこの人。当時はなんで朝ドラヒロインにこんな角ばったアンチ美人がとも思ったけど、当時から存在感ありました。この映画でのカウンター業務役、グランド・スタッフというのだそうだけど、これは見事に演じていました。冒頭、男性との出会いもないハードワークな職場にいい加減嫌気をさしていて、退職を希望しているという役柄なんだけど、とにかく仕事はきっちりこなす。そういう女性をきっちり演じています。映画の最後になんとなく新たな男性との出会いがありそうな、そんな予感を与える感じで終わるところが良かったです。
さらにいえば管制室で働く女性たちが良かったですね。一番ホントぽくて良かったのは江口のりこかな。なんかいかにもいそうな感じ。総じてこの映画の中では、25以上30前後くらいになるのかな、そういう年齢の働く女性というのをきっちり描いていた。みんな美しく、かつかっこういいのね。矢口監督は実は女性を描くほうがうまい、まあ思いつきだけど、少なくともこの映画についていえばそんな感じがしましたね。
最後にもちろん主役の二人も良かった。田辺誠一、機長になるための実地試験を受けるためおどおどしている副機長役を好演しています。なんかこういうタイプいそうですな、適度にお調子モノ、あまり居丈高にならない、どちらかといえば軟弱質な方。そして綾瀬はるかチャン。綺麗だし、可愛いし、良かったんじゃないかな。周りにすごい役者さんが揃っているのに存在感がけして失われていない。
とにかくこの映画の小気味良いハイテンポな演出は素晴らしい。この映画ならどんなに疲れていても寝ない自信がありますね。そういう意味でもこの映画はけっこうレベル高いと思う。演出、役者の演技、沢山でてくる空港職員等の性格付けもきっちりされている脚本。こんなに小気味の良い映画は久しぶりである。そういう意味でいえば、この映画、今年のナンバー・ワンかもしれないな、個人的にはね。