政局よりも政策

麻生首相はここんとこ「政局よりも政策」をということで解散総選挙を先送りし続けている。世界金融危機という現実を前にしてそれはとてもまとも風に聞こえることは聞こえる。そして昨日の朝日夕刊一面の記事によれば、解散は来年度予算の年度内成立後の4月以降を示唆したという。
http://www.asahi.com/politics/update/1115/TKY200811150071.html?ref=rss
これはどういうことか、文字通り「政局よりも政策」ということなのか。いや違うだろうと思う。政治家の文言がもっともらしくても実はいい加減なご都合主義であることの証左は様々な実例からも明らかだとは思うけど、麻生首相の今回の総選挙先送りはもっと別次元の問題なのだと思う。
もともと麻生政権は福田前総理が勝手に政権を投げ出したことから生まれたわけでしょう。そしてすぐに解散総選挙を行うべく選挙管理内閣みたいな位置づけもあったわけだ。だいたい福田さんでは選挙の顔としてあまりにも役不足だし、不人気だし。だから新しい選挙の顔として、たぶんそれだけが理由で選ばれたのが麻生さんだったはず。出自がね政局なんですよ。なのになぜ総選挙を回避し続けるのか。
一つには麻生政権になっても自民党支持率、内閣支持率が思ったほどあがらなかった。だから解散総選挙にうって出ても自民党が勝つことはあり得ない。ただ議席を減らすだけでなく民主党との間で政権交代に繋がる可能性もある。だから選挙にうって出れないわけだ。
さらにいえば麻生総理からすれば念願の総理大臣の椅子なのである。それが選挙で惨敗すれば、民主党過半数を奪われれば確実にその位置からこけてしまう。もし民主党過半数取れず、自民党公明党が引き続き政権を維持することになっても、前回の小泉郵政選挙で得た議席は当然は何割か減じる。場合によってはそのことの責任を問われ、総理の椅子は別の人間に取って代わられる可能性もあるのである。そうであれば出来るだけ解散総選挙を引き伸ばし総理の椅子を、権力を維持し続けようと考えるのは、一度権力を握った者として当然の考えといえるだろう。
麻生総理は、自民党は、今後自民党の支持率が大幅にアップするようなドラスティックな展開がおき得ない限り、引き続き解散総選挙を引き伸ばし続けるでしょう。おそらく来秋の任期満了までずれこむ可能性もあるようにも思う。例えば小沢一郎のスキャンダルとかが発覚するとか、そういう民主党の敵失でもない限りは早期の解散総選挙はないかも。
とはいえ現在のねじれ国会自体はまったく解消されていないのである。民主党はとにかく早期に解散総選挙に持ち込みたいわけなので、国会運営は例によって混迷していくでしょう。となると麻生政権は思ったような施策をとることも出来ず、にっちもさっちもいかないままにヤケクソ気味に解散総選挙にうって出るみたいなこともあるかもしれない。いっそまた総理が辞任して別の誰か、それこそ選挙の顔として目新しい女性総理とか、あるいは本当にキムタクでも総理大臣にしてしまうかもしれないぞ。