妻の冒険

5時頃仕事的には佳境という時に妻から電話がある。なんだろうと思っていると、「今神保町にいるの」という。なんでも2時過ぎに家を出て、一人でバスに乗ってふじみ野駅まで出て、それから電車に乗って池袋へ出て、有楽町線に乗り換えて市谷へ。それから都営新宿線で神保町まできたのだという。都合2時間半。都内へ出かけるなんてことは寝耳に水みたいなことだったから、とにかく大丈夫かと聞いた。それから会社へ行ってみたのかとも聞くと、最初はそのつもりだったが、乗り換えとかに思いのほか時間がかかったのですぐに帰るという返事だった。
妻は6時半に娘とふじみ野の駅で待ち合わせしているから一緒に食事をしようという。1時間半で帰るのはしんどいだろうとも思い、とにかく気をつけて帰るようにいった。その後仕事で若干居残っていたので、6時30分くらいから妻の携帯に連絡してもなかなかでない。それで自宅に電話してみると娘がいる。駅で待ち合わせはと聞くと、いってみたけれどママがこないから帰ってきたという。それでまたまた妻の携帯に電話するとようやっと出て、なんとかふじみ野駅まで戻ってきたという。時計をみると7時10分前くらい。なんとか2時間弱で戻ってきたようだ。
それで再度、自宅の娘を呼び出して駅までくるように言う。妻には駅近の書店で待っているように言い、7時20分過ぎに家族で合流。いっしょに食事をした。妻にとっては初めて一人で電車に乗って都内へ出るという大冒険だった。そして娘も大人の足で徒歩15分近くもある駅までの道のりを往復させられたわけで、これもなかなかの冒険だったみたい。私はというととにかくやきもき心配させられどうしだった。
なんで急に都内へ行ってみたのかと聞くと、水曜に妻の会社に行くことになっているので、その前に都内まで行けるかどうか試したかったのだとか。あと一ヶ月半で休職期間が終わるのだが、週に何回かこういう通勤の訓練をすれば、ひょっとして職場復帰も可能なのかもしれないなと、少しだけそんな可能性を思わせるところもある。とはいえ、最寄駅まで30分。それから電車を乗り継いで会社の最寄駅まで2時間弱。それから会社までの徒歩。どう考えても最初のうちは3時間近くかかるわけだ。それは元気な時の通勤時間の倍以上でもあるわけだ。まあ慣れてくれば、そこそこに短縮はされるだろうけれども、それでも2時間以上かかる。それを毎日こなしていけるのかどうかというと、これはもう本当にクエッションだ。
それでも一縷の可能性がないわけでもないというのが、今回の妻の冒険ということなのだろうか。