「The Best of James Taylor」

Best of James Taylor 懐かしさとともに久々に聴いてみた。ジェイムス・テイラーは1969年アルバム・デビューだから35年を越えるキャリアをもつ。1948年生まれだから今年で58歳か。
 いわゆるシンガー・ソング・ライターのはしりみたいにイメージしていたのだけど、ここ何年かはジャズっぽいアダルト・コンテンポラリーをやっているみたいだったかな。何年か前にモントルー・ジャズ・フェスティバルで客演しているのを衛星放送かなにかでみかけた記憶がある。禿げ上がった頭の見事なオヤジぶりで、久々にみるその姿は若い頃とのギャップがありすぎでちょっとびっくりした思いがある。
 長いキャリアをもつジェイムス・テイラーだけど私にとってはファスート・アルバム「ジェイムス・テイラー」(1969年)、二枚目の「スウィート・ベイビー・ジェイムス」(1970年)、三枚目の「マッド・スライム・スリム」(1971年)、そして四枚目の「ワン・マン・ドッグ」(1972年)あたりまでだ。思えば毎年1枚づつ出していたんだね。
 世間的にも「マッド・スライム・スリム」収録の「きみの友だち」のビッグ・ヒットあたりからメジャーになったんだろうと思う。個人的にもこのアルバムと前作「スウィート・ベイビー・ジェイムス」あたりがベストだな。とにかく懐かしい。今回聴いていてクレジット確認したら、今まですごい思い違いをしていたことを見つけた。「きみの友だち」「遠い昔」のバッキング・ヴォーカルをやっているのはジョニ・ミッチェルだったんだね。いわれてみればジョニの声そのものなのに、長いことキャロル・キングとばかり思っていた。作曲家だからとか、キーボードで参加していることからずっと思い込んでいたんだろうな。それにしてもジョニのバッキング・ヴォーカルは雰囲気があっていいな。ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」でもニール・ヤングの「ヘルプレス」のバッキングとピアノをやっていたっけ。彼女の歌が聴こえてきてカメラがニール・ヤングからパンしてジョニの姿を追うみたいなショットがあったような気がする。歌姫登場みたいな感じがした。
 今回聴いていてベストだったのは「遠い昔」。昔から大好きな小曲だけど、今回も雰囲気の良さ、心地良さ、本当に良い曲だなと再認識した。ジェイムス・テイラーの柔らかい歌声と控えめなギター、追いかけるように、よりそうようにして続くジョニのバッキング・ボーカル、からみつくようなキャロル・キングのピアノ。まさしく1970年代のある時期を象徴するようなサウンドだ。そして内向的な男の子の小さな絶望と夢をうたった詩。’70年代的神話の一つだな。

Long ago a young man sits and plays his waiting game
But things are not the same
it seems as in such tender dreams
Slowly passing sailling ships and Sunday aftermoon
Like people on the moon I see
Are things not meant to be

Where do those golden rainbows end?
Why is this song so sad?
Dreaming the dereams I've dreamed my friend
Loving the love I love to love is just a word I've heard
When things are being said

Stories my poor head has told me cannot stand the cold
And in between what might have been
And what has come to pass
A misbegotten guess aias and bits of broken glass

Where do your golden rainbows end?
Why is the song I sing so sad?
Dreaming the dreams I dream my friend
Loving the love I love to love to love to love to love


遠い昔 ひとりの若者が
じっとチャンスを待っている
でも そこはこことは別の世界
限りなく優しい夢の中の出来事のよう
ゆっくりと過ぎて行く帆船
そして 日曜の昼下がり
僕は月に降り立った人たちのように
思いがけないものを見る

あの金色の虹はどこで終わるのだろう?
この歌はなぜこんなに悲しいのだろう?
友よ 僕はいつもの夢をみながら
愛を捧げたい人をひたすら想っている

だけど 愛は 
口の端にのぼる言葉のうちの一つにすぎない
僕のちっぽけな想像力では
この惨めな状況は越えられそうにない
うまくいくかなと思ったことと
実際に起こったことのギャップ
思いつきのデタラメな希望
でも残るのは砕け散ったガラスのかけら

君の金色の虹はどこで終わるんだい
気にのうたう歌はなぜこんなに悲しいのだろう
友よ 僕は見果てぬ夢をみながら
愛を捧げたい人をひたすら想っている