「TIME OUT」

Time Out 久しぶりに聞き返してみる。これって多分、最初に聞いたジャズかもしれない。当時、ジャズを聴き始めた兄が買ってきた45Cm33回転盤だったかな。なんとも懐かしいアルバムだ。もっともここ最近は「テイク・ファイブ」がCMとかでも使われているので、世間的にも最も馴染みやすいジャズ・ナンバーなのかもしれない。
 ブルーベックのピアノはそれほど特色のあるものじゃない。やや硬質な音色。黒人系のブルージー、アーシーなアクみたいなものとは無縁な音だな。個人的には「デイブ・ディグス・ディズニー」のほうが好きかもしれない。
 ブルーベック・カルテットのスターはなんといってもポール・デスモンドのアルトっていうことになるのだろうな。心地良く馴染みやすい音だ。デスモンドはアメリカでもかなり人気があったようだと聞いている。評論家受けしないらしいけど、ダウン・ビート誌では55〜59年まで連続して人気no.1だったとか。そういえば、パーカーの伝記かなにかで、パーカーにとって代わってデスモンドがアルト部門で1位になったみたいな記述を読んだことがあったような記憶がある。
 白人、ウエスト系でも、アート・ペッパーみたいな熱唱系パフォーマンスの対極、良くも悪くも理知的、大人しい演奏だと思う。けっこう好きだったな。今でも時々聴いては心地良くなれる。
 このアルバムでは、1曲目の「トルコ風ブルー・ロンド」が大好きだな。ちょっと室内楽みたいな雰囲気がある。変拍子とフォー・ビートが交互に繰り返される一風変わった曲調だ。昔観た映画、「グリニッジ・ヴィレッジの青春」の冒頭にこの曲が使われていたような記憶がある。観客を映画に引き込むうえでうまく使われていたような感じがした。そういえばあの映画、ちょっと暗めの青春映画だったけど、どこか心に残るところがあるな。監督はポール・マザースキーだっただろうか。主役のレニー・ベイカーよりも若き日のクリストファー・ウォーケンが出ていたのが特に印象に残っている。