2005.11.20(日) ベッドの惨憺たる有様

 朝9時から娘のスイミング・スクール。娘を8時に起こし、自分は二度寝したのだが、9時からのレッスンなのに娘、9時ジャストまでアニメを観ていたらしい。あわてて車を出しプールまで連れていく。その後スーパーで買い物をしたりしてから子どもを向かえにいく。なかなかゆっくり寝ることが許されない生活だ。
 その後はずっと外食が続いていたので一念発起して、病院から帰ってから食べる夕食を作り出す。久々ハヤシライスに挑戦。
 午後1時過ぎに病院へ。ベッドのちょうど妻の下半身の下のあたりが茶色く変色している。妻に聞くとそそうをしたという。妻は紙オムツ状態で、尿は直接チュウブでベッド脇のビニール袋に入って行くので、ちょっと疑問に思い看護師に聞くと、昼食中に味噌汁やらなんやらをかなりこぼしたらしい。左手一本で食べることの不自由さ、おそらく多少とも視力や視野にも影響があるのだろうから、それ以上妻に問うことはやめる。今はとにかく妻がこぼしたりしつつも一人で食事を取れるほど回復しつつあることを素直に喜ぶべきなんだろうと思う。
 夕食後に歯磨きをさせようとしたところ、妻が歯ブラシと間違えて水差しを洗うブラシを口に持っていった時には、少々妻をしかった。
「君は普通に会話もできる。今は左側がマヒしているかもしれないけど、それ以外は普通じゃないか。そんなヨイヨイみたいなマネはしないでくれ。あせらずにゆっくりと確認しながらやればそんな馬鹿げた間違いはしないはずだ」
 妻はしゅんとして「ごめんなさい、でもあんまり怒らないで」と小さく言った。
 こっちとしては、食べ物をこぼしたりするのはしょうがないと思っている。でもこれでボケた老人のようになってしまわれてはとにかく困るという思いだった。そしてそれ以上に無性に悲しくなってきた。
 あとで妻はいくらか悔しい部分もあったのだろう、「冗談でやったのに」と負け惜しみをいった。冗談でもなんでもないのだろう、でも現実を認めない妻のいじらしさとともに、その意地っ張りな部分、負け惜しみをいう勝気な部分が、ある意味これからの彼女のリハビリを支えてくれるかもしれないんだと、出来るだけ肯定的に考えようと思った。
 この日、看護師からそろそろ車椅子にも乗せようと考えているが、転倒が怖いのでヘルメットを用意するように言われる。車椅子とヘルメット、なにかすっとイメージ出来ないのだが、出来るだけ早くに用意するとした。しかしヘルメットってどこで買うんだっけ。一番はバイク用のか。看護師は工事現場で使うようなものでもと言ったが、そんなものどこで手に入るんだろう。学生時代の記念に持っていたカマトンカチを書いたヘルメットはいつのまに消滅したんだろう、などと訳のわからんことを思い描いたりもした。