『我が家の楽園』

 フランク・キャプラの代表作だ。現代のYou can't take it with youは、金儲けに精を出してもあの世にはもってけないよ、くらいの意味だろうか。個人的にはずっとキャプラの最高傑作、一番好きな作品だったが、今回観なおしてみると、そこそこアラもあるなとは思った。なによりも主人公バンダーホフを演じるライオネル・バリモアが老人に見えないことだな。息子役の俳優のほうが明らかに年長にみえる。この映画は1939年作、バリモアは1978年生まれだから、当時39歳。なのに映画の中では明らかに60代の役柄だ。性格俳優だし演技力もあり、もともと爺さん顔ではあるけど、明らかににこの映画のバリモアはお爺さん役には若すぎると今回は思いました。
 この映画のクレジットでは主役4人が並列表記されている。左から順にジーン・アーサー、バリモア、ジェームス・スチュアート、エドワード・アーノルド。これって当時のスターの序列そのままなんだろうな。ジーン・アーサーは当時大スターだし。でもねこの映画の彼女、バンダーホフ家の孫娘に見えないんだよな。庶民的じゃないんだな。でも綺麗だからいいか。あと今回の発見、あのアン・ミラーがジーン・アーサーの姉役で出ているんだね。それも結婚しているのに、バレリーナを夢見ていて一日中踊っている風変わりな奥さん役。40年代後半から50年代のMGMのミュージカル・スターがこんな役をやっていたなんて。
 いろいろなことを思ったりしたけど、やっぱりこの映画素晴らしいな。キャプラ万歳。
 残りの二本は『我が道を往く』『奇跡の人』。これについてはまた今度。