『未知との遭遇』

 最初に劇場で観た時はけっこう感動したんだが、今こうやって自宅のTVで見返すとなんとなく今ひとつかな。満艦飾のUFOマザー・シップのハデハデしさもちょっと食傷気味。この映画が伝えたかった宇宙人性善説にたった善意のメッセージも20年を経過した今日にあっては、色褪せた部分もあるんだろうな。スピルバーグの最新作『宇宙戦争』で宇宙人を徹底的な侵略者、殺戮者として描いているのが面白いね。時代の変化を敏感に感じ取ったというころかな。21世紀はそれだけハードな時代なんだということか。
 この映画は役者が素晴らしい。童心を忘れていない主人公役のドレファスもいい。そしてなによりもトリフォー演じる科学者が素晴らしい。スピルバーグはトリフォーの『野生の少年』を観て、トリフォーにこの役を依頼したとか。こういう穏やかで理知的な人物を演じるとトリフォーの人間性がそのまま映し出されてくるみたいな感じがする。そういえば『アメリカの夜』の映画監督役も同じイメージがあって好きだな。
 あとこの映画で大好きなのがドレファスの奥さん役で出演しているテリー・ガー。この人は本当にいい女だな〜。アメリカの中西部的というか、とにかく田舎の気のいい女という役どころというのがすごくはまる人。この映画ではUFOに魅せられたドレファスを理解できずに子ども連れて家出て行っちゃうけど、普通の奥さんぽくてそれもいい。
 彼女には『ヤング・フランケンシュタイン』にちょい役で出たときからけっこう注目してました。色っぽい、ちょっとお頭が能天気な助手役が笑えたな。彼女ってお頭の足りない気のよい女っていうイメージが定着しているような気がする。『ワン・フロム・ザ・ハート』がまた観たいな。
未知との遭遇 ファイナル・カット版 [DVD]