『言論統制』(中公新書)

 で、次に読んでいるのがこれ。新書判にして437頁の大冊。戦時中、日本の出版業界に大きな影響力をもって言論統制をおこなった情報官僚、鈴木庫三についてを、彼がつけていた克明な日記や多くの資料読みから新たな人物像として描き出した力作。これまで言論弾圧された出版人たちから言論統制の悪の象徴としてひきあいに出される鈴木を真面目にして優秀な軍人官僚のストイックな昭和精神史の一つの現われとして描く一方、自らを被害者とした言論人たちのこの時代の別の側面をも抉り出しているようだ。
 この本は、年末に友人から一押しされたもので、彼の知っている編集者の何人もが、2004年のベスト1にあげているとのことで、とりあえず読んでみるかなと思ったもの。まだ最初のほうだけなんで、個人的感想はなし。
 でも、こういう本を、しかも400頁を越す本を新書で出すということが、けっこうしびれるところでもある。中公新書あなどれん。そこへいくとあの○○新書の最近の刊行傾向はどうなの〜・・・・。