『愚か者死すべし』

 読了しました。面白かった。ヤクザの銃撃事件が思わぬ方向に展開。ただ、後半が少し急ぎすぎ、唐突な感じもした。真犯人、および事件の真相が意外というより、なんかちょっといきなりでこれはみたいな感じだな。そして探偵沢崎のストイックな姿勢も際立っている。なんかこう、スーパーストイックヒーローみたいだ。探偵沢崎ものは、これがある意味売りだし、魅力のすべてなんだけど、今回はもう超越したというかこう、突き抜けてしまったような印象。そのぶん人間味みたいなものが喪われているな。
「昼間はハードボイルドでいられる。でも夜はそういうわけにはいられない」みたいなセリフはたしかヘミングウェイだったっけ。こういうのが個人的には好きなんだけど。とはいえ、原籙のこのシリーズきらいじゃない。純日本製の探偵小説として支持していきたい。