最低賃金

 最低賃金の上昇に併せてパートの時給を引き上げた。すでに7月の25日あたりだったか、厚労省中央最低賃金審議会から今年度の最低賃金の上げ幅を全国加重平均で26円増の874円とすることがほぼ決まっていた。さらに埼玉県は東京、大阪、名古屋と同じ大都市グループということで27円のアップの898円となる。

digital.asahi.com

 中央最低賃金審議会から出された上げ幅は、ほぼそのまま10月に決定されるのがここ数年のパターンである。現政権は最低賃金を1000円まで持って行く方向でいるともきく。そのへんは全て折り込み済みではある。一方で898円となるとパート時給の初年度を20円近く超えることになるため、確実に時給を上げる必要が出ていた。

 この間、社内でもいろいろ議論もし、上げ幅を20円、最低賃金の上昇に併せて27円、あるいは30円にするかの三択で考えていたが、時代の趨勢でもあるということで30円アップに決めた。

 そして今日、社内でも発表しパートさんにも説明をした。正式な発表を待ってからでもいいかなとも思ったが、10月からの適用となると締めの関係もあり、9月の中旬以降には給与ソフトの変更も必要ということもあり、早期にやってしまおうということにした。まあ今月は総会とか諸々あるので、決めたことは早め早めにクリアしておこうということだ。

 と、帰宅してみると案の定、埼玉県からも正式な発表が出ていたので、尚早ということはまったくなく、8月ギリギリでの発表は結果オーライでもあったかなとも思ったりもする。

埼玉県の最低賃金 | 埼玉労働局

 しかしここ数年、毎年時給を上げることになってしまっている。けっこう以前だと、最低賃金よりも大幅に時給がいい状況だったこともある。その時は最低賃金のアップの報道があっても、我関せずみたいな感じだった。しかし最近はというとほとんど毎年最低賃金と追いかけっこをしているような感じである。多分、多分ではあるが、来年もまた30円前後のアップになるだろうとは思っている。そうなるともう、恒例のような追いかけっこである。多分、時給1000円は目前の状況という感じだ。

 新聞の報道にあるとおり、中小企業にはかなり痛手ではある。ましてやうちのような中小零細はご多聞もれずという風で。

 とはいえ現在は人手不足も深刻化している。友人の経営者に聞いた話だが、都内ではパートが集まらないために店を閉めるみたいなところもあるという。地方郊外のこっちの状況でも、ここ数年は以前に比べると募集をかけても応募は随分と少なくなってきている。

 新聞の折り込み求人広告をみても、この近辺でも時給1000円がかなり多くなってきている。きちんと数量化してはいないが、半数を少し超えたくらいになりつつあるような印象だ。一方で、時給880円〜とかいうところも2割方あるようにも思えた。このへんは最低賃金の情報に疎いのかもしれない。

 

「はてなダイアリー」終了

 twitterのトレンドに#ダイアリーとある。なにかと検索してみるとなんと「はてなダイアリー」が2019年春に終了とのこと。

 自分がはてなダイアリーを始めたのは2004年の11月のこと。ダイアリーは2003年1月開始だから多分、けっこうアーリーなユーザーだったのではないかと思う。月に数回しかエントリーしていないにしろ、以来ずっと欠かさず書いてきた。14年間である。なにか感慨深いものがある。

 多分始めた頃に住んでいたのは、ふじみ野だったと思う。けっこう社会派的な内容を書いていたんじゃないか。ふじみ野の町営プールで女児が排水溝に流らされて死亡した一件などは、年齢が同じくらいの子どもがいたせいか、その原因とかをけっこう真面目にレポートしていたように思う。

 それからすぐに妻が脳梗塞を発症して、その闘病を見守る介護日記みたいな時期が随分と続いた。そして障害が固定化され、本人も家族も障害を受け入れながら生活を立て直し始めた頃からは、家族での旅行記とかそういった、まさしく日常雑記ネタになっていった。

 中年から初老に至る14年間というのは、それなりにいろいろなことがあったとは思う。そういう時期の記録がある意味自分のはてなダイアリーだった訳だ。

 今、試しにはてなブログを始めてはいる。そのうちにダイアリーの記録を出来ればインポートしたいとは思っている。

 自分にとってダイアリーであれブログであれ、これは生活綴りである。そう無着成恭のやまびこ教室の類だ。人畜無害な無用な作文ではあるのだが、とにかく14年書き続けちゃった訳なので、耄碌するまでは休み休み続けていきたいとは思っている。

 それにしても「はてなダイアリー」のサービスが終了するのはとても淋しい。

Alfie/Eivets Rednow

  ふとスティービー・ワンダーのハーモニカインストアルバムってあるのかと検索してみたら、バート・バカラックのナンバーを表題作にしたものが見つかった。さっそく試聴してみると、思っていた以上にいい演奏だった。

 普通ならここでアマゾンあたりで中古か海外盤を物色するところなのだが、すぐに全部聴いてみたかったのでダウンロードしてみた。それにしても便利な時代である。 

  ウィキペディアからトラックリストをみると以下のようで、バカラックナンバーは1のアルフィーと3のA House Is Not a Homeの2曲である。

  1. "Alfie" (Burt BacharachHal David) – 3:14
  2. "More than a Dream" (Henry Cosby, Stevie Wonder) – 3:48
  3. "A House Is Not a Home" (Burt Bacharach, Hal David) – 3:32
  4. "How Can You Believe" (Stevie Wonder) – 3:04
  5. Medley: "Never My Love/Ask the Lonely" (Don Addrisi, Dick Addrisi/Ivy Jo HunterWilliam "Mickey" Stevenson) – 2:30
  6. "Ruby" (Mitchell Parish, Heinz Roemheld) – 6:48
  7. "Which Way the Wind" (Stevie Wonder) – 2:47
  8. "Bye Bye World" (Stevie Wonder) – 3:21
  9. "Grazin' in the Grass" (Philemon Hou) – 2:57

  さらにパーソナルをみてみる。

 Stevie Wonder – harmonicapianoclavinetdrumsbongospercussion

 Benny Benjamin – drums

 James Jamerson – bass guitar

 Uncredited – guitar, strings, orchestration

 なんとスティーヴィー・ワンダーはハーモニカだけでなく、ピアノ、エレクトリック・ピアノ、ドラムス、パーカッションを担当している。このアルバムは1968年の作品、スティーヴィーは1950年生まれだからまだ18歳である。恐るべき神童だと思う。

 ドラムスのベニー・ベンジャミン、ベースのジェームス・ジェマーソンモータウンのスタジオ・ミュージシャンとしてその筋では大変有名なプレイヤーらしい。モータウンの社長ベリー・ゴーディーは、「ドラムはベニー・ベンジャミン、ベースはジェームス・ジェマーソンでないとレコーディングしないと」と語ったとさるブログに書いてあった。実際、モータウンのヒット曲、マーヴィン・ゲイシュープリームス等のそれらにはたいていこの二人がリズム・セクションを担当していたといって過言ではないらしい。ジェームス・ジェマーソンのプレイはあのポール・マッカートニーも影響を受けているという話もあるらしい。

ジェームス・ジェマーソン - Wikipedia

ベニー・ベンジャミン〜Benny Benjamin〜

  ギターとアレンジ、オーケストラ指揮はクレジットがないが、なかなかいかしたアレンジである。さらにギターも8曲目の「バイ・バイ・ワールド」ではなかな渋いオクターブ奏法を聴かせてくれる。クレジットがないのは契約の関係かもしれない。

 スティーヴィーのハーモニカのプレイはすでに完成の域といっていい。スローナンバーではエモーショナルに、アップテンポの曲ではリズミカルなハイテンションな演奏だ。一部テクニックに走って高音部ではキーキーといった耳障りな風もなきにしもだが、それでも破綻なくギリギリのところで押さえている印象だ。

 常々ハーモニカ演奏は、ジャズ系のトゥーツ・シールマン、ポップス系のスティーヴィーと思っているが、18歳にして彼はもうそういう域に達しているようだ。

 ふいに思い立って入手したアルバムだが、これは愛聴盤になると思う。50年も前のアルバムではあるがまったく古さを感じさせない。スティーヴィー・ワンダーの偉大さを改めて思い知らされた。

 最後に彼の少年時代のパフォーマンスを。有名なフィンガー・ティップスだけど、本当神童だったんだと思わざるをえない。スティーヴィー、偉い奴や。


Little Stevie Wonder - 1963 Fingertips Part II

 

 

日販、物流拠点見直し

cargo-news.co.jp

 日販は「従来、取引先別、アイテム別に設置していた物流拠点を、DC(Distribution Center=在庫保管型の物流センター)型、TC(Transfer Center=通過型物流センター)型の拠点への再編を進めていく」という。一般的にいえば、DC型(在庫保管型の物流センター)は、王子のPBセンターや医書センターのイメージであり、TC型(通過型型物流センター)は非在庫のVANのみたいな風になるのか。

 しかしここのところの取次の動きをみていると、出版物をTC化し、出版物以外をDC化して利益構造変えるのではないかと思ったりもする。出版物を基調にしたビジネスモデルは、大量物流を想定したものだったが、それはもう死滅しようとしている。かといって少量販売は単価、正味、いずれについても取次の利益にはつながらない。

 取次が生き残りを図るには、出版物流で構築したシステムに出版物以外の物販を流していくことなんじゃないかと漠然と思っている。もう本当に出版界はヤバイ状況にあるのかもしれない。

 

岐阜県美術館

 以前から行ってみたかった美術館である。ルドンの絵のコレクションもかなり充実しているとも聞いていた。最近、11月から1年間リニューアルのため閉館となるとホームページに出ていたので、その前に一度観ておこうとも思っていた。
http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/page5544.php
 今回、京都の後に岐阜で宿をとったのは、この美術館に行くと決めていたからである。
 ナビを頼みに宿から車で進むと30分と少しで着いた。駐車場は地下にあり、道路を隔てた図書館との共用で無料である。

 閉館前ということで所蔵品の蔵出しのような企画展が行われていた。「さよなら、再会をこころに。岐阜県美術館所蔵名品展」。
http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/page5546.php

 いきなりの川合玉堂の作品5点に圧倒される。素晴らしい作品ばかりである。川合玉堂はMOMATにある「ゆく春」が大好きで、日本画の画家の中ではけっこう好きなほうだ。秩父に長く住み、秩父の自然を絵にしたということを聞いていたのだが、もともとは岐阜県出身らしい。そう地方の美術館がだいたいそうであるように、この岐阜県美術館も岐阜に所縁のある画家の作品を収蔵している。川合玉堂、山本芳翠、前田青邨熊谷守一などなど。図録の巻末に岐阜県ゆかりの作家生没年表があるので、試み数えてみると75名くらいいる。この数が多いのか少ないのか判断を下すことはできないが、なんとなく多いという気もしないでもない。
 この企画展の出品リストはこんな感じである。
<出品リスト>http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/pdf/file/20180814meihinten.pdf
 川合玉堂の後は洋画が続く。そこで面白いなと思ったのが山本芳翠の「浦島」である。

 日本洋画草創期、洋画の技術、題材の取り入れ方などの苦闘の跡がなんとなくわかる。MOMATにある原田直次郎の「騎龍観音」と同じような印象を持つ。山本芳翠は明治初期、五姓田芳柳から洋画の手ほどきを受け、さらに工部美術学校でフォンタネージ に学んだ。明治11年にフランスに渡り、ジャン=レオン・ジェロームに師事する。帰国時には海難事故に会いフランスで描いた100点以上の作品をすべて失ったともいう。その後、画塾生巧館画学校を開設、明治美術会、白馬会の創設などに関わるなど、日本洋画の草創期をリードした。
 しかし本人はフランス時代に知り合った黒田清輝の才能を高く評価し、自分は黒田が帰国するまでの繋ぎに過ぎないと語っていたとも伝えられている。事実、黒田が帰国すると生巧館を譲り渡したという。
 山本芳翠の絵はというと、サロン派、新古典主義の模倣の域を出ていない。画力は抜群だが、とにかくも洋画の技術、題材を模倣した習作といっていい。黒田清輝がコランの影響下から出発しながら、外光派、バルビゾン派印象主義の技法を積極的に取り入れながら、日本的な叙情性を取り入れたオリジナリティを獲得していったことを考えると、そこまでに到達はできなかったのだろう。そのへんは多分、原田直次郎も同様だったのではないかと思ったりもする。騎龍観音」と同じ印象を持つというのもそのへんかと思ったりもする。
 この「浦島」も西洋の歴史画の魅力を、日本人にお馴染みのお伽話の主題で伝えようとしたのだろう。とはいえこの絵から伝わる違和感もなんというか半端のないものである。
 岐阜県ゆかりの作家の作品群とは別に、この美術館が売りとしているのがオディロン・ルドンのコレクションだ。例のリトグラフによるモノクロの目玉やクモといったものが多いのだが、カラー作品で目をひいたのがこの「ポール・ゴビヤールの肖像」というパステル画だ。パステルの細かい線がなにか新印象派の点描のような趣を感じさせる。心を惹きつける魅力的な作品だ。
<ルドン「ポール・ゴビヤールの肖像>     <ベルト・モリゾ「ゴビヤールの肖像」>

 ポール・ゴビヤールはベルト・モリゾの姪でポール・ヴァレリの義姉にあたり、本人も絵を描いていたという。ゴビヤールの肖像はモリゾも描いている。こちらは完全な印象派の技法によるが、絵の完成度はルドンのほうがはるかに上のようにも思う。モリゾはけっして嫌いじゃないし、どちらかといえば好きな画家なのだが、画力という点ではルドンのほうがかなり高いステージにあるようにも思う。
 収蔵作品の中に藤田嗣治の絵が一枚あったのだが、驚いたことにこの絵の額装にはガラスで保護されていない。しかもかなり至近距離からの鑑賞が可能になっている。思わず監視員にガラス保護なくて大丈夫なんですかと聞いてしまったくらいだ。そこでもう30cmくらいの距離からじっくり絵を観てみると藤田のいわゆる「素晴らしき乳白色」という下地の様子が確認できた。

 岐阜県美術館というと公式ツィッターに「ミュージアムの女」という四コマ漫画が時々アップされている。猫キャラクター化された美術館の監視員が美術館の裏話を披露するというもので、けっこう楽しんでいた。こんな感じである。
ミュージアムの女 - pixivコミック
 売店で図録を物色していたら、この四コマが単行本化されて販売されていたので図録と一緒に購入した。レジの女性に美術館の受付に本を持って行くと特典があるといわれたので、出てきたばかりの受付に本を持って行くとルドンのクリアファイルをもらえた。ついでだからと、受付にいた女性二人に、この四コマの主人公さんのモデルの方っていらっしゃるんですかと聞いてみると、一人の女性が「モデルということはありませんが、描いたのは私です」と言う。よく見ると、鑑賞中に藤田嗣治の絵の額装について質問した監視員の女性だった。
 なんとなく漫画のイメージから、少しおとなしいタイプの監視員を想像していたのだが、ちょっと正反対の活動的風に見える美人さんでした。そこで、「サインもらえますか」と聞いてみると快く応じていただいた。
 

保津川下り

 京都ではいつも嵐山の出版健保の宿に泊まっている。なので一度舟遊びをしたいと思っていた。カミさんも保津川下りをしたいと言ってたので、障害者でも利用できるものなのかと調べてみると意外とハードルは低いみたいだった。
ようこそ保津川下りホームページへ ようこそ保津川下りホームページへ(保津川遊船企業組合)
お身体のご不自由なお客様へ お身体のご不自由なお客様へ | ようこそ保津川下りホームページへ(保津川遊船企業組合)
 ただし嵐山からトロッコ電車を使うと、トロッコ亀岡駅からはバスか馬車で15分くらいかかる。もともとトロッコ電車自体も混むというので、ここはJRで亀岡駅まで行くことにする。駅からは5分程度で乗船場に着く。かなり待たされるのかと思いきや、チケットを買って10分くらいで呼び出しがかかり、舟に乗ることになる。船着き場までは長い階段を降りるのだが、きちんと回避するスローブもある。
 時間はだいたい1時間半、料金は一人4100円。そこそこの値段ではあるが時間を考えるとまずまずかも。夏は水量が少なく時間がかかる。多分春先などは水量が多く、流れが速くなるので1時間程度となるようだ。
 まあ暑い時期だがそこそこの涼がとれる遊びである。船頭さんの話も面白いし、けっこう楽しめると思う。
<頑張る船頭さん>

スヌーピーの岩>

<橋上駅>

かんぽの宿

 京都からの帰りに岐阜羽島で一泊することにした。以前から淡路からの帰りとかに岐阜羽島や浜松、郡上八幡恵那峡なんかで一泊している。さすがにもう年齢的に無理が効かないし、長時間の運転はしんどい。以前は、夜通し走って明け方に帰宅するなんてこともあったが、5〜6年くらい前からそれも難しくなってきていた。だいたいの場合、途中のパーキングで仮眠をとるのだが、車中の仮眠ではあまり疲れもとれない。なので、宿をとってしまうということがしばしばとなっている。
 今回の岐阜羽島かんぽの宿は二度目だ。田んぼの真ん中にあるなんの変哲もない宿だ。部屋も普通。かんぽの宿はこれまでも恵那峡、諏訪、浜松なんかに泊まっているが、ここは中の上くらいの感じだ。一番よかったのは多分恵那峡だったように思う。
 とはいえこの宿は料理が割と美味しい。まあお盆の時期に一泊15000円程度で泊まれるのだから、ある意味十分といえば十分。料理はこんな感じだった。

 お造りにきゅうりで作った小さなカエルがいる。

 まあ可愛いといえば可愛いが、それでもカエルである。なんとなくひく部分もあるにはある。ちょっと箸をつけるのを躊躇してたら、カミさんが「ちょうだい」というのでやることにする。いくら模したものとはいえ、カエルを食すのは微妙である。

 ここの宿では岐阜の地酒のきき酒セットというのがある。純米酒淡墨桜が割とイケた。