2020年の物故者

 今更ながらだが、12月30日の朝日23面、24面「2020年あの日」を読み返している。

1月13日 坪内祐三(61)

書評家、コラムニストとして『本の雑誌』などでよく読んだ。61歳という若さでの急逝はちょっとショックだった。

1月18日 宍戸錠(86歳)

日活の悪役スター。矢作俊彦がエッセイで絶賛していたこと、頬を膨らませる整形手術を行ったこと、「ゲバゲバ90分」でバラエティに進出したことなどを覚えている。

1月26日 コービー・ブライアント(41)

バスケットのスーパースター。ヘリコプターの墜落で事故死。実はプロバスケとかあまり詳しくない。2月にロサンゼルスを訪れた時に、あちこちにKOBEの文字があり、一瞬ロスと神戸は姉妹都市かと思ったのだが、ちょうどその時期に追悼イベントが行われたいた。

1月29日 梓みちよ(76歳) 

「こんにちは赤ちゃん」はなんとなくだが、リアルに覚えている。当初ナベプロ三人娘は梓みちよ伊東ゆかり中尾ミエだったが、梓と中尾のキャラが被っていたこともあり、梓が抜けて園まりが入ったと、何かで読んだ記憶がある。

2月8日 小林直樹(98)

憲法学者、学生時代その著作にはお世話になった。憲法学者というと今では芦部信喜ということになるが、自分らが学生時代だと小林直樹の方が有名だったような気がする。日本の憲法学は美濃部達吉宮沢俊義という流れで、その宮沢の直系の弟子が芦辺ということになるのだろうか。ただし宮沢の後に東大で憲法学の教授となったのはたしか小林だったように覚えている。

2月11日 野村克也(84)

長島や王が存命で、金田が逝き野村が逝く。そういうものなのかもしれない。キャッチャーでありながら超一流のスラッガーであること、多分バッターとしては野村、落合あたりは王、長島よりも上なのかもしれない。

3月3日     別役実(82)

不条理劇、童話『淋しいおさかな』、小室等が曲をつけた『雨が空から降れば」を覚えている

3月6日  マッコイ・タイナー(81)

コルトレーンの盟友。いっときこの人の硬質なピアノをずっと聴いていた時期がある。ソロピア『エコーズ・オブ・ア・フレンド』とかをよく野毛のちぐさでリクエストした覚えがある。

4月10日 大林亘彦(82)

『ハウス』でCMディレクターあがりのポップな感覚が話題になったのを記憶している。まあ個人的にはやはり原田知世の『時をかける少女』ということになる。

5月13日 井波律子(76)

中国文学者、岩波から沢山本が出ていたように記憶している。吉川幸次郎直系の多分最後の弟子筋になるんじゃないのか。

5月20日 塚本三郎(93)

民社党の委員長。民社党というと春日一幸とこの人が浮かぶ。もともと前身は社会党右派なんだろうが自民党の補完勢力とその代表選手というイメージが強い。

6月11日 服部克久(83)

日本の歌謡界の大御所作曲家、編曲家。この人のことは竹内まりやのアルバムでアレンジを何曲かやっていたことを覚えている。

7月6日     エンニオ・モリコーネ(91)

映画音楽の巨匠。マカロニ・ウェスタンパゾリーニやベルトリッチ作品で有名。同じイタリア人作曲家としてはニーノ・ロータと比較されるかもしれないが、かたやフェリーニ作品や『ゴッド・ファーザー』、かたやマカロニ・ウエスタンということで、エンニオ・モリコーネの方が格下扱いされるような部分あったかもしれない。

7月16日 森崎東(92)

松竹の人情もの、コメディ映画、基本プログラム・ピクチャー系だったか。

7月21日 弘田三枝子

整形、ダイエットしてカムバックするより以前、60年代、まだ10代でダイナマイト娘と呼ばれていた頃のことを子ども心に覚えている。多分、自分にとってはもっとも早い頃の記憶の一つ。

8月10日    渡哲也(78)

日活黄金期のスター。たしか直腸がんでストーマーをつけていたと記憶しているが、あれは確か90年代だから30年近くそういう不自由な状態で現役俳優として活躍したことになる。弟の渡瀬恒彦は2017年に72歳で没している。

8月19日 山崎正和(86)

劇作家として有名だが、自分は『おんりい・いえすたでい'60s』をよく覚えている。1920年代をF.L・アレンの『オンリー・イエスタデイ』の手法で60年代を描いたもの。直近の10年を歴史叙述するという現代史の新しい技法という点で新鮮味があった。

8月28日 岸部四郎(71)

タイガースの再結成コンサートを東京ドームで観たときに、この人が車椅子に乗って登場。たどたどしい声で『イエスタディ」を歌ったことをよく覚えている。兄の岸部一徳やジュリーが大切なメンバーの一人としてこの人のことを扱っているのがちょっと感動的だった。タイガース解散後はブレッド&バターと組んで『野生の馬』を歌ったことも覚えている。ああいいうアメリカのフォークロック系のコーラスをこの人は指向していたのかもしれない。

9月23日 ジュリエット・グレコ(93)

まさしくシャンソン界の大御所。ベコーも遠に逝き、アズナブールも2018年に亡くなり、この人も逝った。もはや自分たちが知っていたシャンソン歌手はほとんどが鬼籍に入った。

9月27日 竹内結子(40)

突然の死、しかも自裁。実は今活躍している女優の中では一番評価し、好きな人でもあった。衝撃だったし、きちんと追悼文を書きたいと思いつつ未整理のままになった。彼女の『ストロベリー・ナイト』も大好きで繰り返し観ているのだが、彼女が死んでからは一度も観ることができていない。

10月6日   エディ・ヴァン・ヘイレン(65)

ヴァン・ヘイレンといえばやはり『ジャンプ』か。あとはマイケル・ジャクソンの「Beat It」。速弾きでインパクトがあるギターだった。65歳、ほぼほぼ同世代。

10月7日 筒美京平(80)

 70年代邦楽ポップスはこの人によって形成されたのではないかと思っている。特に70年~73年あたりはもう怒涛の快進撃といっていいかもしれない。そして南沙織はこの人の曲によって時代を駆け抜けたようにも思う。

また逢う日まで』『さらば恋人』『真夏の出来事』『17歳』『潮風のメロディー』『赤い風船』『色づく街』・・・・・

10月31日 ショーン・コネリー(90)

元祖ジェームズ・ボンド。あれだけインパクトのある役柄だけにイメージが定着して苦労するはずなのだが、この人はいとも簡単にそのイメージから脱皮して渋さと軽みの両方を兼ね備えた名優となった。『薔薇の名前』は名演だったと思う。

11月20日 矢口高雄(81)

釣りキチ三平』『幻の怪蛇バチヘビ』『野性伝説羆風』などなど。この人のマンガは本当に面白かった。

11月25日 ディエゴ・マラドーナ(60)

マラドーナマラドーナマラドーナマラドーナマラドーナ。神の子はサッカーの神となって召されてしまった。

12月7日   小松政夫(78)

シャボン玉ホリデー時代のコメディアンはほとんど鬼籍に入ってしまったのではないか。この人のキャリアはたしか植木等の付き人からだったと思う。

12月20日 エズラ・ボーゲル(90)

ジャパン・アズ・ナンバーワン』は1979年刊行。自分は80年に書店に勤めたが、その時にもけっこう売れていた印象がある。60年代後半から70年代にかけて、日本はちょうど興隆期にあったということだ。

12月23日 なかにし礼(82)

日本の邦楽にとって2020年は筒美京平とこの人が死んだ年として記憶されるのかもしれない。