川越市役所へ行く

 川越市役所に兄のことを相談に行く。

 兄の窮状、人工透析を受けているが、足の動脈硬化と右足親指の切断、その後のねんざや火傷で歩行が困難になっていること、現在エレベーターなしの5階に住んでいることなどから、なにか公的なサポートはないかといったことについてダメ元的に相談を求めた。

 最初、介護保険課で若い男性の担当者が対応してくれたので、兄の窮状を説明したが、先方は介護度を聞き、介護保険での対応となること、相談についてはケアマネにしてほしいの一点張りだった。その後、高齢者いきがい課ののほうに案内された。出てきたのはやはり若い女性で、こちらの話を聞いた後は「高齢者サービスのしおり」を見せながら、やれ緊急通報システムだの配食サービスなど、どうでもいいようなことについて説明を受けた。5階建て住居で上り下りや人工透析にも通えないという点についても、市内のサービス付き高齢者向け住宅の一覧を渡されて、個別に問い合わせてほしいとのこと。結局、こちらが必要な情報なりサービスについては何も得られなかった。

 まあ最初から役所での対応は難しいだろうなとは思ってはいたけれど、ここまで木で鼻を括るような対応かと正直ため息の一つも出るような思いだった。結局、高齢者への福祉サービス、社会資源の適応については、介護保険で行うということになって以来、行政の福祉への関与は減じているのではないかという思いが強くなった。しかもその福祉サービスはすべて民間業者によるものであり、個々のサービスについてはこれも民間介護業者によるケアマネを通じてということになる。

 30年近く前、父が亡くなり寝たきりの祖母の面倒をみているときには、区役所での相談窓口は福祉事務所が行っていた。担当者はけっこう親身になって対応してくれ、祖母が入院している病院にも来た。こちらがこのままでは自分たちが仕事をやめて祖母の面倒をみなくてはならなくなり、共倒れになってしまうと訴えると、特養への手配を進めてくれ、最初は半年待ちということだったが、祖母の退院後はすぐに入所ができるようにしてくれた。

 その時と今では介護をとりまく状況が大幅に変わっているとは思う。しかし、以前は役所に相談にいけばなんらかの対応をしてくれた。さらにいえば、当時だと公明党共産党の市議とかに相談すると、それなりの配慮と、役所への働きかけとかもしてくれたように思う。

 現在はというと、とにかく介護保険、そしてケアマネとのやりとり、それがすべてのような気がする。15年前に妻が身障者となりサービスを受けるときにも、脳血管疾病という特定疾病のため45歳という若さだったけれど介護保険サービスの適用となった。そのときも自分で事業所とケアマネを探して、妻の状況から様々なリクエストを出してサービスを受けた。なのでこと社会資源を利用するにあたっては、あまり役所とやり取りをした記憶がない。しいていえば身障者手帳の交付申請やそれにまつわる諸々についてだったか。

 しかし、兄がどのくらい入院していられるか、その間に兄を受け入れてくれる施設を探すため、ケアマネとも相談して早急にアクションを起こしていく必要がある。これもまた「分け入っても分け入っても青い山」ということで、先が見えてこない。