加計問題〜閉会中審査とか

 25日、26日に国会閉会中審査が行われ、所謂加計学園問題についての集中審議があった。
この問題は安倍総理大臣のスキャンダルとしては春先から話題になった森友学園問題に続くものだ。安倍は国家戦略特区と称して自らの主導で岩盤規制改革として四国に岡山理科大学獣医学部新設を認めた。獣医学部新設は52年ぶりで、これが文科省や獣医師会が新設を妨げる既得権益側という見立てだった。
 しかしその岡山理科大学を経営する学校法人加計学園の理事長が、安倍晋三の学生時代からの友人であり、会食やゴルフを年に数十回も共にする、安倍言葉を借りれば腹心の友ということなのだ。要は岩盤規制の名の元に友人に便宜を図る典型的な利益誘導、斡旋事件なのである。
 安倍は疑惑を持たれたことを詫び、丁寧な説明と「理科に冠を正さず」の喩え持ち出しさえした。しかし、質疑で疑問、疑惑はほとんど晴らされることはなかった。さらに言わせてもらえば、これは森友学園問題にも通底することなのだが、とにかくこの政権にあっては情報公開はまったく成されず、逆に情報は隠蔽消去される。
 森友学園問題では国有地の売却を巡り、不当な値引きが繰り返されていったのだが、売却交渉の経過の記録を財務省はすべて契約終了後に破棄したと強弁した。おまけにサーバー内に残っているはずの記録もまた、「ない」「破棄した」「バックアップも含め自動的に消却される」という、およそ行政府にあってはありえないような話を繰り返した。
 国会でそうした隠蔽を当然のことのように話した不誠実な官僚、佐川理財局長は、国会閉会後に国税庁長官に栄転した。隠蔽し続けたことへの政権による論功賞とも言えるようだ。
 そしてこの加計学園問題でも優秀な官僚は記憶にないを繰り返し、多くの記録が廃棄され残っていないとされている。噴飯ものだったのが、獣医学部を誘致した今治市の役人が総理官邸を訪れて、内閣府の官僚と打ち合わせをしたという記録が、今治市側に出張記録として残っていた。これに対して内閣府側には入館記録、面会記録、すべてが破棄されていて残っていない。そのため誰が対応したのか答えようがないというのだ。質問した野党議員が官邸のセキリュティは大丈夫かと皮肉を言っていたが、まさしくその通りなのだ。
 本来ならありえないようなことを理由とした事実、記録の隠蔽だ。総理官邸への訪問者の記録が残っていないなどということがありえるのか、訪問者と面会したスタッフが誰か、また面会で何が話されたか、そうしたことはすべて記録されていなければならない。行政にあっては絶対に必要なことだ。それが一定時間を経過したら、記録は破棄される。後からの検証はすべてできないなどということは近代国家にあってはありえないことだ。
 もうその一点だけでこの政権が良からぬことをしている証左といえるのではないかと思う。安倍政権は国会での過半数を占める一強状態をいいことに好き放題をしている。利害関係者に便宜を図
り、おそらくそれによって政権側もまた利益を得ているのだろうと想像される。なぜか意図的に情報を隠しているからだ。疚しくなければ情報はすべて公開されるはずだ。
 この政権を見るにつけ、日本のような民主主義が成熟していない国にあっては、政権党を勝たせ過ぎてはいけない、拮抗状態による相互監視がなければ、政権は一気に腐敗し独善が進むということだ。