蓮舫辞任へ

民進の蓮舫代表が辞意表明 後任、前原氏や枝野氏ら軸か:朝日新聞デジタル
民進党蓮舫代表は27日、臨時役員会を開き、代表を辞任する意向を表明した。都議選で惨敗を喫し、野田佳彦幹事長の交代を含む執行部人事を行う意向だったが、批判がおさまらず、辞任は避けられないと判断したものとみられる。
 昨年9月に代表に就任した蓮舫氏は、10月の衆院2補選で大敗。「提案路線」を掲げ、原発稼働を2030年にゼロにするとの目標表明を主導したが、党内外の反発を受けて断念した。都議選は地元でもあり、求心力回復の試金石だったものの、公認候補の離党が相次ぎ、安倍政権批判の受け皿ともなり得なかった。
 後任選びは、昨年の代表選で敗れた保守派の前原誠司元外相と、リベラル派から待望論のある枝野幸男官房長官らが軸になる可能性が高い。(朝日デジタル)

 迷走を続ける民進党の代表蓮舫が辞めるという。残念な思いがする。理不尽な安倍一強体制にあって、対立軸としての野党第一党を盛り上げて欲しいという思いはあったが、民進党への支持率は回復することもなく、蓮舫本人も二重国籍問題の弁明に終始し続けて終わったようなものだった。
 とはいえ彼女の二重国籍問題、ネトウヨやそのオピニオンリーダー的なゴロツキ共による言われなき、ほとんど言いがかりに近いものだったと思う。なぜか、彼女が二重国籍を有しているだろうということは、ほとんどすべての日本人が知ることだったから。名前からもそうだし、もともと中国系のハーフタレントとして出てきたことなどみんな知っている。父親が台湾人であったのだから、彼女が日本人でありつつ、台湾の国籍を有していることも自明なことだ。しいていえば台湾は国際的には国として認められていないので、中華人民共和国との二重国籍ということになる。ネトウヨ共からすれば、敵国中国の国籍を持っていた者というその一点で彼女を許すことができないのだろう。
 とはいえ、彼女が台湾籍から日本国籍を選んでいたこともまたみんな知っていることでもあった。なぜなら、彼女は日本の国会議員であり、すでに何度も有権者の審判を仰いでいるのだ。この国では日本の国籍を有していなければ選挙に出ることはできない。ようは彼女が中国系日本人であるということは、もうとっくの遠に解決済、自明なことだったのだ。
 それを台湾籍の離脱の事務的な些細な問題を針小棒大に喧伝し、あたかも彼女が国民を騙していたかのようなデマ的言説がネットを中心に膨大に流通した。
 さらにそうしたデマ的言説に本来彼女を守るべき民進党の議員の一部ものっかって彼女を避難するような輩まででた。弾が後ろからもとんでくる状態だった。だから彼女が安倍自民党がスキャンダルで大きく支持率を落としている、千載一遇の好機にあって撤退する道を選んだことを政治家として如何なものか的に攻撃する気になれない。
 今後、民進党が一枚岩的にまとまるかどうか、正直否定的な思いが強い。今後政局が流動化する中で、離合集散が行われる可能性も高い。そうした状況の中で、これからしばらくは蓮舫にとっては雌伏の時代となるかもしれないが、ひょっとしたら大化けしてくれるかもしれない。
 政党の女性リーダーとして、また中国系のハーフという出自をもつ彼女のような存在は、今後東アジアの辺境国日本が隣国と付き合っていくときに必要になると思っている。蓮舫はまだ49歳と若い。頭の回転も早いし弁舌も明確で優れている。そして見栄えもする。今回の挫折も致命的なものではないし、チャンスはまだまだあるだろうと思う。問題は彼女の中国系という出自、その多様性を活かすだけの成熟した社会がこの国に訪れるかどうかだ。
 彼女が今後研鑽を積み、政治的リーダーとして大成するかどうか、そして彼女に仕事をさせられるだけの大人の国に日本がなることができるかどうか。いつまでも島国根性鎖国的閉鎖性と、アメリカへの盲目的追随だけでいいのか。蓮舫問題は彼女のパーソナリティや民進党固有の問題だけでなく、日本社会の今後が試されるような部分もあるのではないかと思っている。
 それにしても彼女を非難するネトウヨ的、人種差別的言説には気分が悪くなる。