安倍国会で説明

 これまで「桜を見る会」前夜祭について安倍晋三は、会費は参加者とホテルとの契約であり自分の後援会事務所からの補填は一切ないと国会で答弁をしていた。しかし検察の取り調べを受けて、事務所の補填があったことがはっきりした。そのうえで公設第一秘書は略式秘書されたが、安倍自身は不起訴になった。結果として安倍晋三はこれまで国会において118回の虚偽答弁を行っていることがわかった。その内訳は「事務所は関与していない」という趣旨で70回、「明細書は無い」という答弁20回、「差額は補填していない」という答弁28回となっている。

 これを受けて安倍晋三は昨日記者会見を行い、さらに今日国会の議院運営委員会においてこれまでの経緯を説明した。しかし安倍は虚偽答弁については当時自分が秘書から受けた説明をもとに答弁している。事務所の関与、差額の補填は秘書が勝手に行ったと総てを秘書の責任だとした。虚偽答弁については、秘書から聞いた話をそのまま説明した。結果として事実と異なる答弁をした。これについて陳謝するというものだった。

【詳報】安倍前首相「説明責任果たせた」桜の前夜祭 菅首相「説明はされた」見てませんが…:東京新聞 TOKYO Web


桜を見る会 安倍氏の国会答弁を振り返る


【LIVE】「桜を見る会」前夜祭問題 安倍前首相が国会で説明

 朝日がまとめた安倍の国会答弁を先に見たうえで今回の議員運営員会での安倍の申し開きを聞くと、これまでいかに安倍が居丈高に野党議員を、結果として国民を嘗め切っていたのかがよくわかる。そのうえで虚偽答弁をすべて「結果として事実と異なる答弁」と言い募っているのである。

 よくも自由民主党という政党はこんな嘘つきを8年以上にわたって党首の座に据えていたものか、自民党公明党の連立政権はこんな嘘つきを総理大臣として政権運営を行ってきたのである。これは国民の無知と政治的無関心によること、さらにはマスコミが安倍一強に屈服して、この男の虚偽をそのまま許してきたことの結果かもしれない。

 これは政治的な退廃、マスコミの衰退だけでなく、日本社会のモラルの破壊そのものではないかと思う。これからは嘘をついても「結果として事実と異なること」を言ったといえば、それですべてが許されることになる。極論めいたことをいえば、もう子どもの嘘を親も教師もそれを認めざるを得ないのだ。

 政治家が嘘をつくことは重い。少なくとも欧米の民主主義が定着した国では、政治家が嘘をついていたことが判れば、それがどんな理由であれ、政治責任が問われる。多分多くの場合政治生命が絶たれるほど重いのである。

 国会質疑の中で立憲民主党の辻元議員は、これが企業であれば社長は責任をとって辞めることになるが、そうするつもりはあるかと問うた。それに対して安倍晋三はしゃあしゃあと「反省の上に立って、国民の信頼を回復するためにあらゆる努力を重ねていきたいと考えている。より身を引き締めながら研鑽を重ねていきたい」などと他人事のように語るだけだ。

 25日というクリスマスというタイミングで、夜のニュースショーは軒並み特番のためお休みになっていてほとんどテレビでは安倍の国会での釈明は取り上げられていない。これは間違いなく政権と自民党が仕組んだものだ。自民党は早期に幕引きをはかるために年内に安倍に釈明をさせて、それをもって説明責任を果たしたということで、この問題を不問にしようとしている。

 さらにいえばコロナ禍で感染者数は毎日最高を更新している。ある意味でコロナのどさくさで桜の幕引きをはかったといえよう。こんな姑息なことを続ける自公政権政権担当能力はないと自分は考える。しかしさして報道されることもなく、この件は一過性のこととして流されていく。そしてコロナについても今の自民党政権では無策が続いているが、そこにおいても政治責任は不問にされている。

 国民は怒ることもなく嵐の解散特番や歌番組を観続けているのである。