西洋美術館「アルチンボルド展」に行く


 西洋美術館のアルチンボルド展に行ってきた。アルチンボルドについては子どもの頃から知っていたと思う。野菜や果物で寄せ集めて奇妙な肖像画を描く画家である。ある意味奇想の人である。ただし、その野菜や果物の描写が細密で実に上手である。さらにいえば、この奇想の画家が活躍したのが16世紀、1500年代のことだというのが驚きなのだ。活躍したのは1527〜1593年、バリバリのルネッサンス期の画家である。一般的にはマニエリスムを代表する画家ということらしいのだが、正直ほんとか読んでもマニエリスムの定義が今ひとつ理解できていない。

極度に技巧的・作為的な傾向をもち,時に不自然なまでの誇張や非現実性に至る美術様式。ルネサンスからバロックへの移行期に生まれ,ポントルモ・ブロンツィーノ・グレコなどにみられる。マニリズモ。(WEBLIO辞書より)

 作品は細密描写で実に上手いし面白いと思う。しかし正直にいえば、アルチンボルドはアホではないかという思いもある。ウィキペディアの記述によれば「ウィーンにて フェルディナント1世の宮廷画家となり、後にその息子の マクシミリアン2世や孫にあたるルドルフ2世にも仕えた」とある。当時の権力者の庇護の元に活躍していたようで、金銭的にも恵まれていたのだろう。彼が使えた権力者は彼の絵画の技術を愛し、その奇抜な画風を面白いと感じていたようだ。そしてアルチンボルドは権力者に飽きられないように、徹底的な奇想、想像力によってより面白い作品を作り続けた。要は彼の作品はエンターテイメント、ウケ狙いの産物だったのではと思う。
 画力に溢れた才人がウケを狙って楽しい絵を描き続けた。権力者とその周囲の者は彼の絵を大いに笑い、楽しんだ。そういうことなんだろうと思う。
<春>    <夏>

<秋>  <冬>
 
<司書>   <水>