サトエ記念21世紀美術館

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 以前から気になっていた美術館。加須市というあまり馴染みのない場所ではあるのだが、埼玉県内にある数少ない美術館なので一度は行ってみたいとは思っていた。
 西洋画ではヴラマンクが数点あるとは聞いていたが、その他にキスリングなども少しありでけっこう充実している。
 この美術館は平成国際大学の真ん前にある。運営母体が佐藤栄学園(サトエと読む)となっている。あまり聞かない大学だと思ったが、調べると吹奏楽やスポーツで有名な埼玉栄高校や最近は東大合格者を多数出している栄東高校とかも経営している。かなり埼玉では手広くやっている学校法人のようだ。
 まあその辺はどうあれ、大学の真ん前にこうした美術館があるというのはけっこう学生にとっては有難い環境かもしれない。宗教法人運営ということで、少し引き気味になってしまう創価大学も、ほとんどそのキャンパス内にあの充実した収蔵作品を誇る東京富士美術館があるのは、環境面で凄いプライオリティになっていると思う。とはいえ美術に興味のない学生にとっては猫に小判みたいなものかもしれないけど。
 まず前庭はこんな感じである。

 そして館内はちょっとロフト風な感じで雰囲気はかなりいい。そして日曜日だというのに恐ろしく閑散としている。誰かがこの美術館を評して隠れ家のようだと書いていたのを記憶しているが、本当にそんな雰囲気である。

 気に入ったのはまず里見勝蔵の「マリーヌへの道」。フランスに留学してヴラマンクに師事したというのだが、おそらく習作何だろうが、これなんかヴラマンク以上にヴラマンクしている。

 思えばヴラマンクはバイオリニストで元競輪の選手という異色の経歴。基本的にはフォービズムの人なのだが、奔放な色彩感覚というより、陰惨というかとにかく冬の凍てついた風景を独特な暗い色彩で描く人である。そして常に建物が傾いている。この人、ある意味ムンクのような神経症的なものを抱えていたのかとも思うのだが、評伝等を読む限りはそういうこともないらしい。
 今回は企画展として「埼玉ゆかりの芸術家展」をやっていた。気に入ったものを幾つか。
小松崎邦雄は画風が全く違う。舞妓を描いた連作とデフォルされた牛に囲まれて泣き叫んでいる子ども描いた作品。あまりにも違すぎるが、いい意味での変転を繰り返している人なのだろう。