介護認定調査

 朝から妻の介護認定調査があり、二日酔いながら朝から家の掃除。
 介護認定調査は一月前に兄のやつに立ち会っており、短期間で続けてというある意味稀有な経験かもしれないのだが、こんな経験はあまり有難いものでもない。
 妻の介護認定調査はもう何回目になるのだろう。発病して11年、最初に介護認定されてから多分10年くらいになるのだから、多分片手では済まないくらいになるのだと思う。
 こちらのスタンスはいつも決まっていて、元々44歳で脳梗塞発病による方麻痺、左上肢、下肢機能全廃による身障者である。医師からはごく初期の段階から、相当大きな梗塞巣があり方麻痺にしろ高次機能障害にしろ、改善の余地はないと宣告されている。介護保険によるサービスを受けるのは、こちらの希望ではなくあくまで行政の都合である。もともと身障者として受けたいサポートやサービスがほとんどなく、特定疾患によるということで介護保険で対応するというものだった。なので妻はまだ40代なのに自分の父親、母親の世代がほとんどであるデイケアやデイサービスを利用せざるを得なかった。
 一番最初の介護認定は要介護4だったが、すぐに3に下げられた。その後も介護保険利用者の増加や国の財政事情も影響しているのだろう、何回か目の認定調査の後に2に下げられた。そこで再審査を請求し3に戻してもらった。この再審査はもう何度か行っている。担当するケアマネからは、介護度がひとつくらい下がっても利用するサービスはたいして変わらないといわれたこともあったのだが、これはそういう問題ではない。医学的に障害が固定され改善の余地がないといわれているのに、行政の都合で介護度が下がるのは納得がいかないという、そういう矜持みたいなものかもしれない。
 ここ最近は、調査員に最初にその話をするようにしている。あくまでこちらのスタンスということだ。あと毎回ではあるのだが、調査員はある種のマニュアルに沿ってなのだろうが、最初に比較的大きな声で「私の声が聞こえますか」と調査対象者に語りかける。そこでこちらはたいていだが、こういうように話す。「まず耳が不自由かどうか確認しなさい。マニュアルに沿ってやっているのだろうが、きちんと聞こえる相手に対してそうした一律な対応は失礼にあたる。気分を害する場合もありますよ」と。
 まあ、そんな風に最初はやや戦闘モードから入るのだが、調査には基本きわめて友好的。ときに涙目で話すなんてこともある。これは演技でもなんでもなく、やれ排泄だの着替えだのといったことへの自立度とかを聞かれる、フォローして自分も話す段となるといろいろ思い出すシーンもあったりするわけなのである。それこそ「あんなことやこんなこと」ということだ。
 今は基本介護認定調査は2年に一度くらいになっているのだと思うが、これからもずっとずっと続いていくのである。