海街diary

妻の装具の引き取りにふじみ野まで行くことになった。ふじみ野といっても場所は上福岡、イトーヨーカー堂のすぐ近くである。業者はその日も病院回りがあるため、朝9時に来てくれという。休みだというのに朝早くからご出勤である。もっとも子どもの弁当作りをしているので、ここ数年遅くまで寝ているということはあんまりないのだが。
装具の引き取りと代金の支払いは30分足らずで終了。時間も時間なのでどうするかとなり、最近できたばかりというショッピングモールららぽーと富士見に行ってみる。
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ここはというと以前は富士見市役所前の広大な田圃だったところだ。以前ららぽーとが本決まりになる寸前で地主の一人が異を唱え、計画が頓挫したとも聞いていた。それがまた話がまとまったのか、今年の春にオープンした。
ほぼ開店前に入ったので星乃珈琲で少し閑をつぶす。しかし車椅子を押してこのスペースはちと広すぎるかもしれない。上階にシネコンがあると聞いてもいたので、前から観たかった「海街diary」を観ることにする。映画化されるときいてからずっと楽しみにしていたし、原作コミックは作者の吉田秋生とともに今一番気に入っている作品でもあるから。
http://umimachi.gaga.ne.jp/:TITLE
映画はとにかく原作の雰囲気を壊すことなく、それでいて子どもたちの様々な青春物語めいた部分とかそのへんを思い切ってカット。とにかく家族の物語にだけスポットをあてた話にしてあった。まああのコミックはインサイド・ストーリーというか、登場人物たちの様々なエピソードによって構成されてもいる。お話の幹としての四姉妹の物語があり、その一人一人が様々な人物と触れ合い、それがまた姉妹の誰かとシンクロしてみたいに派生していく話だ。あれを2時間なりの映画の中に閉じ込めるのは難しいだろうとは思う。
そういう意味じゃ、例えば「北の国から」みたいな形でテレビで長くやるのにむいているお話かとも思う。こういう企画ひょっとして水面下ですすんでないかとも思う。
さて映画の話。家族のドラマに凝縮したせいもあるだろうし、鎌倉を舞台にしているというせいもあるだろうが、とにかくローアングルの小津安二郎映画のオマージュとでいえるような作りになっている。人と人が触れ合うことによって生じる心の行き違い、そういう感じだな。これは多分狙ってやったのだとは思う。
そして今旬な美人女優を四人をつかったからか、女優のアップ思い切りアップでとっている。女優は顔が命、だからアップで勝負みたいなことを「サンセット大通り」でグロリア・スワンソンが言っていなかったか。そして女優をアップでとることで、顔の美しさとともに演技力、総体としての女優力がはっきりわかってしまう。アップは残酷なんだよな。
なので例えば美しい長澤まさみの顔に意外とデコボコがあったりとかもわかる。でも、長澤も含めて女優四人はみんな及第点以上、アップでも美しかった。
最近の映画はハーフショットや役者の全身を映すショットが多用されていてアップ、アップでカット割する作品意外と少ない。そのへんも含めてこの映画は昭和の香りがぷんぷんする。そしてそれらがみな成功していると思った。
まあ個人的にはけっこう満足できる映画、久々の日本映画だったと思う。