山下洋輔トリオ

これもずいぶんと昔のようだけど、まだ半月も経っていないのではある。
7月19日に友人3人(全員50過ぎ)で日比谷の野音で行われた山下洋輔トリオの復活ライブにいってきた。
http://www.jamrice.co.jp/schedule/tix2009_40th/sch-090719_40th.htm
正直楽しかった。彼らのライブは学生時代に学園祭で聴いて以来だから、おそよ30年ぶりくらいである。ここでもまた思う。月日の経つことの早きことを。あの時のオールナイトのライブは忘れられん。山下洋輔あり、チャーをバックにした松葉杖で全編歌いまくったカルメン・マキあり。憂歌団あり、頭脳警察のパンタあり。
そして現在の山下洋輔トリオである。まず客層はどうみても平均年齢50以上じゃないかと思われるくらいである。みんなあたたかい眼差しをステージに送る。演奏する山下洋輔以下の面々。そのほとんどが還暦過ぎなのである。一番若い菊地成孔だけが40台(47歳)というメンバー構成だ。ほぼアラ還メンバーによるフリージャズである。
演奏は芸達者な面々揃いだから基本聴かせる。でも、フリーやるには体力面で見るからにしんどそうな感じである。だいたい2〜3曲に1回休憩が入っていたような印象だったかな。でも、それでもみんな聴衆も演者も嬉しそうだ。みんな記憶の中の山下洋輔トリオのフリー演奏と現在の彼らをオーバーラップさせているようなそんな印象をもつ。もちろん私もそうなのだが。
でもどこかで思う部分もある。フリージャズって、こうやってノスタルジックに愉しむような、こうゆうハートウォーミングな形で聴くものだったっけみたいな感覚。たぶん否といいたい部分もある。
とはいえもはやなんでもありな時代である。フリージャズも現在では様々にサンプリングされたりしている。最近のフリー系の潮流がどんなものかさっぱりわからないけど、たぶんなんでもあり的な状況なんじゃないのかなという気もしないでもない。だからオールドタイマーによる、ノスタルジックでハートウォーミングなフリージャズだって、別にかまわないとは思う。
願わくば、この日演奏したミュージシャンが、できればさらに長生きして、5年後、10年後にもこんな風な演奏をしてくれたらいいとさえ思う。でも、やっぱりフリーは命縮める恐れがあるんじゃないかなという気もしないでもなかった。なんか見てると森山威男なんかいかにもつらそうな感じがしたものな。
それとこの日は梅雨空満開みたいな感じだったのだが、雨にたたられることはなかった。それどころか野音の空にはなんと二重の虹がかかるという、なんとも奇跡のように美しい光景さえ現出した。これは一種の行幸ではないかとさえ思った。

あれ以来、フリーもきちんと押さえとかなくてはなどという気もさらさらないではないが、ときどき思い出したようにこんなアルバムを聴いてみたりもしている。現代におけるフリージャズの一潮流みたいな、そんな大それたものじゃないのだろうけど、なんかけっこう面白がってみたりもしている。
渋全