チェ28歳の革命

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]
アマゾンだとダブルパックにしかリンクできないけど観たのは「チェ28歳の革命」のほう。アメリカ人のソダーバーグ監督が比較的にキューバ革命に対して好意的に描いているなと思う部分もある。やや突き放したような描写をしている部分もある。全体としてはゲバラという人物像に対してあまり感情移入しないように、少しだけ距離を置いた演出みたいな感じか。
主人公に対するそういう意図的な距離感が効果的だったかどうか、そのへんが今ひとつ得心できない部分だ。なんとなく中途半端というか。だいたいにおいてゲバラなる人物がどうしてキューバの革命に身を投じることになったかもなんとなくはっきりしない。
同じようにゲバラと同様にカストロの人物像もきわめて曖昧。なぜなんだろう。やっぱり敵国だからか。客観的に描くイコール白黒を曖昧みたいな感じになってしまうのだろうか。
いずれにしろこの映画がアメリカ本国で興行的に成功するとはあまり思えない。それでも2本の映画を作ってしまえたのはひとえにソダーバーグがすでに巨匠になりつつあるからなんだろう。
あと主役のベニチオ・デル・トロ、よく似せているけど、28歳のゲバラを演じるには薹が立ち過ぎていないか。まあスクリーンプロセスとしてはなにも問題はないだろう。以前のハリウッドでは50過ぎのスターが大学生演じてもなにも問題はなかったんだし。でもこういうリアルかつセミドキュメントを標榜するような映画だと、やっぱり少しだけ鼻につく部分もある。
いやけっしてベニチオ・デル・トロの演技が悪いわけじゃない。いい役者さんだとは思う。でもリアルにキューバ革命を描くとしたら28歳の等身大のゲバラを演じられる役者の方が良かったんじゃないかな。誰といわれても困るけど、例えばすでにゲバラ役者といっても言いすぎではなさそうなガエル・ガルシア・ベルナルでもよかったんじゃないかなどとも思う。まだ観ていないけど「39歳」のほうはベニチオ・デル・トロで全然問題はないと思うけど。
でも「39歳」を私は観るかな。革命の負け戦を描いたものは心情的にはけっこう辛い部分があるな。30年近く経ってもいまだに「地下水道」をもう一度観ようと思わないように。