中東騒乱

なにか中東がとんでもないことになってきている。
「民主化」ドミノに中東緊張 失業など課題共通: 日本経済新聞
チュニジアに端を発した騒乱は、まずベン=アリー政権を崩壊させた。現在は中東で大国の一つにあげられるエジプトで連日反政府デモが繰り広げられ、ムバラク政権はその存続すらが危ぶまれている。
エジプト革命 (2011年) - Wikipedia
さらにそのムーブメントはイエメン、ヨルダンなどにも飛び火し、リビア、シリア、サウジアラビアなどにも予兆があるという。
この情勢をみていると、20数年前の東欧で次々と共産党一党独裁体制の社会主義国家が崩れていった東欧革命の連鎖を類推してみたりもする。
東欧革命 - Wikipedia
白雪姫と七人の小坊主達 中東ドミノの行方
当時の熱気と同様のものを今中東情勢に感じる。当時はテレビを中心にしたネットワークを通じて運動が伝播していった。現在それは双方向性に優れた情報発信が可能なインターネット通じて広がっていく。
現在、起きている中東での民衆蜂起の流れには、東欧革命のときと大きな共通点がいくらでもあげられる。一つは情報が伝播していくこと。どの国も長期にわたって独裁政権が続いている。経済的には失政が続いていて、市民生活が厳しい状況が続いている。失業は増大し、貧富の差も大きく、厳然たる格差社会が固定化し蔓延化してもいる。
市民の不満は大きく膨れ上がっており、それが一気に濁流のごとく流れ出そうとしている。ソ連支配下にあった東欧の共産政権はわずか1年の間に崩壊していった。今、20年の歳月が流れて、中東でもそれに近い現実が起きている。逆にいえば、かの地でこうしたムーブメントが起きるためには、20年の歳月が必要だったということなのだろう。市民革命がおきるためには、民意の成熟とか、もろもろが必要なのかもしれない。
まだまだ予断を許さない部分もある。エジプトもどうなるかどうか。ムバラクが破れかぶれで民衆に銃を向ける可能性もある。多くの血が流れるやもしれん。リビアやシリアはどうか、スーダンは。王族によって支配されるサウジはどうか。
中東での動乱は、石油という利権に直結しているため、世界経済に波及する部分も大きいだろう。さらにはアラブと対峙しているイスラエルの動き。市民の蜂起という民意の成熟とは逆行する部分で、イスラム過激派、原理主義者がイニシアチブを握ろうと、また民衆のエートスルサンチマンを収斂していく可能性も否定できない。
思うことは一つ、無血革命として推移していけばいいと。でもたぶんそうはならないだろう。中東での独裁国家市民社会にとって変わるためには、おそらく多くの血が流れる可能性が高い。フリー アラブ。ただただそう思うだけである。
しかし現代ではインターネットを通じて、情報はミニマムな部分を含めて瞬時に世界中に流れていく。中東でこうした事変が起きている以上、もう一つの文化圏においてもこのムーブメントが波及する可能性もでてくる。
そう、アジアでのことだ。北朝鮮ミャンマー、そして巨大国家、中国。どの国も長期独裁政権が続いている。社会主義を標榜する国家でありながら、貧富の差が増大している。近い将来にチャイナ フリーという叫びが、地球上の至る所から発信される時期もやってくるのかもしれない。