介護タクシー詐欺

介護タクシー不正 組員夫婦に懲役13年と8年判決
 生活保護を受けていた北海道滝川市の夫婦が2億円超の介護タクシー代金を不正受給したとされる事件で、市への詐欺罪に問われた暴力団組員片倉勝彦(42)、妻ひとみ(38)両被告の判決公判が25日、札幌地裁であった。井上豊裁判長は「市の生活保護予算を食い物にした未曽有の巨額公金詐欺だ」と述べ、覚せい剤取締法違反(使用)罪と合わせ、勝彦被告に懲役13年(求刑懲役15年)、ひとみ被告に同8年(同10年)を言い渡した。
 判決などによると、両被告は06年10月〜07年11月、札幌市の介護タクシー会社役員らと共謀し、滝川市から約85キロ離れた札幌の病院に通ったように装い、1往復で30万円前後、計約2億600万円のタクシー代金などを滝川市からだまし取った。勝彦被告はタクシー会社側に「病院に行ったことにして申請書類を出しておけばいい」などと持ちかけ、下りた金を分け合った。
 勝彦被告は「重い疾患がある」としていたが、実際には札幌の歓楽街・ススキノに頻繁に通ったり、水上バイクや海水浴といったレジャーに繰り出したりしていた。覚せい剤も購入し、愛人には別宅も用意。札幌市内に温泉プール付きの高級マンションを構え、ベンツのオープンカーなどを次々と購入していた。所属する旭川市山口組暴力団にも金を上納していた。
 妻のひとみ被告も、勝彦被告から「病院に行けば金がもらえる。お前も通え」と誘われ、同じ介護タクシー会社を使って不正受給を始めた。
 勝彦被告は捜査段階で、「病院に行くことが自分にとっての仕事だった」「市から出た福祉金を思う存分、酒と女に使った」「好きなウイスキーをたらふく飲んだ」などと供述したという。
 被告夫婦は公判で全面的に起訴事実を認めた。一方、弁護側は被告らに金を払い続けた滝川市の責任に言及し、「市の不相当な判断も事件の一因で、詐欺の発端と言える」と情状酌量を求めていた
(アサヒコム)

朝刊に載っていた記事だ。これだけの高額な金額を騙し取ったのだから、懲役13年は妥当な量刑だとは思う。それにしても一利用者に2億600万ものタクシー代が支払われるというのが、どうしても理解できない。請求が適切なプロセスに沿っていれば支払われるというのが滝川市の見解らしいけど、この被告見るからにヤーさんぽい容貌だったとか。見かけで判断はいけないだろうけど、少しは疑問を持てよという感じである。たぶんに窓口で凄まれることも多々あったのだろう。担当者としては、怖いし、請求プロセスに問題がなければ、すぐに受給したというところなんだろう。とにかく怖かったんでしょう。
しかし福祉である。基本は申請主義である。よく生活保護などは自治体窓口で瑕疵をチェック=難癖つけて、申請させずに追い返す水際作戦が横行しているという話も聞く。本来必要としている弱者には高ピーに追い返し、見るからに怖そうなヤーさんには、言われるままに支給するというそういうイメージがあるのだが、どうだろう。
これだけの公金がヤーさんの懐に入ったわけだ。「酒や女につかった」他にも聞けばベンツまで買って乗り回していたらしいではないか。それでいてこのヤーさん、法廷では酸素マスクして、見るからに障害者装っていたという。これも弁護士さんの作戦だとしたら笑えますな。この公金戻す手だてはないのだろうか。調べてみると、一応滝川市民事訴訟もおこしているのだとか。当然といえば当然ですね。
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 ヤーさんとタクシー会社に民事訴訟ということらしい。でも市民からすると滝川市の行政責任も問いたくなるところだな。騙し取られた金は税金なわけですからね。滝川市にしても税金=人の金だから、あんまり痛みもなしに支払っていたんじゃないのと思いたくもなるところです。どうしてヤーさんにこれほどのタクシー代金を払い続けたのか、行政に責任はないのか、このヤーさんの診断書を書いた医者の責任は、なんかそのへんの疑問点をこの方なんかも提起されているようです。
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ただ一つ気になるのはこういう事件があると、本来支給されるべき人々へも疑惑の眼差しが向けられたりとか、申請を回避させる水際作戦がさらに大手をふって行われる危険性があるということですね。生活保護セーフティネットの基本だから。これを水際で回避されたら、もろに生存の問題になってくると思う。
身障者が本来必要としているサービスを受給することにも肩身の狭いを思いをするようなことがあれば、やっぱり問題だと思う。うちなんかも妻は一種一級だけど、サービスは介護保険で週一のヘルパーとか週二のデイケアだけ。まあ恩恵といえば、基礎年金、駐禁除外とか美術館とかの施設の割引とか、まあその手のもろもろだ。それでもごくごく一部の不正利用から障害者の受給するサービス等を規制したりするような意見が幅広げるとなると、けっこうつらい部分あるなと思う。
なりたくてなった障害者なんて、たぶんどこにもいない。もし障害者にならなければ、自立した個人として生きていくことができた。妻にしても、普通に仕事を持ち、そこそこの収入もあり、母親としても妻としても普通に生活していた。なによりも自由に行動できる肢体があった。それが車椅子であり、装具と杖での短い移動だけというきわめて制限された体になってしまった。病気のため制限を余儀無くされた判断力や思考。
なんのサービスもいらない、元の自由な肢体と頭脳を戻してください。それが妻の本心であり、家族の気持ちだ。不自由な身体で不自由な生活をせざるを得ない状況の中で、ささやかな公的サービスを享受することは当然と思いたい。障害者の不正受給みたいな事件があるたびに、支給制限論が幅きかせたり、またぞろ自己責任論みたいなことがでてくるのもしんどいなと思う。
そういうことを考えつつも、今回の介護タクシー詐欺事件の2億600万は、やっぱり異常な金額、異常な事件だとは思うよ。