居酒屋タクシー問題

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32425920080625
なんとも腹立たしい事件というか、なんというか。しかし問題の本質はどこにあるのだろう。霞ヶ関の国家公務員のハードワークが問題なんだろうか。確かにタクシーで帰るために省内でだらだら仕事をしているとか、実は酒飲んでいたとかのひそひそ話もないではない。でも多くの役人さんは勤勉に仕事をされているようだ。
タクシー券を便宜的に二ヶ月(永久にじゃなくて二ヶ月というところがミソですね)禁止した国交省の模様を報じた読売の記事とか読むと悲喜こもごもっていう感じですかな。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080624-OYT1T00430.htm?from=navr
でも思うのだけど、そうそう毎日午前様になるまで仕事をしていて大丈夫なのだろうか、そもそもなぜそれほどの仕事があるのだろうかということ。例えば国会対策のため、野党議員の質問趣意書とかへの回答を用意するため残業になるというのも一つの例なのだろうとは思う。公務員の方のブログとかを見るとそのへんのことが書かれていたりもするようです。けっこう本音的には、なんでこんなくだらない質問のために残業させられてみたいなことってあるでしょうね。
ノンキャリ国家公務員の実生活 道路特定財源でタクシー帰り 1人で年190回500万
でもね、これは実はしょうがないことなんだと思います。なんでか、民主主義だから。立法府は行政府に対してチェックいれるため、ためになることも、くだらないことも質問するわけです。とにかく立法府がノーチェックだったら行政府はある意味やりたい放題でしょう。全てがそうだとはいわないけど、それこそ立案〜計画から数十年経過して、実態に合わないことでも予算つぎ込むみたいなことってあるでしょう。ダムとかでも治水目的がいつのまにか農業目的になったりとか、まあそういうことだってあるわけだし。
しかし公務員のハードワークはやっぱり問題は問題ですね。たとえば8時まで残業して、それ以降午前様になるのはすべてサービス残業っていう話らしいです。体よく続きますね。このハードワークが霞ヶ関の官僚さんの一部の問題ではなく、きわめて一般的なことだとしたらですが、かなりの過労死とか労災適用者が出ているのではと想定します。
それこそタクシーチケット利用が一番多い財務省に勤務されているお役人さんは、毎年一割くらいが過労死で亡くなっているんじゃないでしょうか。毎日、毎日午前様だったら、そうなると思いますがどうなんでしょうか。じゃなければ、相当タフな方揃いなのだろうか。
私も昔々、けっこうタクシー使っていたことがありました。35歳前後の頃でしたけど、かなりハードワークで、週に一回は会社泊まり。明け方、社長室のソファで仮眠とったら、そのまま8時過ぎに社長に起こされたこともあったっけ。後はたいてい11時過ぎまで会社にいる。で、よせばいいのにそれから飲みにいくこともあったりして、やっぱり明け方サウナで仮眠とか。週に2回くらいはタクシーで帰宅しました。2時〜3時。会社のあった渋谷近辺から横浜まで。当時でも1万5千はくだらなかったかな。もちろん自腹でした。
当時は、若いのに営業関係の責任者とかやっていて、日中はたいてい外回りしていて、所謂営業やら関係団体との打ち合わせやら会議やら。帰社してからまた会議やって、それから上にあげる資料作りとか、翌日の打ち合わせ用の資料とか作ったり。まあ体がいくらあっても足りないくらい仕事がありました。けっこう稼ぎもよかったから、自腹で酒もよく飲んだし、タクシー代とかも苦にならなかった。でもね、一年も続けるとけっこう体ガタきましたよ。結局しんどいのと、上とのもろもろでその会社辞めちゃいましたけどね。
でもね、いくらハードワークでもねやっぱり節度は必要なのだと思いますよ。深夜まで仕事がある、やらざるを得ない、だからタクシー乗り放題は当然とは、実はいかないのではと思うわけです。民間だって経費ですから、利益でなければコストは削られます。領収書きりまくっても、「おいおい、それはお前の金か」ということになるわけです。まあ、企業の場合は、株主様のものっていうことになるのかな。同じようにお役人さんも、いくら仕事だからって、経費つかい放題っていうことはならないはずだと思います。
こういう正論もありますよね。
http://profile.allabout.co.jp/pf/kan/column/detail/33143
タクシーチケットはやっぱり全廃でしょう。基本は立替払いか自腹。領収書を上司にあげて決済を経るというプロセスが必要だと思います。それと基本的には総て申請主義です。今日は国会対策で深夜まで残業が必要だとしたら、きちんと申請書を上司に提出するんです。それで上司の決済をもらえばサービス残業にはなりません。さらにいえば、事前に上司の了承を得ていれば、深夜帰宅もタクシーOKになるということにすればいいんです。なんでそうするか、水際作戦で敷居を高くしておけば、領収書もらっていても請求できないで泣き寝入りとか、端からめんどくさくて申請を諦めるとか、そういうのを期待しているのです。そう、福祉とかで自治体窓口での水際で申請を回避させるのと同じことです。皆さん意図しているかどうかわからないけど、基本的にこの申請主義というのはそうやって支給を制限させている部分もあるのです。上司だってさらに上から締め付けられているから、使える経費も当然予算化されているから、まああんまりいい顔しないし、人によっては露骨に領収書つっかえすとかもあるでしょう。
そういうことを回避するために、タクシーチケット代とかはあまり予算管理がきっちりしていない特別会計からみたいなことになっているということも今回の事件報道で知らされたりもしました。
今の仕事の現状からかけ離れているかもしれません。でも、民間企業だって基本は、立替払いで領収書と出金伝票でせっせと総務経理に頭下げてお金もらっているのです。先に仮払いしていても、きっちり一円単位で金額合わせるのですよ。ましては公務員のみなさんは大事な税金を預かっているのですから、そういうことが必要なのではないかと考えるわけです。
こういう事件が報じられると一部の居酒屋タクシー利用組のために、真面目かつ勤勉な大多数の公務員の皆さんが悪し様にいわれるわけで、けっこうしんどい部分もあるのだろうとは思う。そして今の財政状況から様々な負担が国民に課せられていくことになるのだろうけど、それに対して公務員はどうなんだ、国民には負担を強いておきながら自分たちはやりたい放題みたいな、針小棒大な物言いがどんどん高まっていくのもあまり良い兆候だとは思いません。
しかしもし私が与党の幹部だったら、あるいは財務省のトップだったら、今回の居酒屋タクシー事件せいぜい利用しますけどね。たとえばね、今回財務省の職員で金品受領したのは約600人いるとか。こいつらを全員懲戒免職にしちゃうんです。もちろん退職金払わない。綱紀粛正のため泣いて馬食をきるのですよ。それでここまで我々もやりました。襟を正しました。ついては消費税を10%に、未来の国家のために、子どもたちのために、国民の皆さんにあえて負担をお願いしますと。政治家だったら、目的のために手段選ばずですよね。首切られる財務省の職員だって、国家財政のために犠牲になるのだから、本望というものではないでしょうか。