妻、焼売を作る


これは何だ。妻が下ごしらえをしたばかりの焼売である。一昨日、私が自室にいた時に台所で一人でこつこつやっていた。デイケアのPTの先生に、片麻痺でも作れる焼売のレシピをコピーしてもらい、家で作ることを勧められたのだとか。
今月から生活援助の延長上で、毎週金曜日に買い物、散歩をするという名目でヘルパーさんの時間を一時間延長してもらった。それで金曜日に材料を買い集めていたようだ。生の殻に入ったホタテも買ってきたりしていた。
キャベツを刻み、ひき肉を練り、ホタテを殻から出してこれも刻む。なんでも午前中いっぱい下ごしらえに時間をかけたようだ。結局、手早くやらなければならない下ごしらえに思いのほか時間がかかったため、蒸し終わった時には水っぽいちょっと失敗作の焼売になってしまった。それでも夕食の時に家族三人で食べた。味も厳密にいえば失敗。でもまあまあ食べれるものだった。
しかし焼売なんて健常な時にも妻は作ったことなどなかった。私はというと、焼売、餃子系は一切やらない。多分その気になればそこそこやれるとは思うのだが、ああいう下ごしらえに手間がかかるものは体質的にあいそうもない。
そういう面倒な焼売を片麻痺の妻がとにもかくにも作ったのだから、軽い感動ものだとは思う。片手で材料を細かく刻んだりするのは、大変なことだろう。なかなか思うようにはいかないだろうし、注意障害があるから出来るだけ目に見える範囲(注意が届く範囲)に材料を集めておかないと、入れ忘れたりとかもありそうだ。そんな高いハードルをとにもかくにも妻は越えて見せたわけだ。
なんかこういう妻のある種の回復というか、日常回帰を見ていると、なんとなくだけど、妻の職場復帰とかも多少なりとも現実性を帯びてくるのかなとも思う。現時点では、本人にはあまりその気もないようだし、会社も受け入れてくれるかどうかもわからない。さらにいえば、都内の会社までの通勤を毎日行えるかどうかというと、疑問符の要素が大きすぎる。家から最寄駅まではだいたい徒歩で15分見当。それから電車を乗り継いで都内の会社までというのは、ちょっとどうかなというところだろう。でも、それなりの妻の回復度を見ていると、なんとなくそういう可能性もありそうな気もしてしまう。
県立リハビリテーションセンター(県リハ)で行われている職業訓練等に妻を参加させるということも少し現実性の問題として考えてみようかとも思う。専門家(OT)がついて料理や洗濯など家事全般についての訓練をすることで、片麻痺でもきちんと作業が行えるようになる可能性もあるわけなのだから。