妻エスカレーターに乗る

今日は妻はデイがない日。ほぼ日課になりつつある駅までの散歩を午前中に行ったとか。まあ、これからどんどん暑くなってくるから、午前中の方がいいのだろうとは思う。今日は駅に着いてから初めて一人でエスカレーターに乗ったのだそうだ。最初は逡巡して中々乗れなかったが、なんとか乗れたという。
エスカレーターで上まで行ってからは、今度は階段をゆっくりと下りてきたと妻は説明してくれた。エスカレーターに乗ってすぐ、後ろから年配の婦人に「大丈夫?」と声をかけられたという。駅までの散歩を繰り返していると、何度もいろいろな方に声をかけられるという。バリアだらけの街にも小さな善意がたくさんある、それも世の中なのだと思う。とても有り難い話だ。
エスカレーターを一人で乗り降りするのは片麻痺の妻にとっては、ある意味危険なことなのかもしれない。でも、うまく乗り降りできるようになればそれにこしたことはないと思う。普通に電車に乗って移動するためにはこれはクリアすべき必須な要件の一つでもあるわけなのだから。多分今妻が行っている訓練は、子どもがクリアしてきたものと同じ過程なのかもしれないなと思うことがある。小さな子どもは親に手を繋がれて、なんとかエスカレーターを乗り降りしている。でも、一人では中々乗ることができない。でも、ある日突然なんとか一人で乗ることができるようになる。すると、それはもう普通のことになってしまう。
妻の場合、普通になるにはそこそこの時間が必要になるのだろうとは思う。でもこうした訓練はこれからの彼女の生活の幅は広げていくためにも絶対に必要なことなんではないかと思う。