訃報がいっぱい

ロバート・ワイズ死去、91歳。
 映画人としては長生き。巨匠といわれるけど結局のところ、この人は「ウェスト・サイド・ストーリー」と「サウンド・オブ・ニュージック」の二本だけのような気もするな。両方とも大好きな映画ではあるが、ミュージカルにドラマ性、社会性を取り入れて、ミュージカルの地平を広げたわけだけど、かえってミュージカル本来の明るさ、楽しさを喪わせる要因にもなった。
 しかし、フィルモグラフィーをつらつら眺めていると、ほんとこの二本だけ。あとは佳作っぽいものばかりやな。しいていえば「砲艦サンパブロ」くらいか。なんかスティーブ・マックウィーンがドアップのポスターが印象的な映画だったな。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0915/003.html
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=1937

中内功死去、83歳。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20050919i111.htm
 いわずと知れたダイエー創業者。小さな薬局から起業して流通革命を起こし、最盛期にはグループ五兆円を越す売上高を誇る巨大企業を作り上げたけど、バブル期に失速。ダイエーはほぼ経営破綻して経済再生機構の支援を受けるまでに。まあ一代でこれだけのことを成し遂げ、すべてを喪うという生き様はなんというかすごいね。まさに一回生を生き抜いたということでしょう。

後藤田正晴死去、91歳
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20050921NT000Y42821092005.html
 毀誉褒貶甚だしい政治家だったが、晩年はなんとなく護憲派みたいなことになってしまった。私的には内務官僚あがり、警察庁長官から田中角栄の懐刀になったという印象が一番強い。そしてカミソリともいわれたようにとにかく切れる、図抜けて頭の良い男だったんでしょうね。
 湾岸戦争の時にアメリカの圧力にも屈っしなかったあたりは、気骨のある官僚ということだったのだろうか。とにかく筋は通っていたよね。法治国家の官僚の長としては。そういえば連赤事件の時の警察庁長官だよな。佐々淳行の「連合赤軍あさま山荘』事件」にもこの人のエピソードが出てくる。佐々に「ちょっと軽井沢いって指揮とってこいや」と命じるのがこの人。なんとも横紙破りな描き方されているけど、人身掌握、危機管理にたけたこの人らしさが出ていたようにも思う。