鳥羽水族館とか (5月13日)

 ず~っと雨模様なのである。

 伊藤小坡美術館の後、どこへ行くか。早々に宿に戻るというのも自分的には無問題。のんびり温泉つかってダラダラ。そういう旅行を実はしたことがない。貧乏性で観光地へ行ったらとにかくいろいろと見なくてもったいないと。さすがに年いってくるとあんまりそういう部分ないけど、妻はというとやはりいろいろ見たい、あれが食べたいということになる。

 雨でも大丈夫な観光施設というと、このへんで普通に思い浮かべるのは鳥羽水族館ということになる。ここも通算で5回くらい行っているはず。水族館としては割と質の高いところで、ジュゴン、セイウチ、スナメリなどあまり他では見られない海獣系も充実している。ということで伊勢から鳥羽へ車をとばす。といっても30分かそこらで着いてしまうが。

 昼過ぎくらいで昼食をとりたい、出来ればこのへんの名物をという妻のリクエストで、ちょこちょこと検索をかける。鳥羽水族館の中のレストランやフードコートだと食べるものは限定されてしまう。水族館周辺で手ごろなところはと。

 ざっと見学すると、水族館に隣接した商業施設の中に食堂らしきものがある。TOBAパールタウンという真珠のアクセサリー店が何店も入っているところの二階が食堂があるらしい。

 車を水族館の駐車場に止めてから、一度水族館を出て隣のTOBAパールタウンまで車椅子を押していく。水族館に車止めて外へ出るというのはもろもろ道義的にも良くないと思いつつも、まあ小一時間食事するだけだからと自分に言い聞かせる。

 雨は小ぶりながら振っている。妻に傘を持たせ、自分は濡れながらTOBAタウンを目指す。徒歩でだいたい2分くらいだろうか。着いてしばらすると雨がちょっと強くなったので、自分だけ一度車まで戻って雨合羽代わりになるアノラックを取ってくる。なにやってるんだかと思う部分もあるけど、車椅子を押しているとこういう無駄な動きというか、非効率なことはよくあること。

 ウィークデイということもあるけどTOBAパールタウン自体があんまり活気がない。アクセサリー店も数店は店閉めてるみたいだし、2階の食堂も検索でヒットしたところだけが開いているだけ。

【むらやま】鳥羽水族館のすぐ近く!パールタウン2階の食事処でてこね寿司を食べよう【ランチ】 | ミエゴチ

 ハーフの手こね寿司と伊勢うどんのセットが1100円と観光地にしてはお手頃価格。このお店は多分、夫婦でやっているのだろうか、奥さん風のホール担当と中で料理作るダンナさん風。奥さん風店員さんが腰が低くて、愛想も良くなんとなくそれだけで心地よくなる。とりあえずセットは完食。妻にはちょっと量が多いみたいでうどんの方は少し残したみたい。

 

 それからまた小雨降る中車椅子押して水族館に戻る。水族館ではなんとなく妻と自分の興味を示す対象が違うみたいで、最初は別行動をとることにする。

 まず自分がなんとなくぼーっと見ていたのはというとこういう連中。なんかとても他人のように思えない風情が。

 その後は、屋外(屋根のある)スペースでお触りタイム。この屋外スペースはセイウチの行進ショーが楽しめるのだが、今回は時間が合わなかった。お触りコーナーは水生動物と触れ合えるところ。多分こういうのを始めたのは鳥羽水族館が最初だったのじゃないかと思う。初めてきたときにもナマコやら鮫-多分無害なネコザメとかにも触ることができたのではないか。その後、こういうお触りコーナー、もとい触れ合いコーナーはあちこちでも出来て、江ノ島の水族館なんかでもあるようだ。

 鳥羽水族館の場合、もうずいぶん前からネコザメはいないようで、今回も水槽にいる魚は平目だか鰈だか。あとはタコがけっこう沢山いた。なのでジイさんは子どもたちにまざってタコと戯れていたりした。前にも書いたかもしれないが、基本海生生物好きである。子どもの頃は、よく海に行っては一日中遊んでいたもんだ。特に好きなのが岩場の潮だまりとか。もうああいうところにいると、ずっと遊んでいたな。

 小学生の頃は魚貝図鑑が大好きで、ある時期は毎日開いて眺めていた。魚や磯の生き物にはけっこう知識豊富だった。そういうのもあって昭和天皇には妙な親近感があったりもする。あの人はまあ戦争責任だのなんのと諸々あるにしても、なんといってもウミウシに関してはけっこう権威だったりする人だったから。岩波から出ていた『相模湾産後鰓類図譜』の現物を見た時はちょっとした感動ものだった。まあ中身は純然たる専門書なんだけど。

 まあ還暦過ぎたジイさんがお触りコーナー(触れ合い)に長時間いるのも、けっこう怪しい光景ではあるので、後ろ髪ひかれる思いで後にする。とはいえけっこうな時間、タコと戯れていたような気がする。あとは紋甲イカとかクラゲの水槽でぼーっと時間潰していた。

 なんていうんだろう、生まれ変わったらこのへんかなとか適当に思ったりして。ぼーっと泳いでいて、きっと何かに食べらちゃう、でもそれも「アレ」みたいな感じで終わっちゃう。そういう人生というか人じゃないから〇生か。

 

 その後は妻と合流してアシカショー見たり、一緒に車椅子を押して妻が見ていないところを回ったり。結局閉館間際でいたのだから、なんだかんだいっても大人二人、けっこう楽しめちゃう水族館ではあるわけだ。ウィークデイだったけど、遠足だかなんだかの小学生や中学生の集団も多数いたし、若い高校生だか大学生くらいのカップルも多かったし、そういうのを見ているとコロナの感染者が一日3万、4万でていても、日常は戻ってきているんだなとは思った。鳥羽水族館も去年の6月に来ているので、そのときの雰囲気からするともう全然違うような雰囲気だ。ウィズ・コロナっていうことだ。

 まあそれはそれとして、魚ってけっこうド正面からみると、なんとも奇妙で滑稽ではあるなとつくづく思ったりもした。こんなんありかという感じである。