台風狂想曲

 大型の台風19号が去っていった。雨台風でおおよそ半端ない雨量だったので広範囲に大きな被害があった。今回の台風は日本近海の海水の上昇ということもあり、発達を続けながら近づいてきた。当初、九州から四国付近を襲うとみられていたが、じょじょに東寄りにコースを変え、最終的には首都圏直撃という最悪のルートをとった。

 この台風にヤバイと感じたのはtwitterからの情報だった。フォローしている気象学者や天気予報士から危機感をもったツィートが多数寄せられていた。このへんがテレビや新聞などの情報に頼る以前とは異なるところかもしれない。専門家が個々に独自の視点から情報を発信する。あとはリテラシーの問題だ。

 さらにいえば最近は権力とマスコミが結託し、政権の都合のよいように情報が操作されていような節もある。そうなると災害でさえも過小化されたり、過大化されたりということもある。そういう部分では SNSによる玉石混じり合った情報から何を取捨選択するかということになる。

 自分がこの台風への危機意識を覚えたのはこのへんのツィートからだった。

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 台風の規模が千葉県に大きな被害を及ぼした台風15号の数倍あるという、それは天気図や気象衛星からの映像で明らかだ。さらに日本列島に近づくぎりぎりまで勢力が拡大していること、そして何よりその最大風速が50キロ超と予想されるという。これには相当にビビる部分があった。そして普段ほとんどしない台風への備えを最低限してみようということになった。

 台風の来る前日までに二階の雨戸のない窓にはすべて飛散防止のために養生テープを貼った。子どももtwitter 等の情報で神経質になっていたようで、養生テープだけでなくダンボールを貼ることを主張していた。なので子どもの部屋はダンボール張り、後は養生テープで米の字を作った。

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 さらに11日の日は午後から都内で打ち合わせがあったので、朝9時前に最寄りのホームセンターに出かけてみた。前日までに2階の窓に貼るために使った養生テープ2本を全部使い切ってしまい、貼り残した窓があったので追加した方がいいと思った。ホームセンターは開店を早めたみたいで9時前だというのに人でごった返していた。帰る時には店舗に通じる道路は大渋滞となっていたし、後で聞くと駐車場に車を止めるのにも待つくらいだったという。

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 店内では養生テープが飛ぶように売れている。すでに着いた時にはブルーシートと簡易ガスボンベは売り切れだったとも。みんな報道され始めた今回の台風のヤバさに慌てて対応しようということのようだった。

 前日の10日もガソリンスタンドには給油待ちの車が列を成していたし、スーパーの食品売り場は空になるような状態だった。11日に打ち合わせも早々にまっしぐらで最寄駅に帰ってきて、駅前のスーパーによると本当に食材が空っぽ状態で、納豆や豆腐も売り切れの状態だった。

 そして台風本番の12日は本当に1日中激しい雨が降り続けた。ニュースでも山間部の雨量が記録的ということが盛んに報道されていた。箱根では1日の降雨量が1000ミリを超えると伝えられた。

 とりあえず日中には非常食用にと久々にスパムおにぎりなんかを作ってみた。それを見越して朝は5合飯を炊いておいた。しかしスパムおにぎりなど作るのは何年ぶりのことだろう。

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 夜半にようやく関東に上陸したが、その後は一気に通り抜けたような感じで、ひどい風も数時間足らずという印象だった。このへんだけは少し拍子抜けというところだった。ニュースでは広範囲に物凄い雨が降ったことで川の氾濫が少しずつ伝えられ始めた。埼玉でも入間川水系の都幾川、越辺川、小畔川、新河岸川で越水や氾濫が伝えられた。相模川多摩川もとんでもない水量で越水は時間の問題というところまできているような状況だった。

 これは多分たいへんな被害になる。明るくなった時にはじょじょに被害の状況が伝わり始めるに違いないと思った。それは気象予報士たちの警告のとおりだった。

 ただし、これほど大きな台風が来ることがわかり、気象学者、気象予報士が警鐘を鳴らしているのに、政府、行政の対応がえらく遅いようにも思った。これほど巨大な台風の上陸である。総理大臣を筆頭に関係閣僚が官邸危機管理センターに詰めていてもいいのではないかと思った。例の防災服を着て、官房長官が記者会見を行うという、あの3.11の時のような対応があってもよかったのではないかと今更に思っている。

 この内閣は危機管理がなっていない。かって民主党原発震災の対応を批判し尽くすことで政権を奪還した自民党政権なのにである。SNSでは民主党が災害対応に真剣に取り組んだことで多くの批判を浴びたことを教訓に、災害には真剣に取り組まない方が批判されにくいと逆に学んだのではないかと揶揄される論調も出ていた。

 しかし個人的には、今回ほとんど生まれて初めてのような台風の事前対応をした。今回はほとんどことなきをえたけれど、今回の準備対応とかはひょっとしたら次回にいかされるかもしれない。うちには車椅子の障害者がいる。災害時には一般家庭よりも機敏に、いち早く動かないとたいへんなことになる。それを思うと、もっと真剣に災害対策とすることが必要なのかもしれないと思った次第だ。