訃報二つ

 サム・シェパードがなくなった。
脚本家、俳優のサム・シェパードさん死去 : 映画ニュース - 映画.com
 脚本家としても有名だったというが、その辺はあまりよく知らない。随分後になってから、アントニオーニの「砂丘」の脚本を書いたということ知ったくらいだ。自分にとっては一にも二にも「ライト・スタッフ」の伝説のテストパイロット、チャック・イェーガー役だ。タフでマッチョで寡黙な、そして何よりストイックなパイロット、世界中の飛行機乗りの頂点に位置したテストパイロット、チャック・イェーガーを好演した。本当にかっこ良い男だった。
 「ライト・スタッフ」は自分の操縦術を駆使して危機を乗り越え、音速の壁に挑んだ古風なテストパイロットと、彼らがモルモット、チンパンジーと揶揄した宇宙飛行士との比較を通し、テストパイロットたちが滅びゆく人種であり、時代の潮流が、パイロットたちの頂点が、宇宙飛行士へと移っていく様を描いた物語だ。トム・ウルフの描いたニュー・ジャーナリズムの傑作だ。映画はほぼ原作に忠実で、イェーガーのヒーローぶりもシェパードの好演もあって印象的だった。
 ラスト・シーン、墜落事故から奇跡的に帰還するイェーガーが遠くから歩いてくるシーン(記憶曖昧)と覚えている。本当にカッコのよい、いい役者だったよ。

 そしてジャンヌ・モローも亡くなった。89歳だという。
ジャンヌ・モローさん死去 89歳 フランスの大女優: J-CAST ニュース
 ある意味大往生かもしれない。有名な「死刑台のエレベーター」が1957年、自分が1歳かそこらの頃だ。映画を見始めた頃にはすでに大女優かつなんとなく姉御という感じで、もう貫禄十分な印象が強い。トリュフォーの映画での印象が強いのと、割とトリュフォー映画の中では失敗作扱いされるのだが「黒衣の花嫁」がけっこう気に入っていたりもする。
 他ではリー・マーヴィンジャック・パランスと共演した異色西部劇「モンテ・ウォルシュ」やブリジット・バルドーと共演した「ビバ・マリア」なんかも割とよく覚えている。こっちも体裁は西部劇だったか。なんとなくこの二本の印象からか鉄火場女みたいなイメージがない訳でもない。
 とはいえこの人の代表作はといえば、やっぱり「死刑台のエレベーター」ということになるんだろうな。映画少年だった自分などは、アンニュイとか大人の女の色気みたいなものをスクリーンのこの人から学んだような気もする。
 ご冥福を祈ります。