還暦の迎えた日

 還暦を迎えた。朝一番で、自分とポール・マッカートニーに「おめでとう」という。いや、特に感慨もなくめでたくも実はない。朝、最初に始めたのは電子機器への充電。とりあえずNEXUS7、iPod、トランスミッター、ワイヤレスイヤホン。日によってはこれにKINDLEとノートPCも加わる。還暦迎えてもテクノロジー万歳である。

 その後は、友人とランチの約束をしている妻を大宮まで送っていく。片麻痺の妻に付き合ってくれるその方に感謝の気持ちも少し。体が不自由でもそうやって外出を楽しめる妻に少しだけ安心している自分がいる。いつまでこういうことが出来るか、先のことはわからない。45で障害者となって10年、左上肢、下肢機能全廃という重い病気になっても、ある意味若さと体力でなんとか短い距離を歩いたりできている。でも次の10年を迎えるときに今維持できている機能、体力がそのままとは限らないだろうとも思う。その時自分は生きていれば70歳、彼女を支え続けることができるのか。先のことはわからないことだが、不安といえば不安ではある。
 帰り、車の中ではずっとマリア・カラスを聴いていた。還暦の日に聴くマリア・カラスか。

ザ・ベスト・オブ・マリア・カラス

ザ・ベスト・オブ・マリア・カラス

 個人的には20世紀の歌姫は、マリア・カラスエラ・フィッツジェラルドかなとも思う。もっともこの辺その都度コロコロと変わる。今だってディオンヌ・ワーウィックもいいかもと思ったり、同時代的にはカレン・カーペンターは外せないとか、ジュリー・アンドリュースはとか、まあいろいろだ。
 しかしマリア・カラスくらい美貌で歌も天下一品という、ある意味天は二物を与えたもうたという人も少ないのだろうと思う。若い頃の彼女は本当に美しかった。あのくらい美しく、さら神の声をも持っていれば、少々性格とか性癖に難があっても問題ないだろうとも思う。なぜ海運王アリストテレス・オナシスが、マリア・カラスからジャクリーン・ケネディに乗り換えたのか不思議としかいいようがない。まあどうでもいいことなのだが。
 地元に戻ってからは坂戸のサイクル・アサヒに先日、ヤフオクで落としたクロスバイクもどきを調整のため持ち込んだ。タイヤ外して送られたきたのを一応組み上げたのだが、乗ることを考えるとやや不安もあり、一応お店で調整もしたほうがいいだろうと思ったからである。購入したのはルイガノTR2という街乗り、普段乗りに思い切りふった感のあるクロスバイク。一般的にはシティ・コミューターとかいうらしい。まあ自分で自分に施す誕生日プレゼントみたいなものだな。

 その後は自転車の初乗り。鶴ヶ島の図書館から上広谷方向に向かい、それから聖天宮付近まで行ったところで、妻から電話があり急遽家に戻ることにした。そう迎えに行かなくてはならないから。しかし久々の自転車は心地よかった。さすがクロスバイクもどきは7段変速ながら軽くて速い。まあクロスバイクならジャイアントからみたいなのが通説らしいのだが、還暦のジイさんにはこのへんで十分かもしれないとも思った。これからは時間が許せばということになるのだが、出来るだけ自転車に乗れたらいいとは思った。まあそういうなんでもない還暦を迎えた日だったか。
中学生の頃は毎週50キロくらいの遠乗りしてた。父親が同僚にその話したら、子どもは競輪の選手にするのかと言われたとかなんとか。40年以上も前の話だが。