脱原発デモ

昨日も国会前への抗議デモに参加した。先週はちょっと理由をつけて、時間内にあがったが、今日は普通に仕事を終えてからだったので、職場を出たのは6時過ぎだったか。夏枯れで閑散としているので早目に上がれたのだが、普通だとこうはいくまい。それから都内に向かうとなるとやはり時間はかかる。現地に着いたのは7時半近くになっていたか。8時までということなので収束に向かう頃でもある。わずかな時間ではややもすれば徒労かなとも思うが、とにかく誰かの強制でもなく、自分の意思のみで、無理せず、行ける時に行くというユルメかつ、なんとか自分の意思、意見表明の一環としての行動みたいなことで、続けていくだけのこと。
ただね柄にもなくこの国への愛着、大人として子どもたちや未来への責任として、やっぱり原発はやばい、なくしていくという方向に変えていかなくてはあかんという思いだけは、どうにもゆるがせにできんという考えだ。この国のエスタブリッシュメントたちからすれば、原発撤廃はGDPの減少につながるとか、現実的ではないとか、まあ最もらしい話が出ている。しかし福1の現実をみたときに、原発を維持することの正当性、妥当性があるのかという思いがる。現実は常に多面的に見る必要がること、所与の現実を受け入れるだけでなく、それは変わりえるものとして考えるべきだというようなことを、かって丸山真男の著作で読んだことがあったようにも思うが、まさしくそういうことだと思う。
原発を再稼動させないと電力が不足する、国内総生産に影響する、企業は海外に生産を移す、雇用が失われるうんぬん・・・・。しかし深刻な原発事故が起きた場合に失われる国富についてはどうなのか。国土が人も住めない状況になる。多くの人が被曝する。その将来的な影響はどうか。
公聴会だかなんだかで、電力会社の社員が、原発事故の影響(放射能被曝のことをいっているのか)で死んだ人はいないと言い放ったとかいう。おそらくその口からは、内部被曝等による将来的な影響については、因果関係の科学的立証ができないので、それは考えられないとかそういう詭弁が繰り返されるだけなんだろう。
原発周辺の地域は津波で大きな被災を受けた場所でもある。そこで怪我をしたり、自宅や車の中に取り残され救助を待ちながら死んでいった方々が多数いるという話を聞いたことがある。放射能汚染を恐れて警察や自衛隊すら救助に迎えなかった地域が多数があったという。聞けば海沿いのそうした場所は実は比較的低線量の汚染だけだったのにということだ。
電力会社の社員からすると、それら見殺しにされた人々は直接的な原発事故の被害者ではないということになるのかもしれん。
地震が多発する日本で放射性廃棄物を地中保管するのは、中華の回転テーブルの上に放射性廃棄物が入った容器を置いたようなものであるとは、映画「100000年後の安全」の中で語られていたことだったか。そうした事実に目を塞ぎ、経済的な便宜性だけで原発の意義を唱えるのはモラルに反することだと私は思う。福島の現実は、原発のある地域に明日起こりえるのである。国を愛し、国の未来とそれを担う子どもたちのことを考えれば、今、脱原発にシフトしなくては取り返しがつかないことになるのではないか、そう思うとどうにもいてもたってもいられない気分でもある。
たぶんこれからも抗議デモには出来る限り参加したいとは思う。とはいえ自分の人生すべてをかけてなどとはさらさら思っているわけでもない。あくまで出来る限りである。あくませ生活が一番大事であり、まずは金稼いで家族を養う。仕事についていえば、従業員の生活のことを考えていかなくちゃなるまい。社会への関心はその次ではある。あくまでやれる範囲で、個人の責任においてということだ。
国会前の人手は日曜日や前回に比べれば、少なめである。とはいえ警察発表の4千人はいくらなんでも過小だとは思う。武道館フルくらいは優にいたとは思う。今回は例の原子力規制委員会人事への抗議ということで国会前での抗議行動の後に環境省前に集って抗議行動を行った。私も流れで参加してみたが、こっちもえらい熱のこもった抗議行動で、予定の9時を1時間近く越えるほどだった。
これまでは官邸前、国会前だけだったので、警察の警備もある部分やりやすかったようだが、経産省前とか今回のように環境省前と分散化していくようだと、警備もより動員が必要になるだろう。暴発的な形の事故とかも出てくる可能性もあり、警備が強化されることも予想される。今のところはソフトな警備でいるけれど、先鋭化されてくる可能性もあるのかもしれないな。機動隊登場みたいなこともあるのだろうか。
とはいえ警察に対して実はあまり悪感情を個人的にはもっていない。彼らも仕事なのである。好きでやっているんじゃない、あくまで仕事で警備にかり出されているんですから的な部分もけっこうあるんだとは思う。しかし彼等は鍛えられた兵士でもあるわけで、命令があれば強行検挙という形をすぐにとってもくるだろう。出来ればそういう先鋭的な場面には遭遇したくはないとは思う。
抗議行動が終了したときに興奮した年配の方(60はゆうに過ぎている)が、警官に向かって悪口飛ばしていた。その後で、その警察官、30前後の小太りのにいちゃん風の彼に、私は小さく「ご苦労様です」と語りかけた。警察官は一瞬、顔を崩して笑顔になり「どうも」と小声で答えて、すぐに無表情の警備の顔に戻った。出来ることなら警察官たちとも敵味方みたいな形にはなりたくない、特に今回の脱原発に関しては、という思いが私にはある。