この人の訃報記事もスルーできなかった。正直いうと、まだ生きていたのみたいな感じもないでもない。イメージ的には大作系のプロデューサー、生来の山師みたいな印象が強かったのだが、なんといっても「道」「カビリアの夜」をプロデュースしている人だ。映画のなんたるかをわきまえたえらい方なんだと思う。フェリーニがメジャーになれたのもこの人のお陰かもしれない。
ディノ・デ・ラウレンティス - Wikipedia
しかしウィキの主なプロデューサー作品をみるにつけある種の感動すら覚えざるを得ない。
主なプロデュース作品 * にがい米 Riso amaro(1949) * ヨーロッパ一九五一年 Europa '51(1952) * 道 La Strada(1954) * マンボ Mambo(1954) * ローマの女 La Romana(1955) * 河の女 La Donna del fiume(1955) * 戦争と平和 War and Peace (1956) * カビリアの夜 Le Notti di Cabiria(1957) * テンペスト La Tempesta(1959) * バラバ Barabbas (1962) * 殺しのビジネス Se tutte le donne del mondo(1966) * 天地創造 'The Bible: In the Beginning...(1966) * 華やかな魔女たち Le Streghe (1967) * 異邦人 Lo Straniero(1967) * バーバレラ Barbarella(1968) * ボッカチオ Boccaccio'(1972) * セルピコ Serpico(1973) * 狼よさらば Death Wish(1974) * マンディンゴ Mandingo(1975) * キングコング King Kong(1976) * オルカ Orca(1977) * 蛇の卵 The Serpent's Egg (1977) * フラッシュ・ゴードン Flash Gordon (1980) * ラグタイム Ragtime(1981) * コナン・ザ・グレート Conan the Barbarian(1982) * デッドゾーン The Dead Zone (1983) * デューン/砂の惑星 Dune(1984) * バウンティ/愛と反乱の航海 The Bounty (1984) * 炎の少女チャーリー Firestarter (1984) * キャッツ・アイ Cat's Eye(1985) * イヤー・オブ・ザ・ドラゴン Year of the Dragon(1985) * 刑事グラハム/凍りついた欲望 Manhunter (1986) * 暗殺者 Assassins (1995) * アンフォゲタブル Unforgettable(1996) * ブレーキ・ダウン Break Down(1997) * U-571 U-571(2000) * ハンニバルHannibal(2001) * レッド・ドラゴン Red Dragon(2002) * ハンニバル・ライジング Hannibal Rising (2007)
「にがい米」はイタリア・リアリズムの傑作といわれているやつだろう。「シネマ・パラダイス」で悪がきどもが映画館で並んでマスかきかながら観るやつじゃなかったっけ。ラウレンティスの出発点はここか。しかしその作品群をみるにつけ、まんま20世紀後半の映画史のある種の一翼を担ってきたという感じがする。「映画はスペクタクルでなくてはならない」を地でいったというか、そのセリフをこの人がはいたとしても納得できる。
しかし受ければなんでもありみたいな部分もあるな〜。パニックあり、怪獣あり、ギャングものあり、晩年のレクター三部作とかもこの人であれば納得である。合間に「フラッシュ・ゴードン」みたいな文字通りエロ、もといイロモノもあったりして。とにかくこの人は映画が大好きな人だったのだろうな思う。
「キングコング」が代表作となってしまう、大作映画のプロデューサーということでくくられることになってしまうのだろうが、ここは一つこうまとめておこう。
「道」でフェリーニを世に送りだした名プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス死去する。冥福を祈る。