34歳独身女性が親の介護を

LIFE×介護〜在宅介護〜
http://www.ntv.co.jp/zero/weekly-blog/cat160/

2日だったかNEWS ZEROを見ていたとびこんできた映像である。ジム帰りだったのでやや遅めの夕食をとっていた。11時台は日テレのニュースショーをつけていることが多い。
34歳の独身女性が仕事を辞めて親の介護のためにだけ生きている。なんともつらい話である。途中まで見ていたのだが、あまりにもしんどい現実に正視できないものをつきつけられているようで、途中でチャンネルを代えてしまった。
たまたま娘もまだリビングにいたのだが、なんか娘に見せるのも気がひけるような現実である。放映されていた方のところも一人娘である。介護を受けている父親は7年前に脳梗塞で倒れ、その後遺症で寝たきり状態にある。母親が腰を悪くしているので、一人娘が仕事を辞めて父親の世話のすべてをみているという状況なのだとか。
この現実はそのまま将来の我が家の姿になる可能性だってあるのだ。脳梗塞片麻痺の妻は、状態が悪化することはあってもけっしてよくなることはないだろう。今は私が仕事しながらもろもろやっているけれど、たとえば私が体をこわしたりすれば、妻の介護とかに娘が関わらざるをえなくなるかもしれない。なんつうか他人事のようには思えないのである。
報道されていた酒井淳子さんという女性。目がくりくりと大きく、まあまあ目鼻立ちの整った美人タイプの方だ。彼女をとりまく環境がこんな風でなければ、まあまあ普通に仕事をして、恋とかもして、ようは人並みな人生を歩んでいたに違いない。あるいはすでに家庭をもって、それこそ人並みな主婦さんとか、お母さんとかしていたかもしれない。でも、彼女の生活はとにかく父親の介護、いや放映されていた事実だけを見ていれば、それはもう介護の範疇をはるかに超えた、医療行為みたいなものだ。
おまけにそのハードな生活によって彼女の精神も蝕まれているようで、うつ病の診断も受けているという。彼女の人生はなんつうか、逃げ場なしという状況だ。
こういうしんどい現場のことを見聞きするたびに思うよ。この国には福祉というものがあるのかどうか。たぶんやり方によっては、もっと別の方法があるのかもしれない。申請主義で、待っていてもなにもサービスを享受できないというのが、この国の福祉制度の基本だ。でも先をよんで動けば、逆に様々な申請、要求、その他もろもろやっていけば、少しはましなサービスを受けることはできるかもしれない。でもたいていの場合は、迫り来る現実をとにかくしのいでいくのに精一杯で、そんな風に先へ先へというようにはうまくいかないのだろうとも思う。
でもね、一人っ子が、あるいは少ない子どもたちだけで、親の面倒を見ていくということ。しかもそのためだけに彼らの人生の大部分が占められてしまうだろうということ。これが少子化社会のありうべき、近い将来なのだと思う。高齢化社会を、介護を、社会全体で担っていくための社会資源の圧倒的不足、インフラ整備がなされていない状況は、これからの5年、10年後のこの国の将来を暗雲たれこめるものにしている。もはやそう決めつけてもいいだろうとさえ思う。
報道されていた酒井淳子さんの現実は、明日の日本の若者、子どもたちの現実なんだと思う。