印象派についてのメモ『セーヌで生まれた印象派の名画』より

自然と同じようなさまざまな色を作るために、パレットの上で絵具を混ぜると明度(絵具の明るさ)が落ちてしまう。そこで、絵具を混ぜないで、画面の上でさまざまな色を生み出すために考え出された手法が「筆触分割」である。この技法を用いると、一定の距離を置いて画面を見たとき、画面上に並置された小さな筆触(色斑)を視覚のなかで区別することができず、いわば目のなかで色が混ぜ合わされる(視覚混合)。そうすることによって、原色に近い色の明るさを保ちながら、さまざまな色を作りだせるのである。スーラは当時の最新の色彩理論をこの技法に応用・発展させ、色斑をさらに細かな色点までに分割したのである。
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