美鈴湖へ立ち寄ってみた(8月27日)

 軽井沢の健保の宿が取れたので長野方面に小旅行に行ってきた。

 長野は妻の実家もあるし、健保の宿もあるので何度も行っている。学生時代からサークルの合宿などでもなぜか長野に行くことも多いので、けっこうあちこち行っているのだが、今回はあまり行ったことのないところも少しいれてみようかと思った。

 そして思いついたのがこの美鈴湖。

 「みすず」という名前、言葉は出版業界に身を寄せた者だとなんとなく親しみがある。もちろんそれは「みすず書房」という人文系の硬派出版社から。

みすず書房

みすず書房 - Wikipedia

 白い装丁のハードカバーの本で有名ですね。読書家なら本棚に1冊や2冊はあるのではと思ったり。思いつく書名はというと、『夜と霧』、『生きがいについて』、『天皇制国家の支配原理』、『野生の思考』などなど。そして数年前にはトム・ピケティの『21世紀の資本』が硬派の書籍としては異例のベストセラーになった。

 そしてみすず書房の名前の由来は、「みすず刈る」が信州(長野県)の枕詞となっていることからとされている。ちなみに出版社の創業者には信州出身者が多く、古くは岩波書店岩波茂雄筑摩書房古田晁みすず書房小尾俊人などがいる。

 「みすず刈る」についてググるとAIはこんな回答が。

「みすゞ刈る」は、長野県(信濃国)にかかる枕詞(まくらことば)で、古くは「みこもかる」と読まれていました。「みすゞ」は篠竹(すずたけ)を意味し、「刈る」は文字通り刈り取ることを指します。江戸時代の国学者賀茂真淵が「みこもかる」を「みすゞかる」と読んだことで広まり、現在では「みすゞかる」の読みが定着しています。

詳細:

枕詞とは:

和歌で、ある言葉を導き出すために、その言葉の前に置かれる決まり文句のことです。

「みすゞ」の意味:

篠竹(すずたけ)を指し、信濃地方に多く自生していたことから、信濃にかかる枕詞として使われるようになりました。

「みこもかる」との関係:

元々は『万葉集』に「みこもかる」という表記で登場し、信濃の枕詞として使われていました。江戸時代に賀茂真淵がこれを「みすゞかる」と読み、この読み方が広まりました。

「みすゞ」の漢字表記:

「御篶刈」と書かれることもありますが、万葉集では「水薦刈」と書かれています。

「みすゞ飴」との関係:

長野県の銘菓「みすゞ飴」は、この枕詞にちなんで名付けられました。

まとめ:

「みすゞ刈る」は、信濃(長野県)を指す枕詞であり、篠竹を刈る様子を表しています。元々は「みこもかる」と読まれていましたが、江戸時代に「みすゞかる」という読み方が広まり、現在では「みすゞかる」が一般的になっています。

 

 本来、万葉集では「みこまかる」であったものを賀茂真淵が「みすゞかる」と読んだことから広く知れ渡ったと。万葉集の歌とはどんなものだったのだろう。それについては「みすず飴」を販売しているみすゞ飴本舗飯島商店のHPが詳しい。

 

「みすゞ刈る信濃の国

古来より「みすゞ」とは信濃の国を表す枕詞(まくらことば)として親しまれてきました。
その「みすゞ」とはスズタケのこと。さわやかな大気と清冽な川の流れ、ゆたかな自然に抱かれた信濃の国を表しています。
私たちは、その名に寄せて、ゆたかに育まれた自然の風味をそのままに、お届けする菓子作りの心を込めました。

すずたけ(篠竹)

ササの一種。ブナの林下に群生する。
高さ1~3メートル。鞘は往々紫色を帯び平滑。
7月頃まれに茎頂に被針状の小穂を生ずる。
花後実をつけたのち枯れる。スズ。ミスズダケ。

万葉集では次のような歌があります。

久米禅師、石川朗女を娉ひし時の歌五首の中

九六 み薦刈る信濃の真弓吾が引かば
うま人さびて否と言はむかも
禅師(巻二)大意 み薦を刈る信濃の国の真弓を引くように、私が貴女を誘い引いたなら、淑女らしくして嫌と言うだろうか。
九七 み薦刈る信濃の真弓引かずして
弦著くるわざを知ると言はなくに
朗女(巻二)大意 み薦を刈る信濃の国の真弓を真剣に引いてもいないのに、弓を引く技術を知っている人だとは言えないでしょう。

この二首にある「み薦」を、江戸時代の国学者の大家である荷田春満(かだのあずままろ)と賀茂真淵(かものまぶち)が「みすゞ」と読んだことから、江戸時代以降広く「みすゞかる」が信濃の国の枕詞として定着しました。

こぼれ話ですが、昭和中期に国文学者である武田祐吉が「み薦」を「みすゞ」と読むのは誤読であり「みこも」と読むのが正しいと提唱し、現在では「みこもかる」の読みが学術的には通説となっています。しかし、「みすゞかる」には古風な美しい響きがあり、万葉の時代を想起させるにふさわしいため、信濃の国の枕詞として現在でも親しまれ続けています。

「みすゞ刈る信濃の国」 | 飯島商店について | みすゞ飴本舗 株式会社飯島商店

 さらにこのHPでも詳しく説明がなされている。

第285回 「みすずかる」と「みこもかる」 - 日本語、どうでしょう?

 

 なるほど、「み薦刈」が「み篶刈」となり「みすゞかる」として広まったと。さらには学術的には武田祐吉の「み薦刈」を「みすゞ」とするのは誤読である、「みごも」が正しいということが通説になったと。

 でもみすゞ飴のHPにもあるように「みすゞかる」という響きの美意識がなければ、おそらく「みすゞ刈る」が信濃の枕詞として定着しなかっただろうし、「みすず」という言葉がなんとなく美しい言葉として女の子の名前に使われなかっただろう。

 もしも「みごもかる」が信濃の枕詞だったらどうか。「みごも」などという女性の名前が存在したか。小尾俊人は「みごも書房」なる出版社を創業しただろうか。やはりここには、言葉の響きとそこに美を感じる日本人の美意識みたいなものがあるのかもしれない。

 

 とりあえず「みすゞ刈る」の歌を再度味わってみる。

み薦刈る信濃の真弓吾が引かば
うま人さびて否と言はむかも

大意

「み薦を刈る信濃の国の真弓を引くように、私が貴女を誘い引いたなら、淑女らしくして嫌と言うだろうか」

 

み薦刈る信濃の真弓引かずして
弦著くるわざを知ると言はなくに

大意

「み薦を刈る信濃の国の真弓を真剣に引いてもいないのに、弓を引く技術を知っている人だとは言えないでしょう」

 

 ということで「みすゞ刈る」の「みすず」である。

 

 長野県には「美鈴湖」なる湖があるらしいとは、以前から聞いてはいた。でも地図とかでみるとずいぶんと小さい、湖というよりも池みたいなもののようだ。でもちょっとだけ気になっていて一度は行ってみたいものだと思ったりもした。それで宿泊する軽井沢とはずいぶんと遠いけれど、せっかく長野県に足を踏み入れので、いっちょう行ってみるかとなった。場所的には諏訪湖霧ヶ峰、松本に近いところみたい。

 

 関越道を東部湯の丸インターで下りてからひたすら南下。上田方面から国道254号線で西進して途中から山道に入って少し上ったところに突如あらわれる。

 

 

美鈴湖 - Wikipedia

 

 小ぶりな湖、もしくはちょっと大きな池、沼。基本、農業用のため池で土をもって作ったえん堤によるアースダムによって出来ているのだとか。周囲はキャンプ場があるほか、ヘラブナ、コイ、ブラックバス、冬はワカサギなど釣りを楽しむ場所のようだ。徒歩だと一周できるみたいだが、車だと半周して道路は湖畔から離れるみたい。

 ウィークデイということもあるのだろうけど、とにかく閑散としている。ときおり自分らのような観光客が車で立ち寄って、ほんの数分で去っていく、そんな感じだっただろうか。

 自分らも、とりあえず駐車場に車を止めて記念撮影して終了。滞在時間は10分足らずだが、「みすゞ刈る」地の「美鈴湖」にとりあえず立ち寄りました、という感じ。